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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
188/255

176.


「じゃあ・・・・試験始めるわよ~」


 いつも通り、客席には・・・あんまり人がいないわね・・・いい男が見ていると、あたしも昂っちゃうのに・・・・残念だわ~、それにまたあの子たちいるわ・・・あたしだって、ちょっと昔は手加減できなくて、興奮を隠しきれなくて、トラウマを与えたことだってあるけど、今じゃあ・・・ね?

 テクニシャンになってるのよ~あの子たちの身体に教えてあげたいわ~~まぁ、やったらやったで、あのパーティとあたしじゃ、ちょっと分が悪いわよね・・・ギルドの試験なのだし、あんまりお痛すると、ギルドの子たちも敵にまわっちゃうし~あぁ~若い男を触って、舐めまわして、魅惑の新しい世界へと導きたいわ~。


 あ、いけないわ・・・試験中だというのにうっかり妄想の世界へと入り込んじゃったわ。

 でも、何も攻撃仕掛けられてないわね。


「よろしくお願いします」


「あら~礼儀正しい子じゃない、あたしのこ・の・みかも」


 あら~もう始めって言っているのに、挨拶なんてしちゃって、この子可愛いわ~。

 他のことは違って、不意打ちに『死ね、オカマ』って言わないことは評価できるわよね・・・あ~ん、でも、教育的指導ができないってことは ざ・ん・ね・ん だわ~


 ふふふ・・・言葉を言ってくるだけで不意打ちをしないなんて、いい子ね~受付ちゃんの方にウィンクをして、試合の合図を言ってくれるように心の中でお願いをした。

 その気持ちが通じたのか、それともこの光景を見かねたのか、受付ちゃんが試合の合図を出してくれることとなった。




 合図があったっていうのに、あの子は先に動かないなんて・・・舐められてるわね・・・でも、それがいいわ!!もっと舐めて頂戴!物理的にでもいいわ、存分に歓迎するわ!!

 あら・・・いけない、あたしったら、また少し妄想の世界に入り込んでいたわ。

 だけど、女性に優しくできるなんて、あたしのあ・な・たという人としての評価がぐんぐん伸びちゃうわ~ん。

 で・も・これは冒険者になるための試験なのよね・・・人としての評価が上がっても、いい男が魔物に殺されちゃうのは悲しいことだわ・・・あの子が冒険者になるのに相応しいか、あの子が本気を出せるように・・・ちょっとあたしが先に動こうかしらん。


 あの子との呼吸を合わせて、跳ぶ。

 無音であの子の後ろへと移動して・・・そして、無防備な背中・・・我慢できなかったわ。


「あ~ん、若い男のか・ん・しょ・く・・・滾るわ~」


 あの子の身体・・・田舎からにしては、身体が綺麗すぎるわね・・・生まれたての赤ちゃんみたいな、柔らかな肌だったわ・・・体質かしらん?羨ましいわ~ん。




 それからはあの子は本気になってくれたのか、きちんと攻撃してくれる、でも・・・それじゃあ、あたしには届かないわ~。

 でも、見るからに・・・大楯が邪魔よね~、あたしからはそんな本気な攻撃もしないで、軽く攻撃するだけだから、攻撃を見るためにも存分に来てほしいのだけど・・・前衛として、耐えられるかどうかも見なきゃいけないわよね・・・


 左手に意識を集中して、盾に向けて・・・一撃を放つ。


「あら~・・・やるわね」


 地面には後ろに数歩引きずられたような痕が残され、その先には攻撃を大楯で防ぎきったあの子の姿も見えた。

 本気の1割も出してないけど、盾を手放さず、倒れず耐えたってことは評価高いわね・・・この子は当たりね。

 大楯をもう一度攻撃してみると、今度は先ほどの受けた攻撃によって、手が痺れていたのか、あっさりと大楯を手放して、木剣で反撃された。


 やってくる木剣をいなし、弾き、かわす。

 この子、太刀筋も素直ね・・・あの子らに人に教えるなんて器用なことができると思えないし、天才にはどうにも思えないし、いい師でも持ってたのかしらん

 そんなことを思いながら、かわしていると、大楯を手放していた方の手から砂が飛んできた。

 ちょっと・・・それが目と、服に入っちゃって・・それに気を取られて、ちょっと木剣が掠ったわね・・・ふふふ。

 そういえば、記入欄には魔法は生活魔法だけ書いてあったわね、貴族ならお忍びでも、ちゃ~んと自己顕示欲の塊みたいなものだから、大げさに魔法の欄に書くわよね~なら、貴族の線は薄いかしら?この子の住んでいる村に隠居している魔法使いの人から教えてもらったのかしらん~?


 もう手は出しつくしたと思うし・・・冒険者になれるだけの実力も見せてもらった。


「さて・・・あなたの実力も十分に見させてもらったし、これで終わりにするわね~」


 そう言ってから、一瞬で距離を詰めて、腹に一撃を入れようと、気絶させる気持ちで放った攻撃を、寸でのところで木剣により防がれそうになって・・・木剣を破壊して、そのまま腹に一撃を入れてしまった。

 ・・・ちょっと力を入れすぎちゃったかしらん。


 恨めしそうな目で私を見るあの子・・・はん!?何かしら、この滾る気持ちは!?


「あら~大変、早く私のへ、医務室に運んで行かなきゃ~」


 気付いた時にその子をお姫様だっこをして、お持ち帰りしようとしたら、受付ちゃんに止められて正気に戻ったわ・・・残念だけど、規約違反も暴力沙汰も起こしてない子を同意もなしに連れ込んじゃいけないわよね・・・残念だわ。

 とても・・・とても残念だわ。

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