206.
「さ~て、さて、別に足止めをしなくても、倒してしまっても構わんのだろう・・・いや、無理だけどさ~~とっ」
自分の言葉に何の反応も示さず、ただ淀んだ瞳をこちらに向けたまま、その肌を喰らおうとするのを太郎はある程度の余裕をもって躱す。
「起動」
またこちらに襲い掛かろうとしたときに、その言葉を発すると地面に魔法陣が浮かび、魔人を吹き飛ばす。
「剣がメインで魔法は防御で使うのがメインなんだがな~・・・」
木っ端微塵になっても復活する相手に剣とか?無理だろ・・・それよりは身体をある程度自由に動けるように軽くして、魔法でちまちま邪魔して、時間を稼ぐとしよう。
魔法剣をするのも考えてみてみたものの・・・ルドのあれ・・・一応火魔法纏った拳だしな・・・俺の魔法剣で相手を木っ端微塵にできるか?と言われれば、無理!と即答する自信しかない。
「もうちょい俺だけに夢中になっといてくれや」
後方でこちらの邪魔にならないようにまだ完全に回復をしていない足を引きずりながら、それに肩を貸しながら、遠くに退避している2人が魔人の感知範囲外に行かせるまでは確実に時間を持たせなければいけない。
「ん~?」
そういえば、こいつは何で俺達を感知しているのだろうか?目か?耳か?それとも・・・魔力か??
「色々試してみるしかないか・・・」
試せば、分かる。最悪全部同時に仕掛けて・・・いや、こっちが逆に動きづらくなるか。
ルルラの攻撃手段が通じなかったときにすぐさま有効な手段で逃げ切れるようにその使える手を模索し始めた。
魔人はこちらに何度も何度も何度も何度も、立ち上がり向かってくる。
そこに闘志や、使命、信仰、恨み、憎しみ、殺意。
そんな生存競争の中の戦いの中で当たり前の感情が欠落し、魔人はただそれを喰らうためだけに飛びかかる。
太郎はそろそろ準備も思わるだろうと考え、足元に溜めた魔力を起動し、魔人の足元を少し陥没させる。
また魔人は勢いよく噛みつこうとしていた。
その少しの段差に簡単につまずき、体勢を崩す。
すぐさまこちらに襲い掛かろうとしている魔人の足を払い、肩を思いっきり踏みつける。
太郎の体重程度では簡単にその魔人の片方の手で振り払われてしまうだろうが、少しの間回避行動を取らせなければ、彼のやろうとしていることに問題はない。
太郎は魔人の顔の近くに手を向け、こう魔法の起動言葉を言う。
「爆」
超至近距離で爆発させ、泥が蒸発した蒸気と土埃が辺りを漂い、その反動でしびれる手を軽く振りながら、ある程度その土埃から距離を置いて、太郎は魔人がいるであろうその場所に目を向けている。
「やったか!?・・・いや、ないか・・・ないよな~」
土埃が辺りからなくなった時にそこにあったのは、ふらふらと立ち上がりながら、グチャグチャと頭を泥で再生し始めている魔人の姿だった。
「あ~こりゃ、俺じゃ、無理だわ~~無理ですわ~~」
自身の魔力を効かないかもな~?でも・・・まぁ、やるだけやってみるかという気分で・・・決してその魔法に手を抜いていたわけではない。
太郎は・・・若干通じないんだろうな~とは内心思ってはいたが。
自分が即席で組める魔法の中で一番威力の高い魔法だった・・・ただ近距離でしか威力が全然でない。
普通の魔法使いからは使わない魔法だが、威力だけは確かなものだ。
それを喰らって、平然?その今も再生をしている顔からその表情は読み取れないが、頭が欠けた状態で立ち上がっている。
