171.
そうして、都市についた。
そこにはちゃんとした城壁と城門、そして!仕事をしている門番がいた。
馬車を点検して、その通行している人々を検査して、城内に入れているね。
そう言う声の中から『身分証』の提示ってのが聞こえてくるんだよね。
「・・・」
いや、うん、ね・・・
「身分証は?」
そうして、俺達の番になって、門番は馬車の中をちゃんと確認して、俺の身分証の提示を求められた。
俺?もちろん・・・・モッテナイヨ?
アルたちは冒険者ギルドの身分証?を提示していた。
「・・・」
無言でどうすればいいのだろうか・・・とこの状況を乗り切るためのいうことを考えていた。
いい案なんて咄嗟に思いつくわけないじゃないですか・・・いつものそれなりに大きい街でもこんな風に馬車の中身は気にしても、俺なんかはノリで通してくれて、門番の仕事がガバガバみたいなものだったのに・・・その裏で絶対犯罪とかヤバそうだな・・・なんて呑気に考えていたのに・・・
「ガゼルさんとこの・・・冒険者志望の人だ!」
そうして、無言を続けていると、次第に門番の人が顔の皺を増やし、徐々に険しい顔へと変わっていくのだが、そこで横からアルが門番にそう声をかけてきた。
・・・え?初耳、いや、うん?それでいいのか???・・・冒険をするという夢と、正直このまま村に居づらかったのもあって、正直勢いで村を出ていったからな・・・俺。
「ガゼル??誰だそれは?!はぁ~いいから・・・身分証を・・・、ないのなら通行料は銀貨1枚だ」
銀貨1枚?高いな・・・払えなくはないけど・・・お金が減る・・・まぁ、必要経費なんだと思いながら、悲しみを背負いながら、懐のお金を入れている袋から銀貨を出そうとしていたら・・・どこかから話を聞いていたのか、ちょっと年季を感じさせる皴がある・・・少し歳のいってる別の門番の人が話しかけてきた。
「いいや、あの村の者なら、大丈夫だろう・・・あの方が素行の悪いものは矯正しているだろうしな。それにこの問題児4人・・・いや、今は5人組だったか、人をなんやかんや見抜く目は確かだ。悪い奴の依頼は受けないだろう・・・、おい!仮の身分証を用意しろ」
その老いた門番は、さっきまで俺のほうを怪しんでいた若い門番に命令して、何かを持ってこさせるように言った。
「はぁ~これでいいか、それにしても、またお前らは・・・ずいぶん見なかったが、周辺で問題ごとでも片付けていたのか?」
若いのに持ってこさせている間に、馬車を門から少しある兵士の詰め所?の近くに止めさせて、他の通行の邪魔にならないようにして、待っている間アルたちに話しかけていた。
アルは楽しそうにその人に自分の武勇伝を聞かせていたが・・・横のガネルは頬を少しかき、苦笑いを浮かべながら、その人に腰を下げて、お礼を言っていた。
そうして、話しているうちに、若い門番がその詰め所らしきところから出てきて、老いた門番に渡してから、若いのは門の仕事へと戻っていき、俺はその老いた門番から直接身分証?木板を渡された。
「冒険者ギルドに登録したら、ギルドの身分証を提示して、この木板を持って城門に来れば、この徴収した銀貨1枚を返してもらえる・・・まぁ、返しに来ずに3日以上城内に滞在していたとしたら、追加の税がかかるから、早めにギルドに登録してから、来るんだぞ」
いい人だ・・・めっちゃいい人だ。
「俺がいなくとも、返しに来るときはこの詰め所で提示すれば、返してくれるはずだ・・・一応俺のほうで詰め所の連中に話を通しておいてやるよ、未来ある冒険者の若者に期待してな」
そうして、去ろうとする彼を止めようとして、振り向いた彼にこう聞いた。
「あ、あの!えっと・・・お名前は?」
俺だけ完全に名前を知らないので、そう恩人に名前を聞く。
「ん?ああ・・・ここの門番長をしているカリアスだ」
「カリアスさん、あがりとうございました」
そう感謝の意を込めて、頭を下げる。
「お、おう?・・・あぁ・・・そうだ、忘れるところだった、ようこそ都市グローリーへ」