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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
224/255

212.


 夜も深くなってきたころに、まだ部屋で話しこんでいる3人がいた。


「どうなのかしら?」


 正面に支部のギルドマスターにアドルフ、その左の椅子に副ギルドマスター、右の椅子には今となっては魔人が倒されたことで、資料の意味もないので、それを持って帰る整理をしていたところを拉致られたルデラ。


「4人とも肉体的には大丈夫なそうなのですが・・・エルフの方が起きた途端に・・・錯乱して魔法を放とうとして、、肩を押さえて、痙攣したかと思えば・・・意識を失い、起きたと思えば、小さい子供の幻覚、パーティメンバーの1人がそばにいないとちょっとした錯乱状態でしたね・・・いなくても、暴れる程度ではありましたが、話を聞ける状態ではなかったですねぇ~・・・その後に資料を作るよりもまず治療優先と、看護士さんたちに冒険者ギルド関係者面会謝絶になりましたねぇ~はい」


「・・・・どうするんですか?それ・・・」


 ちょっと顔をひきつられながら、ルデラが副ギルド長にそう問いかける。


「まぁ・・・どうしようもないですねぇ~~、エルフの方のは精神的なものらしいので、治るのは明日かもしれないし、1週間後かもしれないし、パーティの方々はあっても大丈夫なそうなので、ちょこちょこと資料を作成しましょう」






「それで~ダンジョンの調査のことなんだけど~どうしようかしら~?」


「「・・・」」


 副ギルド長は案がないからの沈黙、ルデラは他支部の冒険者の状況なんて・・・知るはずがないという沈黙。


「ラウスちゃんのとこも怪我しちゃって、数日ダンジョンにいたんだし、休みは必要よね〜それで信頼できる子で、ある程度ランクの高い子が・・・ここにいないのよねぇ~」


 まだここは新しいダンジョン・・・危険がないとは言えないが、掘れば掘るだけ、儲かる。

 だが、それも小遣い稼ぎ程度だろう、もっと上のダンジョンに行けばここよりも稼げるので、わざわざこんな辺鄙なところに来る強いパーティなどほぼいないのだ。

 ラウスのパーティはギルドからの定期的なダンジョン調査のため、都市部からここを訪れた。

 あのエルフの冒険者のパーティも魔人がいるからといって、この近辺の領地の都市部の方へと依頼を出したのだ。


「ここは攻略禁止って、領主様からの命令があるから、ヒューちゃんより強いパーティはこの近くであの子らしかいなかったんだけど~はぁ~やだわ~」


「資料を放り出さないでください、アドルフギルドマスター」


「はぁ~い・・・」


「都市のほうに連絡して増援を送ってもらいましょう。魔人の魔石も手に入ってるので、危険度もだいぶ下がりますし・・・ダンジョンが多少魔人の影響で荒れているかもしれんけど、元の危険度が低いので、ラウスさんと同程度の冒険者パーティに依頼でいいでしょう」


「ルデラちゃんにそれをお願いしてもいいかしらん~?」


「あぁ・・・はい、私の方でしておきましょう・・・」


 あ、これは言わされたな・・・と提案者であるルデラは悟った。

 ・・・これから帰るし、まぁ・・・いいかな・・・と彼は思うことにした。





「それにしても、あの子~あんな可愛い子秘書にしちゃうなんて、あなたもそろそろギルド長になる野望でも出てきたのかしら~」


 そんなことをいきなり言いだすアドルフに・・・そんな会議中にそんな話題を振られるのが理解できなくて、え?何言ってるのこいつ?というぶしつけな視線で見てしまった。


「え?あぁーユウキさんのことですか、前にも言いましたが、彼の方は僕の友人で、そういうのと一切関係ないですからね」


「あら?そうなの?残念だわ・・・あの子が手伝ってくれた資料分けの作業の効率も良かったし、あたしがもらいちゃおうかしら~うちも裏方の子があたしが怖いって、ちょっと人数不足気味なのよね~あたしだって、選ぶ権利ぐらいあるわよ、やになっっちゃう!」


「ユウキさんはどう見えてます?」


「タ・イ・プ❤︎」


「・・・それで食われるかもしれない友人のことおをあなたに僕が本気で紹介をするとでも?」


 彼は若干表情をひきつらせながら、そう問いかける。


「いや~ん、でも、そんなに心配するなんてほんとうに友人なのね~あなたは本以外は興味ないんだとあたしは誤解してたわ~」


「・・・僕だって本以外にも興味持ちますよ・・・ダンジョンに現れた未知の人のこととかね」


 そう話題を切り出すと、彼女?はその書かれている資料を溜息を吐きながら、見つめながら、2人に目を合わせながら、こう言う。


「・・・これ見なきゃだ・め?」


 ・・・上目遣い??か弱く見えるように??・・・見た目のせいで全然そんなことを露ほども思わない2人であるが・・・。


「ギルドマスターもお戯れはほどほどにして、本題に入りましょう」


 そう副ギルド長から諭されると、溜息を吐きながらも、その資料を手に取る。


「2人してそう言うのね・・・でもね、これあたしの勘がヤバいっていうのよね・・・関わりたくないわ~あった2人は片方は瞬殺、片方はトラウマ持ちになっちゃってるのよ?」


 その資料をひらひらとさせながら、そんなことを言う。


「そうですね・・・彼らはパーティでBだとしても、そのメンバーを瞬殺なんて・・・、2ランク程度上なのは間違いないでしょう、この近辺にSランクの冒険者なんていましたっけ?調査費用だけでも頭が痛いですな」


 そう頭を抱えながら、そんなことを言う副ギルド長。


「・・・上に報告だけ上げておきましょうか、それとこのダンジョンの潜在的な危険度も上げておきましょうか、魔人も出たことですし・・・」


 そんな頭を抱えている2人を見ながら、ルデラはそう言う。




 そのあとも魔人が討伐された事実だけを住民への説明。

 謎の人物のことを含めて領主への説明、ギルド上層部への報告。

 10階層までの限定的な探索許可、11階層まで調査が入るまでの禁止。

 謎の人物への調査。


 ・・・拉致から解放されるのは彼はこのうちのいくつかの資料作りをお願いされてからだった。



 これでいいのか・・・?と不安に思いながら、ぽちっ。

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