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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
193/255

181.


 Eランクになったとしても、魔物と戦うのは怖いから、普通に採取している日々。

 ゴブリン。コボルド。角兎。森林狼。など戦ったことや見たことのある魔物などの常時依頼なども目に付くようにはなったが、見ない!

 すぐに見つけられて、それで無傷で綺麗に倒せるなら、その分割のいい依頼だろうけど、俺の場合、倒す前に攻撃されそうだし・・・それで盾が傷ついていて、そのちょっと修理にちょっとの金と手間がかかるかもしれないし、もし大怪我なんてしたら・・・そんな想像が浮かぶので、冒険せずに堅実に採取依頼を受ける。

 ただし、これは冒険したいからといってダンジョンを出て、冒険している(ダンジョンマスターが憑依している)ホムンクルスのセリフである。

 ・・・冒険はしたいけど、自分が怪我する冒険じゃなくて、できる限り安全に冒険したいよね。


 採取にしても、Eランクになって、薬草や、ちょっと魔物が出現するところにある美味しいらしい木の実、同じような場所で獲れる飲み薬の原料になる木の葉などが増えている。

 Eランクの依頼は、都市に近い安全が十分に確保できているところから、ちょっと都市の監視の目が届かないかな?という場所の討伐依頼や、採取依頼が受けられるようになったということだ。

 Eランクになってから、また資料室で依頼物の群生地らしき場所などや、そのあたりのことを調べていたら・・・まぁ・・・うん、そんな都合のいいことなどはあまり載ってはいないのだが、ある程度どの方角にあるかが司書さんが教えてくれた資料で、どこらへんに生えやすいかなどの情報が植物図鑑を調べていて、分かった。

 群生地なんてそんなの自分らの飯のタネになるのをこんな資料なんかに載せないで、普通に自分だけやパーティで独占して普通に稼ぐよな、うん。・・・分かっていても、もしもの時に備えてギルドがそこの情報を隠蔽したりとかも・・・ありそう?な気もする。




 そうして、1人で目星をつけた採取地の辺りに行き、採取しているときに角兎などに襲われたりもするが、採取だけに集中して・・・周りを見ていないなどということはなく、ちゃんと気づいて、それを普通に危なげなく倒す。

 そして、またこそこそと採取して、帰る。

 だが、ちゃんと根までは取らなくていい薬草は根元より下を刈って、またすぐに生えてくるように配慮しながら、採取する。

 球根が薬の原料だったりするものは・・・普通に根までとるが、余計な分は取らずに、依頼分だけ採取するようにしている。

 今回は依頼にはなかったけど、角兎もとれて?襲われたけど、無傷で返り討ちにできて満足。

 採取が終わった後に川に行って、血抜きをしてから、これでちょっと買取価格が上がるな~とちょっとにこにこしながら、都市のほうへと帰っていく。



 いつもより少し背中の荷物を重くしながら、俺はギルドへと戻ってきたのだが・・・。

 陽の傾き方からして、到着したのはいつもより遅い時間で、もうギルドの酒場は酔えるレベルの酒も解禁している時間帯だろうと、ちょっと酒飲みに絡まれたくないな・・・と少し嫌な気持ちを抱えながら、扉を開ける。

 だが、その日のギルドはいつものうるさい酒飲みたちの喧騒とは違った。


「なんでですか!!」


 この荒くれ者?が集いそうなギルドではよくあることではないが・・・いやだって、あのギルド長にお仕置きされる覚悟で怒鳴り声を受付嬢にやるとか、余所者以外無理だよ?

 その声はヒステリックな女の声ではなく、男の声だったので・・・余計に確実にアレに狙われる。

 あぁ、今日は哀れな犠牲者が出るんだなと、その対応している受付嬢に対応お疲れ様と、それと怒鳴る人に憐れみを想う。

 誰かが受付嬢さんに依頼金の文句でもやってるの?とかその話の内容を想像しながら、別の受付嬢さんの列にしれっと並ぶ。

 その周りを囲むように「なんだ?なんだ?」と集まっている冒険者もいるが、俺は野次馬根性よりも、関わらずに過ごしたい。

 関わって、ギルド長に見つかったら、なぜだか・・・毎回ハグを受けるからだ。

 最近のお気に入りになりましたねとにっこりとこちらに笑顔を向ける受付嬢から言われたが・・・解せぬ。

 できるなら、ギルド長より受付嬢のお気に入りになりたいです!!と言いたかったが、そんなことを言えるはずもなく、心の中で思っただけだが。


 受付の列が進むごとにその文句を言っている声がはっきりと聞こえてくる・・・聞き覚えのある声だ。


 ・・・それはガネルの声だった。


 ・・・すぐさまそこに向かうなんて、もったいないことはせずに、ちゃんと自分の番になった受付で薬草などの精算をする・・・角兎の肉の精算には別にまた査定に時間がかかるので、宿屋にあげればいいかとそれを出すのをやめて、受付嬢からお金を受け取り、ガネルのほうへと人混みの中をするりと・・・時々押しのけながら、人の壁の中から出て、そばまで向かった。

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