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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
189/255

177.


 試験が終われば、少しの休憩とアルたちに慰めを受けてから、受付のところへと戻り、試験に対する労いの言葉と、受かったというお祝いの言葉をいただいた。

 そうして、晴れて冒険者になれたのであった。

 冒険者になるにあたって、ギルドの身分証?ギルドカード・・・ではないな、木の板を渡された。


・Fは木

・Eは鉄

・Dは銀

・Cは金

・Bはミスリル

・Aはアダマンタイト

・Sはオリハルコン


 そう渡された木札ととも、ランク制度について説明を受けた。

 つまり、木の板が嫌なら、ランクを上げていけということだな、うん。


「それで、これはランクは最低ランクのFの証ね・・・」


 普通に触った感じでも・・・木だね、なんかすぐに作れそうな感じの量産品。


「基本的に冒険者の方々はギルドカード単体のまま持っていると、どこのポケットに入れたのかなどと、混乱して、入門の際に非常に邪魔に・・・手間がかかりますので、チェーンで首元にかけておくことなどを、こちらは強くおすすめしています、チェーンなどは隣のギルド専門店で販売されているので、よかったら見ていってくださいね・・・今の木の場合は感触で分かる気がしますけど・・・」


 笑顔で邪魔になったであろう冒険者の人を・・・ディスってるような気がしないでもない。

 こ、この人は商売上手!?・・・普通にギルドからチェーンつけてくれてもいいのに・・・なんてことを影で思いながらも、そんなことは顔に出さずに、黙って受付嬢の説明を聞いておく。


「あ・・・はい、分かりました」


 こういうところはギルド長を倒して、うおぉぉぉ!!とかなって、いきなりのCランクとかになって、目立っちゃったみたいなとか・・・を妄想する。

 まぁ、うん・・・実際負けてるんだけど、対戦相手ギルド長相手だよ?普通に強かったよ?

 そうして、ついでとばかりにFランクの依頼を見せてもらうことになった。


・荷運び 

・子どものお世話 

・家の草刈り

・トイレ掃除


常時依頼

・薬草採取


「・・・」


 あれ?冒険者?便利屋の間違いでは・・・とか、一瞬それを見て思って、感じた。


「今からだと、そうですね・・・時間的に夜になっちゃって・・・厳しい、かな?うん、明日また来てね」


「え?あるんじゃ・・・薬草採取とか?」


 それに草刈りとかね!・・・常時依頼の上にあるのは・・・ちょっと遠慮したいけど。


「ダメダメ、門が閉鎖する時間に間に合うか心配だし、冒険者になれて気持ちが高ぶる気持ちも分かるけど、今日は私の言うとおりになさい」


 受付神の言うとおりにしよう・・・命というか、ある意味貞操を救ってくれた恩人なわけだし・・・


「それとFランク冒険者は1週間依頼が不達成だったら、除名されるから気をつけてね」


 ・・・あと6日でどれか・・・薬草一択だな、うん。

 ついでにその門を出るときにカリアスさんにお礼を言って、銀貨を返してもらうんだ~。




 そうして、受付嬢にお勧めの宿を紹介すると言われた!だけど、アルたちにお勧めの宿を紹介してくれるという話を思い出した。

 そのことを言って断ると・・・。


「トラ・・・あ、いえ、アルさんたちのお勧めの宿ですか・・・たぶん、あそこですし・・・それなら問題ないでしょう」


 そうして、ギルドの飲み場で、他の冒険者と談笑しながら、俺の説明が終わるまで待っていてくれたガネルとともに、ギルドを後にしたのは・・・いいのだが・・・。




「・・・帰る道も行く道も分からない、宿屋ってどこなんだろう・・・宿屋の名前を知らないから、人にも聞けない」


 だんだんと薄暗くなっていく中、俺は冒険者ギルドもどこだか分からないところで立ち止まって、茫然としていた。

 ちょっとなんだ・・・ほんのちょっと匂いに釣られて、焼かれているお肉の串焼きを見ていただけなんだ。

 今度は同じ失敗を繰り返さないとすぐに我に返って、少し先を歩くガネルらしき耳の人を追って行ったんだ。

 あの時はなぜ・・・耳だけを見て、あれがガネルだ!なんて自信満々に後をついて行ったのだろう?

 そんな後悔を浮かべても、あの時の間違えは間違えのままなのだが・・・。

 なぜあの時・・・知らない犬耳のおっさんの後をついてちまったんだろうか・・・。

 何の話もふってこないし、歩くの速いし、ちょっとおかしいなとは思ってたんだ。

 早歩きして、その耳のある人の顔を確認したら・・・知らないおっさんだったんだ。


「・・・」


 知らない都市の道で、1人ぼっち・・・寂しいし、本当に心細い・・・

 どんどんと気持ち沈みかけていたその時に、いきなり思いっきり手を握られ、振り返るとそこには・・・。


「はあはぁ・・・はぁ~~無事でよかったです・・・でも、だから言ったじゃないですか!食べ歩きをしようとするのはやめて下さいと、僕がみつけられてよかったですけど」


 こうして、ガネルによって、無事救助されるのだが・・・ちょっと涙目になりながらおろおろとしていたのは・・・仕方ないことなんだと思う。

 どんどん薄暗くなっていく都市、大勢の人混み、知らない場所で知り合いとはぐれて、1人ぼっちとか・・・泣きたくなるやん。

 普通に宿屋に行くまでの間小言や、説教を言われながら、ついていく。

 今度は迷わないように、しっかりとその耳を記憶しながら・・・

 そして・・・次からはちゃんと1人で泊まる宿に帰れるように、道覚えてから、買い食いするんだ。

 これが男女なら恋愛フラグなんだろうけど、男と男なんだよな・・・。

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