追撃はしない・・・どうせ相手は再生するのだ、それで魔力を無駄に消費するのも馬鹿らしい・・・いや、これは足止めなんだ・・・うん、だから、無駄に消費するのではなく、逃走のために魔力の余力を残しているにすぎないのだ・・・うん・・・ルドみたいな圧倒的な火力や、ルルラのような奥の手、エフイーのような回復の便利魔法が・・・欲しいわ・・・。
そんなことを考えながら、現実逃避をしながら、その目は決して魔人から離さない。
再生した魔人の頭は人???Gのように触覚を生やしては、枯れ落ちる。
また蜘蛛のような目をしているかと思えば、ポロポロと零れ落ちる。
顔に羽毛が生えたり、腕がケモノのように太くなりしぼんで、ミミズのようなのが口からオロロと吐きだされていたりした。
「・・・」
あ・・・これはなんか俺余計なことをやったかもしれないと、そう・・・反省した。
反省したところで今の現状は何も変わりはしないのだが・・・。
またどれもが自分が本物であるかと表現をしようとし、泥となり、零れ、また生み出される。
その身体は絶えず泥が流動し、形を変えていく、小さくなったり、大きくなったり、身体から離れた泥はまた自分だけでその身体を作り直そうとし、数秒もしないうちにゴポリと蒸発し、その泥はただの土へと姿を変える。
魔人?というよりも・・・不定形な化け物・・・そう表現するのが正しいだろう。
そして・・・身体からいくつもの目が生み出されたと思ったら、確かに魔人がこちらに顔を向けた。
『■■■ッッッツツツ!!!』
そんな言葉にならない絶叫が辺りに響く。
顔でまた噛みつきに来たが、それを避けると・・・さっきとは違い、魔人の腕が振るわれた。
あの巨大な質量の暴力などではない。
その手は熊のような顔面に、その獰猛な口・・・・それが溶けながら、こちらを噛み砕きにきた。
「き、起動!」
傍の木に潜めてあった魔法を発動し、魔人を吹き飛ばす。
「あ、あぶねぇ・・・」
普通に今までのように避けていたら、魔人の手が異形になってこちらを噛みに来た。
「本当にこいつ倒せる奥の手とかあるのかよ・・・」
そんなことをつぶやきながら、魔人の攻撃を避けて、潜ませていた魔法を惜しみなく使い、攻撃を一切受けないように気を付ける。
さっきの噛みつきが口、右手の口、左手の口。
簡単に言えば、さっきの余裕ができていたのが、突然3倍になり、襲い掛かってきて・・・端的に言ってつらい。
そうして、魔力の残量を気にしながら、しのいでいると・・・魔人の近くに矢が突き刺さった。
「やっとかよ・・・」
また魔人襲い掛かろうしたときに『起動』とつぶやき、地面が隆起し、魔人と太郎の間に人間ほどの大きさの壁が作られた。
そんな壁を食べ、邪魔と手を振り払うと壁が簡単に粉々に崩れ落ちた。
「…」
その壁の向こうに太郎がいないことを分かると、魔人は辺りの木をグチャグチャに振り破壊し始めた。
「こっちだ!化け物!!」
そう太郎が叫ぶとすぐさまそちらに顔を向け、噛みつきに行った。
とりあえず・・・魔力探知はなしで、耳と目か・・・。
逃げるための手段を考えながら、追いつかれないようにけれども、決して見失わせないように目的の場所へと彼は走る。
布団は全人類に安らかな夢を・・・眠りを与えてくれる素晴らしいものだと私は思うのです・・・。
パソコンは起動してました、一切の白紙だったけど、ちゃんと書こうとしてました。
ちょっと布団にくるまっていただけなんです!けど、奴は!!奴は!!私を愚かにも眠らさせたのです!!
あぁ、これは布団のせいじゃない!!私の未熟さが!!原因なのです!!!
・・・いや、予約投稿しろとか、内心で思う人がいるかもしれない!
そういうの分かるんですけど・・・追い込まれないと書く気が・・・((((オイ。