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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
191/255

179.


 扉を開けて、まず最初に目に移りこんでくるのは、本棚と本である。

 ざっと見まわした感じでも、その資料室には小さな図書館?くらいの蔵書量がありそうだ。

 そうして次に目に移りこんできたのは、しっかりと見張り?司書らしき男性が入り口付近でペラペラペラと本を読んでいる姿だった。

 ・・・いや、うん、そのぐらい当たり前か、この世界の本ってあんまり見かけないし、受付嬢からの口ぶりからしても、高いものなんだろう。

 そんなことを考えていると、本のほうへ向かう足音で、司書の男性がこちらを一瞥して、興味なさげに視線をまた本のほうへと視線を戻した。


 トコトコトコと本棚に向かって、歩いていると、司書の横を歩いた時にこう言われた。


「・・・はぁ、飲食厳禁、本を汚すな、基本的に本をこの部屋から持ち出すな、この部屋ではうるさくするな、それ以外なら好きに自分で本を探せ、守れないようならこの部屋から叩き出す」


 そう言って、また彼は自分の持っている本を読み始めた。

 ・・・自分と同じくらいの背丈っぽいのに叩き出すなんてことができるのか!!なんて挑発じみたことは言わずに。

 軽く司書さんに会釈をしながら、自分の目的に沿った本を本棚から探す。




 そうして、周辺の魔物のことについて書かれているっぽい本を数冊持ってきて、置いてある椅子に座って、さぁ!読むぞ!と椅子に座った時にアルからこそこそと話しかけてきた。


「おまえ・・・本当に本を読むのか?」


 そう疑い気味な視線を向けられたが、アルもとある一冊の本を持っていた。

 こちらから見えるアルが持っている本の表面には・・・・『勇者物語』と書いてあった・・・資料?まぁ・・・うん、いいか。


「読みますよ~普通に文字を読めるんですから、本を読めばいいじゃないですか?」


 あんまり声を大きくするといけないので、強く言いたいのはあるけど、ちょっと語尾を間延びさせるする。

 事前準備大事・・・・人よりも詳細な情報が本には詰まっているんだ!!・・・・知らない人から聞くのが嫌だな・・・とか、そういうのじゃないんだ。


「お前あれだぞ?あれ・・・そういうのはめっちゃ眠くなって、寝て、涎がついただけで、俺達の1週間の稼ぎ全部みたいな罰金支払されるんだぞ?俺は怖くて読めねぇ、無理無理、ぜーったい無理、というか、罰金とか嫌だ!」


 ・・・いや、寝るなよ。

 ていうか、その本持ってきているのに、他の本が読めないってことはないだろう。


「・・・」


 無言でじーと見ているなんてことには気づかずに、続きを話した。


「それによぉ~読むよりも実際に戦って、体験した方が、なんだ・・・うん、本より断然いいだろ」


 事前に知りたいから、読んでるんだよ・・・アルのことを無視して、読み始めると・・・こっちがもう聞いてくれないのを察したのか、彼もまた持ってきた本を読み始めた。




ペラ・・・・・・・・ペラ・・・・・・・・・ペラ・・・・・・・・


 あはは・・・・・くすっ・・・・おぉ!!??・・・・おぉぉぉぉ!!


 ・・・真正面の席に座っている子がうるさいです。

 後ろをちらりと見ると・・・司書さんは全然気にした様子はなく、、ただ淡々と自分の本を読んでいた。


 3冊目を読み終えるころにはアルは・・・寝ていた。

 途中から俺の読み終わった本を手に取って。


 ペラペラペラペラペラペラペラペラ・・・パタンッ。


 みたいな感じでやる気がなさそうにこちらにまだか?という視線を送っていた・・・いや、もうお前だけで帰っていいよ?と内心思っている。

 今回はちゃんと泊まる店の名前も覚えて、買い食いする金も持ってきているから、大丈夫。・・・道も多分覚えている!


 数分後、他の俺の本を流し読み始めたが・・・数分もたたないうちに、うとうとと舟を漕ぎ始めて・・・さらに数分後にはいびきをかきながら、寝始めた。


「・・・」


 その際、口の方に開いた本が寄っていたので、罰金の話もさっき聞いていたことだし、横にどけて、涎などが本にかからないようにちょっとした心づかいをした。




 そうして、持ってきていた関連の本を読み終えたころを見計らって、司書さんらしき人が紅茶を入れ、持ってきてくれた。


「あ・・・どうも?」


 ・・・え?別人?本人が飲食禁止って言ってなかったっけ?


「・・・本を仕舞ってから、どうぞ、飲んでくださいね」


 ・・・・そうして、自分が呼んでいた本と、アルが読んでいた本を仕舞ってから、席に座って、入れてくれた紅茶を飲み始めた。

 ・・・私はお茶のほうが好みです、ないんだろうけど・・・いつか謎の東の島国で見つけなくても、ダンジョン帰れば、飲めるか。

 そうして、紅茶に手を付け始めると、司書さんがこう話し始めた。


「今時、そんな本を読むなんて珍しい冒険者ですね、みなさんは先輩冒険者たちに付き添い、学び、経験するので、今の若い冒険者などは、ほとんどここには訪れなくなったというのに・・・」


 先輩冒険者・・・横にいる寝ている人か・・・な?


「初心者冒険者が来ても、だいたいはギルドから借り出された緊急の資料を探しに来たりだけですしね」


 ・・・まぁ、うん、周辺のことなんてのはだいたい初心者以外・・・見ない、のかな?


「あなたのように本を大切に読む人は大歓迎です・・・そちらのいびきをかいて寝いている人は別ですけど・・・それともうすぐこの部屋閉めますので、この人を連れて出ていってください」


 そう言って、また自分の席へと戻っていった。

 ・・・アルを抱えて、宿屋に!!なんてことはせず、いや、階段でもし踏み外したら怖いし、こいつ大剣もってきていたし・・・その人間と大剣を運ぶのは無理とは言わないけど、辛いやん?

 アルの頬を叩き、起こした。

 起きたときはちょっと・・・・寝ぼけていたが、自分が本を読んだまま寝落ちをしたことに気づいたのか・・・開幕一言に『・・・罰金!?』と言ってきたが、ちゃんと避けたことを説明すると感謝された。

 買い食いを奢ってもらえて、得した気分になった。

 ・・・宿の夜飯はちょっと腹の容量的にきつかったが、全部残さず食べた。

 意図せずにグロ画像が流れてきて、それを見てしまった時の気分の落ち込みようと言ったら、ヤバいの一言に尽きる。

 しかも、ノーフィクションなんだよね・・・フィクションのグロ画像なら、グロいな・・・なんて一言で終わるんだけど、ガチな現実で起こったグロ画像は、ね・・・

 めっちゃ気分が・・・ただし、この作者はキーワードに『ダーク』を入れている。

 

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