187.
「魔人?」
とそういう声が4人から聞こえたが、それに返答はせずに一方的に受付嬢は話す。
「ダンジョンに1人で無謀に行かなかっただけましでしたが・・・ですけど、この厳重警戒の中でダンジョンの前で問題を起こす行為が問題なのですけど・・・」
そう受付嬢はため息を一つ零した後にこう続ける。
彼ら4人はそれが本当にガネルなのか・・・?受付嬢が言っていることは本当なのだろうけど、パーティを組んでいるガネルという人物を知っている自分達にはそれがどうしても本当に彼なのかと受付嬢のその言葉を疑ってしまう。
「ですが、幸いにも・・・と言っては何ですけど、大事になる前にその冒険者さんがガネルさんを・・・思いっきり気絶させたおかげで・・・さほど冒険者のいざこざ程度でに済んだのですが」
気絶という言葉に多少のいい淀みを感じるが、そんなことを気にする4人ではない。
「それでですね・・・入ろうとしていた人物がそこにいるのは危険なので、あちら責任者にもこちらからそちらに送るための人員がないとのことで、あなたたちにガネルさんを迎えに行ってもらいます。もちろん監視のためにギルドからの随行員も1人つけますが・・・事態の収拾がつくまでは、こちらも色々と手を回していたりするのでとても忙しいので、くれぐれも!問題を起こさないでくださいよ?」
「それで今回は、ガネルさんの監視とこれから来る随行員の手伝いを今回の罰則とします」
その少し前・・・部屋の前で聞き耳を立てていることに集中していて、背後から近寄ってくる足音に気づかなかった。
「そこで何をしているのですか?」
「・・・」
ビクリと肩を震わせながら、ギギギッと錆び付いた機械のように後ろを振り返るとそこには司書さんがいた。
「・・・へ?」
予想外の知り合いにちょっと変な声が出た。
「ユウキさん?・・・あぁ、そうですか、あなたの仲間だったんですね、ならお互いこの部屋に呼ばれたわけですし、入りましょう」
そうして、ぽんっと手を叩き、1人で勝手に納得して、俺は背中を押され、部屋の中に強制的に入れられる。
違うよ!私ただ聞き耳を立てていた人だよ!咄嗟の弁明で思いつかなかった・・・そんなことを言ったらお終いだと分かっているから、思いついても口にはしなかったが。
「ルデラさんと・・・・あなたは確か昨日ギルド長に抱き着かれていた人・・・」
そして、見つめてくる受付嬢と、アルたち4人。
「・・・ど、どうも?」
その覚えられ方は非常に嫌だな・・・。と思いつつ、この謎の注目感が気まずい。
「ん????」
ルデラさん、もとい司書さんは部屋の中にすでに入っている受付嬢と、4人の冒険者を見て、あれ~?何か私は間違えたのだろうかと・・・考えていた。
「聞き耳を立てていたんですね、昨日ギルド長に抱き着かれているのに懲りない人ですね・・・今はいいです、それで・・・」
そんな大して知られても困らなさそうに、軽率な俺の行動に呆れているかのように話を再開した。
そうして、4人が今回の罰則で同行する人だと説明をし終えた。
「ガネル君というのが昨日言っていた君の知り合いかい?」
そして、受付嬢が話し終わった後、少し考えた後、俺に振り返り、そう静かに問いかけてきた。
「えっと・・・はい」
「うん・・・なら、君を荷物持ちとして連れて行くことにしよう、ちょうど1人では抱えきれないほどに本たちがあるしね」
そう名案だと言わんばかりに大袈裟にリアクションをして、にっこりと笑いながら彼は俺に手を差し出す。
「それでしたら、現場のギルド職員の人たちに頼めば・・・」
だが、それを納得していない受付嬢からそう提案をされるが、彼はそんなことを気にしなかった。
「あんまり本を粗雑扱いそうなの人が触られるのが嫌なんだよ。その点僕はこのユウキ君を信頼している、彼ならいつも本を大切に読んでくれるし、安心だ」
そう冷たい声で拒絶する。
「ですが・・・こちらとしても、あまり騎士団の方々を刺激するわけには・・・ただでさえ厳戒態勢の中ガネルさんが問題を起こした後ですし、あちら側に伝えている人数を超えるのは・・・」
「別にその程度なら彼らは少し注意するくらいだよ、こんな事態の中それを強く言うほど彼らは暇ではないだろう。・・・それでも心配だったら、ユウキさんには武器を置いて行ってもらって、本当に僕のただの荷物持ちという形で同行ならいいかな」
司書さんは折れないと・・・諦めた受付嬢は俺のほうを向いて。
「・・・・ユウキさんが納得されるのならいいです、ただし!武器は本当に小物以外は預からせてもらいます。あちらの道には魔物など、周辺の盗賊なども討伐済みなどで襲われる心配はないはずです」
そうあれやこれやと武器を預けて、ほどほどの数の本を馬車に詰め込み、ガネルがいるであろう場所へと俺達は向かったのであった。
静かにパソコンの電源が切れる・・・そして、つかないパソコン・・・終わったと思った。
だが・・・少し時間を置いたら、またついた!・・・おじいちゃんパソコンやな・・・。