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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
163/255

156.


 ヒュー視点


「はぁ・・・」


 教会へ何事もなくついたは、いいものの・・・久しぶりにこの村の危険を知らせる鐘だということで、みんな一様に暗い表情をしながら、教会の中へとはいっていく。


「ったく、こんなときに村長何やってんだよ・・・」


 そうここにはいない村長に対して、ヒューは愚痴を漏らす。

 それもそのはず、有事の際には自警団に指示をするはずの自警団長は他の町へ行って、今日帰ってくるはずがあいにくの雨で帰ってこれず、その次の命令権があるはずの村長でさえも、自警団員たちが腰にランプの灯りをつけている村長らしき人物が森の中へ入って行ったのを見たからだ。

 何かしらの理由があって、村長は森の中へといったんだと思うのだが、自警団長がいないとき自由に行動はしないでくれと心の中で愚痴を漏らす。

 そうして、自警団の人たちは指示をされることもなかった。

 次に鐘が鳴った状況を確認しようとしても、見張りをしていた2人は見つからなかったし、見張り台は絶賛火が燃えている最中だった。

 そうすると・・・何かしらの危険が、何かしらの襲撃が起きてるのか、はっきりと理解できない状況で、こんな暗闇ではまともに単独行動や、村長の後を追うのは危険だと判断して、村人たちの避難場所である教会へ行ったら・・・この村で猟師をやっている自分たちよりも強い俺を見つけたわけで・・・そう指示を仰いできたわけだ。


「俺はあいつらのように指揮なんぞできんぞ、はぁ・・・」


 今回襲ってきているかもしれない相手がゴブリンかもしれないという見当は付いているが、本当にそれだという確証がない。

 もしかしたら、見張りのやつらは盗賊が遠距離から見張りを殺して、その拍子にランプを割って、見張り台が火事になっていたのかもしれない。

 こんななんの特徴もないこの村に盗賊が襲ってきたという記憶なんて俺が産まれてから、聞いたことも見たこともないが・・・

 限りなく可能性としては低いが、人間相手なら厄介だ。

 ゴブリンだとしても、見張りを殺すという知能がある個体に率いられいる可能性が状況から見て、かなりありえる。

 この状況の中で村長、自警団長、そして俺・・・ここには三番手の俺しかいないのだろうか・・・この暗闇で弓も危なくて使用を自粛して、ただでさえ俺の戦闘力的に半減しているのに・・・はぁ・・・今襲われでもしたら、きついか・・・。


「教会の地下だけランプをつけるようにしておけ、今の暗闇の中じゃ・・・正直ランプなんてつけていても、格好の的にしかならない、あとは・・・必ず自警団のやつらは3人1組であまり教会付近を離れないように周囲を警戒しといてくれ」


 近くにいた自警団員にそう指示を出す。

 ・・・さて、村長がやられたなんて言う最悪の事態は考えたくはないが、夜の・・・月明かりもない雨の日の森の中か、俺ぐらいしか探しに行けるやつがいないが・・・ここで教会を離れるのは悪手だろうな。


「あぁ~はぁー無事でいてくれよ、村長」


 そうして、今来ている見習い2人について、どうするかを考える。

 フィーリエとウィーンは正直夜の狩りなんてまだ全然教えてねぇし・・・夜目は多少は他のやつらよりは効くかもしれないが・・・この暗闇の中の味方からの誤射が怖いんだよな・・・篝火があるなら、出してやってもいいんだが・・・雨の中頼れる灯りはランプだけ・・・そして、そんなときに確実にゴブリンの姿を認識できるのはランプを持った自警団員がゴブリンのある程度近くにいるときだけ・・・

 そして、フィーリエは女だ・・・何かしらで性別がばれでもしたら、確実にゴブリンが積極的に襲いに来る・・・

 ぶっちゃけ攻撃範囲広い村長がいないこの場で・・・そんなことをやるなんていうのは浚ってくださいって言ってるようなもんだし、うん、弓なしで防衛に回すのもなしだな。

 ウィーンも弓ならともかく、接近戦は自警団員よりも下だしな・・・万が一に、2人には中にゴブリンが教会へ入ってきてしまった時の防衛役をやってもらうか。


「それがいい、うん」


 そして、あと1人この村にいて戦力になりそうなやつのことを見かけない・・・あの坊主のことについて考える。

 余所者だし、逃げるって可能性を考えてもみるが・・・あいつと一緒にゴブリンを見つけたんだし、逃げるんならその日の夜か次の日に逃げているだろう。


「あいつ、盾持てば村長よりは弱いが、自警団員より強ぇのに・・・なんでこんな時に限って、あいつも教会に来ないのか・・・はぁ・・・」


 ・・・考えているうちに、坊主の前の時の狩りでの失敗しているさまを思い出す。


「もしかして・・・こっちに向かっているときに転んで、それで気絶したとか・・・いや、それはねぇよな・・・あぁ・・・不安だ」


 こっちに探しに行く余裕なんてもんはねぇし・・・生きてれば、俺達の囮になってくれるだろうとそう思って、もう坊主のことは考えないようにした。


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