220.
懐が寂しい、今日この頃でございます。
・・・おやつのお菓子をやめ、炭酸飲料から水・・・はちょっと味気なかったから、お茶にした。
・・・いや、うん、ここはこれよりも安かったビールとか、エールとかにするべきとか、そういうのもあったかもしれないけど、俺はまだご飯をお酒で流し込みたくないから、うん。
そして、主食の白米は現地産の安い麦へとなり変られ、我が食卓の浸食した。
・・・こうして、日本は白米から小麦というものになってしまったのだと、自分のダンジョンの食卓の上を見ながら、しみじみと思った。
・・・まぁ、普通に菓子パンとかを朝普通に食べていたから、そこまでしみじみなんて思ってもなかったけど・・・。
そこまでして、何を買ったのか?知りたいかい??知りたいだろ?別に?シリタイダロ?知りたいって言えよ!ばーーか!!・・・マリウスさん、なんでおこなの?バカって言ったのがいけなかったの?え・・・?こんなにも何に使ったんだ、アホマスター???・・・はい。
『ぽよん・・・ぽよん・・・ぽよん~~~べちゃっ』
そう三度地面を跳びながら、後ろから俺の頭から覆いかぶさるように青色の丸いかたまりが・・・形を変えながら?飛んできて影響で変わりながら?まぁ・・・自分がすっぽりと飲みこまれるほどに大きなスライムがこちらに跳ねてきて、べちゃっと服や身体にまとわりついた。
不快ではない。ただ・・・ちょっと身体が・・・いや、纏わりつかれている間はかなりべたつく。
だが、その不快感よりも先に、肩の方からはほどより力で揉まれ、さわやかな花の香りが漂って、リラックスさせられる。
その様子を見ていたマリウスから一言。
「・・・キングスライムですか?」
その一言で今は目の前にマリウスがいたなーとリラックスモードから一転、この子の紹介をする気になった。
「キングなどではない、ただのスライムさ!しかも、大きくて、賢くて、可愛い!だから、いうなれば、クイーン、いや、プリンセススライムさ!!」
マスターがそのスライムを優しくなでると、マスターの身体から粘着質な液体?スライムが徐々に離れていき、マスターの横ぽつんと丸まった。
その様子を見ながら、マスターの様子を見ると今さっきよりも幾分か、マスターの衣服から汚れが落ちていることをマリウスは気づいた。
だが、それよりも、なにより、そのスライムはマスターが大きいと言うだけあって、普通のスライムの?軽く10体分の体積があるように見えた。
なでるだけで身体から離れたということは・・・うーん、それは賢いと言えるのか?とは疑問に思え、あーーー可愛いのでしょうか?と人の価値観はそれぞれだと思って、マスターにとっては可愛いものなのだろうと納得することにした。
マリウスにとっての今のスライムは、6~10階層であのマスターの悪ふざけの産物を食べているクリーンスライムだ、、触りたくない。
「・・・それ買って、ここまでダンジョンの運営に必要なポイント減りませんよね?何やりました?いいえ、やらかしました?大丈夫ですよ・・・今ならまだ本気で怒りませんからね」
そう詰め寄ろうとすると、スライムがマスターの前にでて、ぷるぷると震える。
「ス、スラ美!?そ、、そんな俺の為に」
『ぷる、ぷるっ』
その自然界では大きいと称されるスライムの背は・・・自分よりも巨大な戦闘力の彼の前に、さっきより『ぷるぷる』とする回数が増えながら、それでもなお震えながら立って、立ち塞がっていた。
「・・・」
「マリウスさん、落ち着いて、その剣しまって」
そうちょっとこの寸劇がイラッとした彼が模造刀を黒い空間に手を突っ込みながら、彼は抜き出した。
マスターはスライムと一緒に抱き合って?斬首を待つただの一般人のように震えていた。
「はぁーー賢いというより、人のやろうとしていることが分かるということなどは理解しました。
けど、賢かろうがスライムはスライムです。貯めていた資産の10分の1くらいは珍しい珍魔物でオークション形式のなら資産が吹きとぶこともあるでしょうけど・・・その程度の魔物でここまで資産を使いこむのはありえません!なんですか!またダンジョンコアのできる機能を増やしたんですか!?それともゲームですか?!」
「ゲームでも、2chとかでもないよ!」
失礼な!と若干自分の正当性を主張しようとさっきの震えた姿とは裏腹に強くそのことを否定した。
「それ以外何にマスターこんなにも使うんですか!ダンジョンの増築もしていないし、変わった魔物も森には何も召喚されてませんでしたよ!」
さっき彼の権限で機能させることができるダンジョンコアで調べたが、何一つ変わってはいなかった。
いつものお菓子や炭酸飲料や、ただのゲームやその起動する機械だけなら、ここまで強く何に使ったかなんてことは問い詰めなかっただろう。
ただ今回は使いこんだ額が問題だった。
・・・正直この額を何に使ったのか想像できなかった、ゆえに、マスターしか見れないほうの神のダンジョン商会の方でその額に見合う何かヤバいものを買ったんだと予想ができた。
それがなんなのか分からないから焦る。
それが危険じゃどうか分からないゆえに焦る。
「もう!分かった!分かりました・・・ちょっとまだマリウスが帰ってくるまで時間があると思って、スライムと戯れていただけなのに!早い帰ってくるのが早い!!もう!見せますよ!見せればいいんでしょ!!」
とドカドカとダンジョンの床が木製ならしそうなほどの足運びで、マスターは農場の方へと向かった。
スライム(♀)だよ、ダンジョンに華!待望の女だよ?・・・え?人化?するわけないじゃないか・・・スライムだもの。