217.
7か月・・・7か月地獄は続きました。
1週間もすれば、自らあれに拘束されにいく俺を強引にマリウスが止めて、カウンセリングを受けた。
『はい、これで終わりですね、結果は、え・・・?正常ですね・・・え?・・・えぇーー・・・マスターは頭おかしいですね』
そんな言葉をもらってから、それからは一応1カ月ごとにカウンセリングと、ちょっともうやめてもいいんじゃないでしょうかというマリウスからの引きつった要請と、イオルが無言で鼻を押さえて、俺の横を通り過ぎるということを乗り越えて習得した。
途中から実は俺の味覚がおかしいだけでものすっごく美味しいものなんじゃないかな???そうだ!!きっとそうに違いない・・・自己暗示なんて無意味でただクソまずいだけでした。
地獄から解放されても、食べ物がおいしくないのがきつい。
・・・できた喜びよりも、もうあれを飲まなくってよくなったという喜びよりも・・・その後から来る無味美臭の見た目美味しそうな料理と、食べ慣れたお菓子、飲み慣れた炭酸水が・・・美味しくない。
マリウスいわく俺の舌がおかしくなったらしい。
なぜだかアレを飲んだら、なぜだか1日だけは食べ物の美味しさが認識できはするが・・・飲みたくないし、味覚が戻るのは飲んだあとからたぶん1カ月らしい。
それにそれを飲んでから、食べても美味しい!!・・・そのあとにくるなぜだか思い出されるあのまずさが後味にこびりついてくる。
ただ1カ月で戻るということも予想でしかなかった。
・・・こんな最長で飲み続ける人がまずいないので、そこは検証していないらしい。
それもそうか・・・と飲んでいた自分自身がそれに納得した。
魔力感知を習得した後に、マリウスから飲んでいたあれ原液じゃなくて、1滴で俺の全魔力を回復する例のブツだったらしい。
1滴が飲ませなかったのは飲んでいたあれは飲ませやすいように・・・簡単に吐かないように普通の水と1滴をまぜたものらしい・・・・
なんであんなただの1滴でこの世のまずさを全て煮詰めたような色になるのだろうか?
・・・そのあとマリウスに『炭酸と混ぜたら美味しくなるんじゃないだろうか?』という提案をしたら、マリウスから炭酸を要求されて、それを持って自室へと帰って行った。
後日
その後のことを聞いてみたら
「・・・スライムってポーション飲んだら、死ぬんですね」
と言われた。
もっと詳しく教えてっと言ったら、
「1滴とあの炭酸飲料のキャップいっぱいくらいを混ぜたんですよ・・・そしたら、あれよりもちょっと・・・人に害をなしそうな色のができたんですよ。僕自身あれを飲む嫌だったので、8層にいるスライムに飲ませたら・・・バタバタともがきながら、最後に地面にうすく広がったと思ったら、魔石を残して、死にました。」
「・・・」
「なにごとも下手に何かと何かをまぜるってダメですね・・・その後に生み出される結果に予想ができないですから」
「ソウダネ」
その日は・・・そのあとにとても話しかけづらくなった。
魔力感知習得から数日後にマリウスからこう言われた。
「このあとやるとしたら、魔力感知をどれくらいできるかの検証と、それを戦闘で使えるようにするための戦闘訓練とかですかね・・・それを戦闘でできるのと活かせるのは違いますからね~」
1発やったら、ぶっ倒れる魔力感知・・・当然のごとく戦闘訓練は流れた。
「身体が全力感知に慣れすぎていますね~~これから治していきましょう!1回やったらぶっ倒れる魔力感知なんて敵にここに自分の場所を全力で知らせるのと同時に全力で自分から殺されにいってるだけですしね」
途中で諦めるか、3か月くらいでもう才能がなくて、これは習得できないんじゃないだろうか?と、実際のところマリウスは諦めていた。
努力という名のマスターの狂気で習得したはいいものの・・・ほぼほぼ習得は絶望的な才能を無理やりできるようにしてしまったせいで、それが無理やり発現させたものと発動の仕方は同一になっている。
まぁ・・・一応矯正はできるものの、上の世界でやっているようなスムーズな魔力感知とは全くな別物の、力技で感知をする燃費がかかりすぎる魔力感知になるだろうな・・・とマスターがなるであろう未来を予想した。
そもそもあの魔力を抜くというあの方法はほとんどの魔法使いからは自殺魔法と揶揄される。
ポーションで無理やり組み上げてやっている・・・味覚か、精神がおかしい人間以外あんなことはできないし、しない。
あれは感知ではない・・・自分の全魔力を放出している自爆・・・術式がいらない自爆特攻攻撃魔法みたいなものだ。
その自分からあふれ出した魔力を攻撃性という形ではなく、ただの魔力の放出とすることで、周りに自分の魔力が溢れて・・・自分の魔力と世界に満ち満ちた魔力の揺らぎを感知して、魔力感知のようなまねごとができるになる。
才能があれでポーション使わずに1週間くらいでできるようになるんですけど、才能がなくてもポーション使って1週間・・・驚異の7か月。
そこから糸のような自分の周りに張り巡らさせて、異物を感知する・・・まぁ、そんな魔力感知ができるようになるなら、1週間前後でできるようになるだろうからと・・・一応マスターに概要だけを伝えて、今できるようになっているソナーのような魔力感知の方法をより効率的にしていく修行をすることとなった。
ブックマークが400だ~~・・・どうせまた減る((悟り
マリウスさんは一つ真実を忘れていた。
あれのマスターはダンジョンマスター。
ある意味ダンジョンの中はダンジョンマスターの世界であるということを。
・・・いや、まぁ、ダンジョン以外で修業できるところも、魔力の扱い方教えてくれる師匠もダンジョンの中以外にいないんですけど・・・。