178.
1週間という制限時間が課された中で、俺が何をやっていたのかというと・・・本を読んでいた。
普通の新人冒険者なら!!・・・普通に雑用みたいなことをしていたと思うが!!しかし、俺はあんまり・・・初対面の人とは、ちょっと・・・まぁ、それ以外にも地方から冒険者になるためにこの都市に来て路銀とかがなくて、仕方なく・・・いや、普通の人なら、、近くの冒険者ギルドで登録して稼いでからよな、うん。
人に会わないといえば、トイレ掃除なんかは人とは顔合わせないだろうけど・・・嫌じゃん?
嫌がる仕事をしてこそ、人の評価は上がるのだ!!なんてことを言っていたとしても、結局のところ、臭いものは臭いし、汚いものは汚いっていうことは世界の真理だと思うわけです。
俺に魔法だけで便器を掃除できるほどの技量もないし、そんな便利な魔法も知らないからね。
そんなことで、できる限り1人でできそうな薬草採取をやろうとするわけだけど・・・正直この付近の土地になにがあって、何が危ないのかなんてことは全然これっぽちも知らない。
城外に出れば、魔物危ない!と言われても、魔物って言っても種類色々あるしね・・・鳥みたいな…可愛い・・・いや、最近になってGに逆襲するやつらも現れたし・・・小さいうちはかわいい奴とかね、あるじゃないですか?
ギルドの受付嬢に土地の周りのことを聞くと・・・。
「そうですねぇ・・・・あなたの紹介者であるガネルさんに聞くのが一番だと思いますよ?」
あいにくのところ・・・ガネルさんは朝から出かけてて、いなかった。
そして、なぜか暇だからとついてくるアル・・・。
ガネルのほうには聞けなかったことを話すと・・・
「でしたら、そうですねぇ・・・そのパーティメンバーであるローラさんなら、この付近のことでしたら、ある程度なら分かると思いますよ」
後ろにそのパーティのリーダーが暇そうに俺らのことを見ている気がするのに、その人を決して紹介しようとしない受付さん。
女の人たちは・・・ガネルが出ていったのを聞いたそのあとに湯あみ?銭湯?公衆浴場?に行くとか言って、いなくなっていた・・・それにアルもついていってもよかった気がするんだけど、なぜだかここにいる。
そのことを伝えると・・・
「・・・ならば、そこらへんで飲んだくれてる先輩冒険者に聞けば・・・」
アルのことは無視するようだ・・・でも、少しなんか可哀想だな・・・なんてことを後ろをちらりと振り返るとそこには・・・。
俺は?ねぇオレオレ?という後ろで何も飲んでないことと、俺も大丈夫教えられる感を出して、アピールしていた。
「あ・・・えっと、アルさんに聞くのは?」
さすがに飲んでいる人に聞くのはちょっと・・・怖いので、飲んでないと分かっていて、旅の仲間でもあったアルのことに聞くのは大丈夫か?というのを聞いてみると・・・受付嬢の顔がちょっと強張って、ん~と唸るように悩んでから、話し始めた。
「それは・・・ん~おすすめしませんよ?あの人は基本大雑把ですし、それに初心者の時は薬草採取の依頼はパーティ単位で受けていたんですけど、・・・ゴブリンに会って討伐してきたり、採取物と違うものを持ってきたり、何よりもあの人1人だと何をしでかすか分からないので、おすすめしません」
「・・・」
アルの奴、過去に何をやらかしたのだろうか?友人のことが若干心配になりつつある。
「飲んだくれに聞けというのも酷でしたね・・・でしたら、ギルドの2階に資料をまとめている部屋があるので、そこで調べてみてはどうですか?幸いにもあなたは文字の読み書きもできるようですし、それにガネルさんの紹介ですので、大丈夫でしょう」
そういうと、彼女は受付から出てきた。
後ろからなんだ?あいつとちょっと尖った視線で見つめられているような気がするけど・・・。
「今はほとんど使われていませんけど、資料などをまとめている部屋があるので、案内しますね」
そう言って、案内をしてくれる。
当然のことながら、アルもついてくる。
そうして、図書館?とは呼べはしないが、ある程度の本がある部屋へと案内された。
案内をし終わった彼女はアルの大剣を持ち込めませんと、強制的に預かった。
俺も今日薬草採取に行くかもしれないと持ってきていた腰の剣を預けておく。
最後に彼女がこう注意を言ってきた。
「間違えても、あの人が本棚倒したりするのを見逃さないでくださいね?ここには洒落にならない額を請求される資料もありますので、本当にアルさんには気を付けてくださいね?」
そう最後に言い残して、自分の仕事へと戻っていった。
あれ・・・本をゆっくりと読めるのかな?・・・本当に弁償は嫌だな・・・でも、滅多なことなんてしないだろう、入る前にアルは大剣とか取り上げられたし・・・・ん?あの受付嬢、あの大剣普通に持ってたよな・・・・・・・・考えないようにしよう、さて、読むか・・・。