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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
196/255

184.


・・・ギルドの中に入るといつものようににぎわっていた。

 だけど、その中で気になるものに聞き耳を立てて聞いていると、このような話が聞けた。




「おい、聞いたかよ、あのダンジョン潜るの禁止だってよ」


「あぁ、今朝からボードに張ってあるやつか、準備してたやつは気の毒だな」


「どうせ俺らにゃ関係ない話だろうがよぉ、はっはっは」


「いや、そうでもねぇんだな、これがあそこにあるダンジョンが魔物避けの玉の原料とってるとこなんだよ」


「本当か?そりゃ・・・俺らの予備いくつ持ってたっけ?」


「手元にもとからあったのは2つぐらいだよ・・・俺もそれ聞いてよ、急いで行きつけの薬屋回ったんだが、もうどこも売り切れてやがったよ・・・店の婆さんから聞くところによると昨日のうちに旅商人やらが買い占めたんだとよ、まったく耳が早い商人共だわ」


「ちっ・・そりゃ、ついてねぇよな」


「だがな・・・ギルドから売られているほうは商人もさすがに手を付けなかったみたいでな、まぁ・・でも、ギルドからは2つぐらいしか売ってくれなかったがな・・・この数じゃ、当分は遠出は無理だな」


「だな~もうある程度気が抜ける夜の見張りになれちまったらな・・・できれば、やりたくないしな」


「そうだよな・・・いつになったら、ダンジョンが解放されるのやら」


「さぁな・・・」


「おい、お前ら近くの村にゴブリンが出たらしいんだ、そのクエストをやらないか!」


「どこだよ、その村は?」


「1日くらい先にある農村だな、そこそこ報酬は良かったぞ」


「・・・往復2日か、まぁ、仕方ねぇな」


「じゃあ、いくか」



 普通にちょっと気になる話をクエストボードのほうを見ながら、聞き耳を立てた。

 そして、その話も終わったところで、受付嬢さんに資料室に行ってもいいかということを聞いてから、上に上がる。

 資料室の扉を開けると・・・いつも通りに端で座って本を読む司書さんの姿があった。


「おや、ユウキさんではないですか」


 扉の開いた音に気付いてこちらのほうに気づき、本をパタンッと閉じ、司書さんに挨拶をされる。


「今日は何を読みに来たのですか?」


 そう尋ねてきた。


「おはようございます・・・あぁ・・・うん、いや、今日は別件です」


 そう読むことがないことを伝えると、顎に手を置き、小首を傾げながら、資料室に何の用があってきたのであろうという感じで司書さんは悩む。


「ふむ・・・?それでは何のご用でしょうか?」


「えっと、その・・・落ち込んでいる人に贈るお土産?・・・おすすめの贈り物?を聞きに・・・」


「ほ~う、なるほど・・・そうですか」


 自分にそんなことを聞いてくる人がいることに若干驚きながらも、司書さんは少し考えた後に、こう口にする。


「ん~それは僕ではなく、受付嬢の皆さんに聞いた方がいいでしょう、みなさん冒険者さんからいろいろなものを貢がれていますからね、時々僕のほうにも食べきれない分なんかが流れてきますので、それに僕は基本的に本以外はあまり興味がありませんので、ご期待に添えず申し訳ないです」


 そう少し頭を下げながら、謝られた。


「あ、いえ、こちらこそなんか、すみません」


 正直・・・あんまり期待はしてなかったけど、頭を下げられると一層に心の中の罪悪感が肥大化して、心の中が申し訳なさであふれてしまう。


「でも、聞きたいことはそれだけではないでしょう、こんなところに来るなんて他に用はないのですか?」


「特には・・・」


「本当に?」


 自分は特に今はやることがないと示すためなのか、紅茶まで用意されてしまった。

 確実に何か聞きたいことがあるんだろうなと察せられてしまっている気がする。

 ・・・まぁ、うん、普通に聞こう。

 目先の目標である贈り物について、先に受付嬢さんから聞いて、後日魔人のことについて聞こうと思っていたけど・・・。


「・・・1つだけ気になることがあって、魔人ってなんですか?」


「あぁ、魔人ですか・・・クエストボードにあるところには書かなかったような気がしますが、人の口には戸が立てられないと言いますしね。・・・ふむ、あなたを信用して話しますが、あまり人には広めずにここだけの話にして欲しいのですが、数日前にあるダンジョンでそれが発生してましたね、ユウキさん、あなたはその近くのご出身で?」


「あぁ、そういうわけでもないんだけど、少しそれに落ち込んだ友人の友人?知り合いが関わっているらしくて」


「あぁ、ふむ・・・そうですか、ここは魔族からはある程度距離が離れていて、あまりそういう話も聞かないでしょう。戦争が終わってからはなおさらその話は少ないですし、あなたが知らないのも無理がないですね」


「さて・・・何から話しましょうか・・・」


 


・魔人は自然発生する。

・一定数の魔人は亜種魔族として魔族領で暮らしている。

・このダンジョンに発生している魔人は理性がないものと見られ、討伐対象になっている。

・暮らしている魔人は例外的に理性を持っていたか、上位魔族がそれを制御し、魔族領に連れ帰ることもある・・・だが、周りに被害が多くでていた場合は即刻その場で処分する場合が多い。

・ほとんどのダンジョンで発生した魔人は侵入者に非常に攻撃的であり、今まですべての確認できる事例に置いて処分されている。

・魔人は等しく強く、上位冒険者並みは生まれたてでも持っている。

・体が元になった魔物の特性を受け継いでおり、見ただけで分かるほどの人の形をした異形の姿の場合が多い。




「ほかにも種類によっていろいろなのがありますが、一部の魔人や魔族のことについて書かれてある本でも読みますか?」


 そういくつかの本棚に向かって、何冊か本を取り出して、こちらに勧めてくる。

 が、今日は贈り物が第一目標なので、『また時間があるときに』と断って、受付嬢さんたちのところに向かった。

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