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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
164/255

157.

 

・主人公視点


「!?」


 皮鎧の腹の方に衝撃を受けた瞬間に、半身をよじり、手加減などせずに、右手を思いっきり振りぬいた。

 ドンッと地面に衝撃が走った音がした後、そのままそれは動くような音はしなかった。


「あっ・・・」


 そして、その数瞬後に、やっちまったと・・・思ってしまった。

 反射的に殴ってしまったと・・・いや、だって、暗闇の中、後ろからドンッっていう衝撃が来るんだよ?


 手が出てしまっても仕方ないことだとは思わないかね?


 ふぅ、落ち着け俺・・・硬い殴った位置的に、子供くらいの大きさでしょ?

 え?ゴブリンだよね?ゴブリンぐらいの大きさだよね?

 これガチな普通の子供を殴ってないよね?灯りに釣られた蛾のように子どもが釣れてないよね?

 うわー怖い、確認するのが怖い。

 もし、もしもだ・・・俺と同じように寝過して、いや、それはないよな?俺は余所者だけど、子供には子供の家、つまり親がいるわけだ、子どもを置いていくわけない、よな?・・・よな???


 どんどんと灯りを下に向けて、確認するのが怖くなってきた。

 ふぅ、もし・・・あれだったのなら、証拠隠滅の方法ってどうするんだっけ?森に捨ててくればいいんだっけ?

 あ・・・まだ死んでないよな?さっきから動いてないけど・・・とどめ刺すにしても、とどめ刺していたとしても、ゴブリンか子どもを確認しなければな。


 ランプの光で、それをよく照らし、確認した。

 それは・・・ゴブリンであった。


「・・・・・・」


 せ~ふ~

 ふぅ~安心した。


 いや、子どもがこんな暗い中で誰かも分からないランプの光なんてのに歩み寄ってくるわけないよね。


「はぁ~」


 まだ胸の方が上下していて、生きていることも分かった。なら、剣を抜き、首筋を突いた。


「・・・はぁー」


 安心した後に、殺すことをしたことで、若干気分が沈む。

 さて、教会へ向かうか。


「「「グギャ」」」


 この時は気づかなかったが、後ろからゴブリンが複数、ランプが目印になっている俺の方へ向かっていたのだった。

 つまりどうなったかというと・・・




 あはははは・・・子どもはやっぱり光に向かってこなかった。

 向かってくるのはゴブリンばかりだ・・・

 俺は今、ゴブリンに絶賛襲われている。

 めっちゃいる!?ヤバい。

 暗いから、何体いるかよく分からないけど、1体ではないのは確かだ。

 地味に首からちょびちょびとなんかが横切る風が・・・感じられて、背筋が寒くなる。

 背がゴブリンより高いことをこの時よりも感謝することは今後ないだろう。と思うくらいに産んでくれた・・・あぁ、いや、ホムンクルスを作ってくれたマリウスに感謝した。


「・・・くそっ」


 ちょこまか、ちょこまかと来て、イライラしてくる。

 この人気を集めている光を消してしまいたくなる気持ちがこみ上げてくるが、光を出さなくなったらなったで、もっとどこからゴブリンが来るのか分からないから、たぶんゲームオーバー的に死ぬだろうけどさ・・・。

 盾をこっちに向かってきている音がするどちらかの方向に向けて防御することはできているのだが、その方向とは違う方向、つまり俺の死角にある方向から、地味に足とかに攻撃来るし、腹が無理なら、鎧の隙間を狙おうとしているような感じの衝撃の受け方や掠り方がするんだよな・・・でも、こちらのランプを直接狙いに来ないのが救いか。

 このままいけば、じわじわと俺が削られるだけだが・・・

 爺さんから教わっている盾でガードして、剣で倒す!風な戦闘スタイルのだが・・・この状況では1vs1など夢のまた夢であろう。

 逃げるにしても・・・ゴブリン達を教会に連れて行くわけにもいかない。

 爺さんの大剣みたいに薙ぎ払えたら・・・薙ぎ払うか。

 あぁ・・・なんで俺馬鹿正直に盾を持って防御ばっかしているんだろうか・・・怪我してもいいじゃないか・・・うん。

 俺なんかができるだけ無傷で勝とうなんてことがおこがましかったんだ。


「ふっ!」


 今までのようにこっちに狙いに来る足音。

 その音に向かって、思いっきり盾を前にして、突進する。

 ランプの光を隠しながら、思いっきり走る。


「グギャ?」


 向かう灯りが突然消えたから、若干向かってくる足音がどんどんと薄くなってきているが、そんなことに構わず突進する。

 そのままゴブリンに衝突する。

 態勢を崩したゴブリンの腹に足を置き、逃がさないようにしてから、剣でとどめをさす。 

 そして、後ろからわき腹の方に衝撃を受けるが、盾を左手から外して、裏拳で攻撃して、態勢を崩したところを一閃。

 そのあとに、1体のゴブリンがきて、堅実に逃がさないように、盾を使いながら倒した。


「はぁ・・・はぁ・・・ふぅーはぁー」


 血が出る脇腹を押さえながら、こう思った。

 夜は怖いわ・・・いや、暗闇が怖いのか。

 袋の中にあるポーションのある実感を感じながら、教会へ行ってから飲もうと思った。

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