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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
212/255

200.


 半身が泥、半身が人の形を保った化け物。


「なんだありゃ・・・・」


「そりゃ…魔人でしょうね・・・」


 4人は息を潜め、遠くの茂みからその様子を見ている。


 向かえば向かうほどに酷くなっていく悪臭ですぐに場所はわかった。


 そして、その悪臭ゆえか、それとも魔物たちはもうそれの恐ろしさを知っているのか、周囲には魔物が1匹も姿が見えなかった。


 それはとても異常なことだ。


 だが、その異常ゆえに、それに気づかれることなく、彼らは魔物多きダンジョンのこの森の中で安全に潜むことができた。


 その遠く先ではその多くの魔物の中でも飛び切り危険な魔物がいるわけだが・・・。




 ソレはグチャグチャグチャグチャ、無造作にその肉を引きちぎり、その肉を口に運び、咀嚼し、口の周りを朱く染めていた。


そして、食べやすいところを食べ終われば、もう用はないと言わんばかりに、その周辺にその食べかすを無造作に投げ捨てる。


「・・・うわぁ」


 その食事の残骸故に、4人のうちの誰かが思わず、そう光景を見て、そんな言葉を漏らす。


 ・・・彼らは見えてしまう。


 無造作に打ち捨てられた多くのGの残骸を。そのまだ数匹がピクピクと痙攣させ、数秒後にそのうちの1匹が動かなくなり、その命を散らす様を。


 今しがた捨てられたGも、もうほとんどの肉を貪られ、満足に動くことのできなかった。


 今しがた投げ捨てられたそのGの目が遠くのあなたたちを見たような気がした。


それはピクピクと痙攣しながら、何かを求めて、倒れた仲間のもとに行く助けか、それともあなたたち冒険者に挑み、そして死ぬという救済か・・・・そのもう立つことがやっとのその足で、最後の体力を振り絞り、そこから立ち去ろうと動こうとした・・・・だがしかし、Gが動こうとしたときに、それを察知した化け物にGの身体の数倍もあろう大きな泥で原型も残らないほどの勢いで叩き潰された。


 グチャリッッ


 遠くからでも聞こえた。何かが無残にも叩き潰される音が。


 無慈悲に無感動に、その魔物の命は貪られ、叩き潰され、生き絶えた。


「・・・・・・」


 冷や汗が垂れる。


 私たちはあれの偵察の依頼を受けているのだ。


 私たちはあれを観察しなければいけない。


 場合によってはあれに挑まねばならない。


 そんなことができるのか?


 あの怪物に、あの化け物に・・・。


 その大き泥の塊が無造作に振り下ろされれば、前衛の2人なら・・・まだ持ちこたえられるであろうが、ルルラやエフィーは避けなければ、Gと同じように叩き潰され、物言わぬ肉塊へと変えられてしまうだろう。




 そうして、その化け物は食事を終え、また新しい食事を求めてか、彷徨い歩く。


 そして、化け物がふと後ろを振り向き、数瞬それがこちらを睨んだような気がした。


 数瞬のことだが、4人の呼吸は乱れさせ、4人から正常な呼吸方法を忘れさせた。


 その睨みら数秒後か、数十秒後か、それとも数分あとのことだったろうか・・・その化け物は森のどこかへと消えていった、化け物が見えなくなった後に4人の金縛りのようなものは解け、4人は精一杯肺に空気を取り込もうと荒く呼吸をする。


 それは時間にして、数秒であったであろう。


 だが、それを目の当たりにした彼らにはその数秒が数十秒、数分に引き伸ばされ、その恐怖と対面した。


『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ありゃ、無理だ』


 全員が全員同じ感想だった。


 あれは強い。


 何も考えず勢いだけで当たれば、必ず数瞬で全員今さっきのGと同じようにミンチの肉塊に成り果てるだろう。


 あれが意思を持って、明確に私たちに殺意を向けて、殺しにきたら・・・・・・無様に私たちは死ぬしかのではないか?


 そんな恐怖と対峙しながら、彼らは進む。


 今ここでクエストを投げ出してしまえば、あの約束を破ってしまうから。


 この恐怖に対峙して、逃げた彼らを町の冒険者は臆病者だとは笑わないだろう。英断であったと、良く情報を持ち帰ってくれたとギルドの職員たちは称賛してくれるだろう。


 だけど、彼らはまだ進む。


 それは魔人を討伐したという名誉のためか?いいや、彼等は自分達では敵わないと分かっているだろう。

 それともただ誰とも知らぬ若い冒険者の願いのためか、いいや、彼らはそこまでその命に自分の命を懸けないだろう。

 それとも・・・この町の誰かを守りたいためか・・・いいや、故郷でも、長く住んでいるわけでもこの町に命を懸けるほどに大事なものなどありはしない。

 それとも・・・挑みたいと思えてしまう自分の無謀さ、若さゆえか・・・いいや、そんなに彼らは夢など見ない。


 私には彼らが何のために恐怖と打ち勝ってまでして、歩みを止めないのかは分からない。


 彼ら自身にそれぞれ思うところがあって、逃げないのであろう。


 その逃げぬ彼らが見た魔人の攻撃の仕方を見れたのは奇跡か、それともこの先の絶望をより深くするための布石か。


 彼らは物語に出てくるような英雄ではない。

 誰も彼もを救えるような勇者でもない。

 ただの多少腕の立つだけの冒険者だ。


 その震えを彼は名を知らぬだれかとの約束という決意で止め、魔人の後ろを姿を見えなくまで見据え、ゆっくりとだが、震えなどない確かな足取りで仲間の後を追う。

 何考えてるんだろうね、彼ら((((オイ


 作者はFG●というBGMというドーピングしながら書いてるので・・・深くは考えていない。

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