213.
気づけば、ダンジョンコアルームにいて、怒られました。
『ダンジョンマスターが普通に冒険者のところに行くなんてアホですか?バカですか?それにあの魔人もダンジョンコアの近くにいないのなら、マスターを殺していた可能性があったんですよ?マスターに何かあった後では遅いのです!!そこのところをきちんと反省してください!!』
その優しさを冒険者に向けて・・・ほしいなと・・・残った意地でぼそぼそと小声でつぶやくと、溜息を吐きながら、こう答えた。
『僕にとってはその冒険者は潜在的な敵であり、知らない赤の他人です。赤の他人の命より、知っている誰かの命をどちらを優先するかなんて決まり切っています、僕は自分の判断したことは間違いなんて思いません!・・・ですが、マスターがちゃんと『あの冒険者を助ける』と言ってくれるなら最低限救うだけの努力はしますよ、回りくどい理由なんてつけないで正直に自分の意見を言ってくださるなら、僕は僕のできる限りなら力を貸します。だから、まずは自分勝手に出ずに、これからは話して下さいね』
そう優しく頬笑みながら彼は手を差し伸べて、俺はその差し出された手を掴んだ。
反省はしたが、説教は続く、それは・・・永遠にグチグチと、、、いや、うん、言っていることはわかるよ?あの時は感情的になって出て行って、そのままこのまま帰れるか!!という決意とういかなんというか・・・意地?そんなもの捨ててしまえ!!なんていう人もいるかもしれないけど、生きていくときにこれと決めたことは投げ出したら、投げ出したで自分の中で定めている人間性というものがね・・・曖昧になって、自己の芯と定めていた柱が崩れたら、そこに残った俺であっても俺ではない、自分の身体を借りた他の誰かの物語になってしまうじゃないか・・・キリッ
…実際には見つけることもできずに、魔物に追い回されたり、なんかでかいハリケーンを見て、ちょっと遠回りをしたり、迫りくる泥から逃げたりしていただけなんだが・・・うん。
反省しろということで・・・ホムンクルスで冒険も手を掴んだ時に指輪を没収されて、憂さ晴らしのゲームもパソコンを没収されて、ダンジョンコアでやろうには、背後にはニコニコマリウスさん・・・気晴らしは鍬を持って、大地と対話することだけさ・・・娯楽というものがうばれたら~俺の人間性が~~そんなだめな人間性は捨ててしまえ?・・・まぁ、そうかもしれないけど・・・・ダンジョンコアいじることしかないダンジョンマスターの生活としては健全かもしれないけど、正直24時間監視しなきゃいけない問題起こりまくるダンジョンとか・・・こっちが発狂するわ。
「マスター、マスター、これを見て下さい!!」
ある日の昼飯後にやることもないので、ぐーたらとしていたら、マリウスが薄型テレビを持ってきた・・・。
「ん?」
あんなの買ったっけ???
片手でそれを持っていることに疑問を持たなくなってきている自分も自分である。
うちの買ったテレビは安いもっと分厚くて、そこそこの大きさの・・・ゲーム専用のテレビだったような気がするけど、あれは薄いでかい!!・・・寝ぼけて買ったの?え?これから説教なの?と内心びくびくしながら、マリウスが次に話す言葉に注視する。
「これ新しいホムンクルスの操作魔道具の・・・ん・・・水晶みたいなものです!」
・・・???水晶?テレビやん。
「・・・」
「まぁ、ちょっとやれば、分かりますか・・・百聞は一見に如かず?でしたっけ・・・ちょっとマスター小指を失礼」
なんだか納得していないような表情を見抜かれたのか、懐から針を取り出しグサッと刺された・・・地味に痛い。
プクリと血が出て、それをゴーレムに塗りつけたと思ったら、そのゴーレムの肉をちょっと引きちぎったと思ったら、水晶の後ろの部分とコントローラーの裏側の部分に入れた。
「これでよしっと」
マリウスから手渡されたコントローラーを使いながらゴーレムを動かしていく。
前にコントローラーを使って、ホムンクルスを動かしたっけな・・・と昔の記憶をあさりながら、素直に動かす。
てきとーにジャンプしたり、動かしていると、マリウスがそのゴーレムを掴んで、魔方陣が手のひらで光ったと思ったら、ゴーレムは消えていた。
「・・・(゜д゜)」
「いや、そんな顔で見ないでくださいよ、それにこの水晶を見れば、解決しますから」
さっきまで真っ黒だった画面には、緑が広がっていた。
「・・・」
移動の上を押せば・・・画面が揺れ、動く。
ジャンプすれば、ちょっと遠くまで見える。
「・・・!」
ダッシュ!!・・・そして、何かにはまり、視界いっぱいの泥になり、そのままじたばたと暴れて脱出を試みるが、その抵抗も空しく、こっちの操作を受け付けなくなった。
「あらら・・・」
「・・・脱出機能は??」
「そんな小型な簡易ゴーレムにそんな期待されてもないですよ」
「で、これってなに??」
「マスターみたいじゃない憑依をしない人?ダンジョンマスター向けに作ったホムンクルスの操作道具ですよ、憑依しない人は前は水晶でやっていたんですが、それだと小さいのと見ている光景が屈折しすぎて、イライラが募っていたらしいので、その人気が出なかったんですよ?・・・ですから、僕がその水晶を粉々にして、板状のテレビみたいにしたら?なんて提案してたわけで・・・」
「・・・」
すかさずダンジョンコアにて、値段を確認・・・三十万・・・30万・・・・高くない?
横からそれを見ていたマリウスが口をはさむ。
「まぁ、その値段でも、実際に遠見の水晶はそこそこありふれたものですよ?名家や、ギルド各支部長クラスなら・・・だいたいは持ってますね、それに暇を持て余したダンジョンマスターがやることにお金なんて気にしていたら負けですよ・・・まぁ、それを5個くらい砕いて今の大きさのものですし、板型に加工するためにいろいろしてますから、実際は5個分な値段なわけじゃないですけど・・・」
・・・150万以上???
「クーリングオフは可能?」
「別にこれは試供品なのと、僕がマスターの持っているものの知識をあっちにちょっと流したお礼みたいなものなので、気にしないでいいですよ?ポイントも振り込まれますし・・・」
「・・・した記憶がこれっぽちもない」
「僕の独断ですからね~・・・ん~?ちょっとしたアイデア料みたいなものなので気にしないでいいですよ」
「反乱では!?」
「マスターはテレビ一つの原型を提案したからと行って、僕を反乱扱いするんですか?」
にっこり怖いくらいの笑顔でそう尋ねてくるマリウスに俺は
「そんなわけないじゃないですか~やだー」
Yesなんて地獄の説教を受けるような選択肢を選ぶようなことはしなかった。
・・・それにこれを教えたからといって、電波とかそういうのを知らなきゃテレビみたいなことはできないしな・・・そもそもこのダンジョンに電波なんて来ないから、ゲームの画面のテレビとしてしか使ってないんだよな・・・。
台風は強敵でしたね・・・。
このテレビ型の思いついた時点でもう書くことがこれしか思いつかなかったんや・・・