172.
カリアスさん、イケメンだったな・・・なんて、そんなことを思い返しながら、5人の後をついていく。
その都市グローリーの人通りは、都市というだけあって、途中で寄っていた町とは比べほどにならないほどに、人が多くいた。
その周りを歩いている多くの人たちは俺達のように門から来た人だったりするのだが、そのほかに道の端のほうには、呼び込み?商品の売込みに声を張り上げ、その誰よりも目立とうとして、積極的に商品を売ろうとしている人たちもいる。
その商人たちよりも俺は気になるものがある・・・揺らめく風とともに時折鼻に・・・香ばしい匂いが漂ってくるんだ。
その店たちは、他の店とは違って、客引きなどはしていないが、圧倒的嗅覚によりその売り込みを成功させ、まるで渦巻のように、人はそれに寄せられていく、俺もその匂いに惹かれ、引き寄せられようとしていたら、俺の手を引っ張る存在によって、正気に戻された。
「はぁ・・・毎回とは言いませんけど、ちょこちょこ目を離すと食べ歩きしようとするのは止めませんか?今は僕が気づいてよかったですけど、もし気づかずにはぐれていたら、この都市じゃないところなら、こんな人混みじゃないですから、すぐ見つけられるんですけど、ここだと一度離れると僕の鼻でも・・・この匂いの中からあなたを見つけるのは相当に面倒くさいですからね・・・」
そう呆れ半分、心配半分といった表情で止められた。
そうして、また正気に戻って、5人の後をついていくのだが・・・そういえば、いったいどこに向かっているんだろうか?
いつもの街のように、最初は宿を決めて、荷物を置くのかな~?とか、そんなことを想像しながら、5人についていく。
止められた後は、また・・・見かけなくなるかもしれないと困るからという理由でガネルが俺の横を並び歩く。
「ん~?拠点?都市に行くまでだという理由だったら、もう護衛の、村長・・あ、いや、ガゼルさんからの依頼は終わってるんじゃないか?」
そんなことをふと思い出し、ガネルに尋ねてみる。
「はぁ・・・いや、まぁ・・・依頼なら、その通りですけど、僕たちだって、門通って、そのまま『さようなら』なんてお別れなんて薄情なことしないですよ?結構長い間・・・付き合わせた?護衛しながら、旅した一種の仲間みたいなものですしね・・・まぁ~依頼人と冒険者という関係だったら、そこでお別れでもよかったんですけどね」
「・・・お、おう」
この人混みの中誰も知らずの都市に独りぼっちはね・・・うん、迷うし、寂しいな。
その寂しさから、あの香ばしい匂いに魅せられ、たぶん買い食いを始めて、懐も寂しくなっていただろうし、旅に付き合っていてよかったな、うん。
「それにカリアスさんに・・・冒険者志望って、うちのリーダーが言っていたのを聞かれたと思いますから、冒険者ギルドまでちゃんと案内しますよ、入るのはユウキ、あなたの自由ですけど、長くはこの年にはいられなくなりますけどね・・・あ、それとついでに安くて美味しい僕たちのおすすめの宿も紹介しますよ」
「冒険者ギルドか・・・」
旅をするのに金はかかる、それはマリウスと買い出しをしているときに十分味わった。
あれは俺を含めて6人分と馬の分だったけど、途中に盗賊に襲われたりして、あの時は今の俺が1人で旅していたら、身ぐるみ剥がされていただろうなんてことを想像してしまった。
そんなことを考えながら、歩いていると、足を止めて、ガネルがふとこう口にした。
「いやぁ、でも、ユウキ、正直僕はあなたがここまで一緒に旅をするなんて、思いませんでしたよ・・・・正直僕は盗賊の時に吐いているあなたを見て、もう駄目だろうな・・・と思って、ユウキが活躍して、稼いでいる時の分け前を用意して、いつでも僕たちから別のパーティに依頼できるようにギルドのほうに話をしようとしていたんですけど・・・それも無駄でしたね」
「・・・え?」
そんなことしていたのか・・・初耳なんだけどな・・・いや、冒険者になるために拠点まで送るという爺さんの依頼だったら、人殺しが無理なら、諦めろって言いたかったのか、な?
そんなことを思っていると、ガネルたちは目の前の建物に入っていった。
その建物の看板を見てみると、大きく冒険者ギルドと書かれいている大きな建物だった。