21.
マリウスが子どもの様子をちらちらと見ながら、何やらしていたが、まだ起きなかった。
そうして、一時間後にその子どもは起きた、するといきなり飛びかかってきた。
「うがぁぁぁぁぁ!!!」
「ていっと」
マリウスが予期していたかのようにその子どもを組み伏せた。
「・・・(オロオロ)」
半狂乱の子供のなだめ方なんて知らないよ!!
「はいはい、落ち着きなさい、目の前の冴えない男をよく見なさい」
マリウスは暴れている子どもの頭をこちらのほうを強制的に向けさせた。
「この男はあなたを苛めていた男ですか?それとも、意地悪をした人ですか?それともそのどちらでもないのかよ~く考えてくださいね~」
「・・・どちらでもない」
すると子どものほうは徐々に落ち着きを取り戻してきたのか、そう零した。
「じゃあ、この冴えない男に危害を加えないと約束できますか?」
「人間は俺を苛める悪い奴、信用できない」
「こんなあなたよりひょろそうな人間があなたを苛めることができるのかよ~く考えてみてくださいね」
さっきからマリウスが俺をかなり批判しているように感じてしまうのは気のせいだろうか。
「あんたもひょろいけど、強いから信用できない」
俺より小さくて細いからね・・・・マリウス、俺より数倍強いだろうけどな。
「あなたをこちらに保護して治療をしたのは彼ですよ」
そうマリウスが言うと、その子どもは数瞬考えた後に、こう告げた。
「・・・信用できないけど、攻撃されなければ攻撃しない」
「では、その言葉を信用して、私は組み伏せるのをやめましょう」
そう言って子どもを組み伏せるのをやめたが、子どもは襲い掛かろうとはしなかった。
「僕はここで働いてるマリウスって言います、あなたのお名前は?」
「・・・・・・・イオル」
「俺の名前は佐原幽鬼っていうんだ、よろしくな」
「・・・貴族!?」
そう自己紹介すると今にも飛びかかろうとしていたが、マリウスが子どもの頭をぽんっと叩くと警戒してか、後ろに下がっただけであった。
「家名がつくのは貴族だけですよ、マスター様?」
急によそよそしく問いかけてくるマリウス。
「そういうの早くいってくれない!!??」
「ダンジョンマスターなんてダンジョン内だけで普通生活して、コアルームに入るのなんて奴隷とか知能を持った魔物とかだけですよ!!普通!!ていうか、僕もマスターの名前とか今の今まで聞いてませんから知りませんよ!!」
「そういえばお前、俺の名前マスターしか言ってなかったよな!ていうか、説教で自己紹介とか完全忘れてたわ!!」
そう俺達二人が口論している間にその子どもはじーっと何が何だか分からないかのように突っ立ていた。
マスター呼びにしよう、自己紹介したっけ?
あれれ~書いてない、この共同生活していたのに知らない事実に作者は戦慄した!?
あれれ~おかしいぞ~(((オイ