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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
186/255

174.


 あのオカマもとい、ギルド長から解放されたガネルによって、俺はギルドへと連れ戻された。


「・・・あれはいなくなりましたから、あれがいるのは、ここのギルドがちょっと特殊なだけですから、逃げないでくださいよ?・・・他の職員の人たちはだいたいは普通にいい人たちなんですからね・・・あれも…趣味以外はいい方ですから・・・・本当に趣味以外は・・・」


「・・・」


 オカマなギルド長は特殊、うん、そうだ!

 そうだよね、こんなオプーンなのが何人もいたら、歩いてきた道でもっと派手な人が目につくはずだよね、うん。

 そうして、気持ちを新たにし、またギルドへと戻っていったら、今度は抱擁されているアルが・・・いなかったが、普通に説教がまだ継続中だった。

 その隣の受付では普通に腰や、背中に武器を持っている人たちが何やら話していて、離れたほうには、さっきの陰鬱として、天災から身を隠していた人らとは思えないほどに、酒場らしきものをしていた。

 そこでは4、5人で卓を囲んで、明るく飲んだり食べたりしている。


「昼間っから・・・酒ってすごいよね?」


 ボソリと小声で隣を歩いているガネルにそう聞いてみる。


「あぁ、あれですか・・・酒といっても、ここで提供されるのは全然酔わないもので、水みたいなもんですよ?・・・自前で酒瓶を持っている人たちは除きますけど・・・ここでみんな気の合う仲間を見つけたりしているんですよ、僕らはここで・・・出会ったわけじゃないですけど、多くの冒険者たちはここで仲間を見つけたりしていますね」


「へ、へぇ・・・」


 そうガネルの説明に感心して、ちょっと酒瓶持ってきている人らはどんな人なのかなと探ってみようとしていると、ガネルがこう続けた。


「ユウキもあそこで気の合う人たちとパーティを組むことになるかもですし、覚えておいて損はないですよ」


「・・・仲間か」


 いや、まぁ・・・そうだよね、こいつらとは友達という関係になっても、今のまま成り立ってるパーティに横から入ることはできねぇよな・・・それに役割的に盾の大きさは違っても、かぶりそうだし、仕方ないよな、うん。




 それで4人が怒られているところまで来ると、ガネルと俺の存在に気づいた受付嬢がこう言ってきた。


「あ、ガネル君とさっきの・・・先ほどは大変お見苦しいものをお見せして申し訳ありませんでした・・・それで何の御用でしょうか?ご依頼でしょうか?それとも、まさか・・・この人たちがまたどこかの村に迷惑をかけて、その自警団の人が彼らのホームであるこのギルドに文句を言いに来たとか?・・・・じゃないです、よね?」


 その人は俺の腰にさしてある剣と、後ろに背負ってる盾を見ながら、そう問いかけてきた。


「いえ、冒険者になりに・・・やってきました」


「そうですか、では、この書類に名前、出身村、魔法、使用武器などを書いてください、書けない場合は言ってくだされば代筆します、他に誰か冒険者さんの推薦とかありますか?」


「あぁ・・・俺が推薦できるか?」


「アルさんは・・・今までの累積している評価が・・・ちょっと」


「えっと、僕なら・・?」


 そう控えめ気味にガネルが手を挙げると・・・受付嬢はにっこりと笑顔を浮かべて、こう返した。


「アルさんより、ガネルさんの評価なら、大分信用できますね」


「・・・」


 アルたち、なんか前にヤバいことでもやったんじゃないかと・・・旅仲間として若干不安になる評価・・・神官が撲殺とか、虫を見つけたら、魔物じゃなかろうが魔法をいきなり放たれたり、アルが森林を少し破壊したりあったし・・・それか、な?

 そんな旅のことを思い出しながら、その記入欄に書いていく。


「では、試験を行いますので、誰か・・・試験官をお願いできる方は・・・」


 そう受付嬢が酒場らしきところに声をかけると、3人の男たちがこちらに歩みに寄ってきた。

 それぞれ腰や背中に、剣、弓、杖があったが、その後ろに何やら見覚えのある人が立っていた。


「話は聞かせてもらったわ!あたしが監督官をやって、あ・げ・る」


 その人たちは背後の気配が何なのか気づいたのか、何も言わず、無言で自分たちが飲んでいたであろうテーブルに戻っていった。


「ギルド長、お仕事は?」


 そう少し疑い気味に、またさぼって、こちらに来たのではないかと思っていた受付嬢がそう聞いた。


「もちろん、終わらせたわ~」


 自信満々にそうギルド長は答えた。


「え?本当ですか!?あれだけあったのに・・・」


「もちろんよ、副ギルド長に確認しに行ってもいいわよ~」


「・・・少し、待っていてくださいね」


 本当かどうかを確かめに受付嬢は副ギルド長に会いに行くのであった。




 裏


「副ギルド長・・・あのギルド長の仕事は終わったんですか??」


 そうやせ型で、眼光が鋭く、人よりも数倍神経質そうな男にそう受付嬢は問いかける。


「ああ・・・終わってるぞ、最低限の分はな・・・全部後はギリギリ俺の権限でもできるのを全部押し付けてきやがった、あのオカマ野郎」


 そう拳を震わしながら、今日の分は終わらせたはずなのに、なぜかまだ目の前に積まれている資料を指差し、そう答えた。


「あはは・・・」


 その様子に受付嬢は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「ギリギリなんだから、俺はお前に渡したんだ、よ!!あいつ分かってんのか!?分かってねぇだろ!!そういう野生の勘だけは鋭い奴は俺は嫌いなんだよ!!はあ、はあ・・・・まあ、ギルド長直々に任せると言われたわけだから、あとで問題が起こっても俺は知らん!!そうだ、ちょうどいい、お前も手伝、いねぇわ、とっとと逃げやがったな、はあ~やるか」


 そうして、また部屋で1人、書類に判子を押し、問題点を書き出したり、書類仕事に奮闘し始めた。

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