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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
223/255

211.


「さて・・・まずはあのマスターのことをなんとかしましょうか」


「あれに巻き込まれて死んでしまわれても困りますし・・・その次にあの泥についてはなんとかしましょう!」


 そんなことを大きな泥の壁が差し迫ってくるときに呑気にそんなことを考えていた。


「うぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」


 そんな僕に向かって、迫り来る壁と絶叫を上げながら、必死の形相でこちらに向かって逃げてくるマスター。


 安全のために暴れられても困るので、あちらの泥に事故でも突っ込まれないように気絶させましょう・・・逃げられてもある意味面倒くさいですし。


 そういう覚悟を決めてから、鞘をつけたまま、乗っている乗り物に一振り。


 乗り手が勢いよく吹っ飛ばされたせいで制御を失った乗り物は大きな音を立てては木に激突し、乗り物みたく激突なようなことになる前に、飛んでいる??・・・飛ばされた?・・・飛ばしたマスターの襟首をがっしりと掴む、その時に「ぐへっ」と小型の蛙を踏みつぶしたような音を聞いたような気がするが無事にマスターを確保。




「!!?・マリ、」


「・・・」


 マスターがなにか僕の名前を言いかけるが、余計な命令をされる前に、迅速に気絶させる。


 これはある意味でマスターのための行為であって、害意による攻撃ではない・・・何かしらの命令をされれば、それがダンジョンのための命令であれば、従わざるおえないことになりますし・・・あのエルフを助けるという行為は小さなこととはいえ、ダンジョン的には不利益ですし・・・まぁ、ダンジョンコアに直接壊すほどの行為でなければ、その契約は緩いんですけどね。


 ・・・・契約の隙を見つけて、マスターとダンジョンコアをヤッてしまえるかもしれないくらいに・・・いや、自分の職場がなくなるのと、前職場の人たちの信用がマイナスを振り切れますけど・・・、別に野良の冒険者になれば、いや、内部情報や前取引相手の情報を然るべき機関に、密告するだけで冒険者なんてしなくても暮らして・・・いや、その前に前職場から刺客が襲ってきて・・・死にますね。


「さて・・・ちょっと余計なことを頭で考えすぎでしたね」


 自分は悪くないということを頭で考えながら、ちょっといけないことを冗談で考える。


 ご飯も美味しいし、マスターも変なことしないですし、好きな研究の時間も作れますし、今のダンジョンに不満なんて・・・マスターが真面目にダンジョン作らないことぐらいですし、考えつくだけでやるなんて面倒なことしませんよ?


 さすがにマスターを片手に持ったまま、あの泥に対処するのは危なさそうです。

 それともしもがあってもいけませんし、そこらへんの木においてから、泥の壁へと駆け出す。


「ある意味これに相対して生きているということがエルフに対してのご褒美?賞品でしょうか?・・・いえ、まぁ・・・僕が勝手に対処するので、それを賞品とするのは間違いですね・・・」


 そんなことを斬る瞬間につぶやきながら、泥を粉微塵に斬り刻み、納刀した。


 周囲の風に泥たちはさらわれ、辺りに広がる。


「魔人でしたし、・・・そうですね、賞品は魔石でいいですね」


『魔法範囲拡大』『収集』『指定 魔人の魔石』


「・・・?死んでない??」


 掌に魔法陣を組みながら、発動するも・・・これがまったくというほど発動しない。

 自分の魔法に不備がないことは使っている自分が一番よく分かっているので、その条件を変える。


『再指定 魔人』


 泥が周囲から集まってくる。


 チクチクと小さなが痛みが走る・・・泥に小さな歯ができて、掌に噛みついてくる・・・コレ、生きてます、、、よね・・・。


「なんですか、この泥?魔人は・・・生命力というかなんというか、しぶとくないですか?」


 これが地上に出ていたら、数日おきに倒したと思っていたはずの魔人が現れ、最終的には木ほどの高さの泥の壁となって、出てくる・・・そんなありえたかもしれない未来を想像してしてしまう。

 そんなことになれば、ここのダンジョンが討伐対象というか、最悪の魔人の産みダンジョンとなって、確実に討伐されてましたね。


 そんなありえたかもしれない最悪の未来を想像していたら、手元には泥が集まらなくなってきていた。


『掌握』


 その魔人の残滓とも呼べる意思を、生きようとする食い意地を纏った魔力でもろとも掌握し、粉砕した。


 意思が亡くなった泥は噛みつくこともなくなったが、これで・・・渡されてもただの優秀な魔法触媒でしかない・・・見る人によってはただの泥だと捨てられそうな一品だ。


 そこでもうひと手間。


『圧縮』


 集まった泥をマリウスはその手に魔力を込めて、握り潰す。


「・・・まぁまぁ、ですね?」


その手のひらには色鮮やかな拳大ほどの魔石が握られていた。


「・・・・ちょっとあげるのが惜しい気がしますが、まぁ・・・いいですか」


 そうして、マスターを気絶したまま担ぎながら、エルフのところに行くと・・・その近くに2人ほどの魔力を感知できた。


「・・・腕を治して、それをご褒美な案も考えましたが、完治してますね・・・気味が悪い、原因作ったのもそれをやったのも僕ですけど・・・」


そうして、2人ほどの部外者が来る前にマスターとともに転移陣の中に姿を消した。





「あ・・・マスターの乗り物・・・あとで回収できたら、しましょう・・・」


 幸いなことに二つのパーティにそれは発見されることなく、無事に回収することができた。



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