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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
160/255

153.


・村長視点


 その鐘の音を聞いてすぐにガゼルは、そばに置いてあった大剣と大盾を持って・・・外へと駈け出した。

 外に出てみれば・・・かすかに見張り台の方から灯りが・・・漏れ出していた。


「む?」


 ランプの光で、ここまで灯りが見れるだろうか?そして、監視をしているはずなら、こちらではなく森の方へと灯りは向かっているはずだ。


 何かがおかしい。

 ・・・こちら側に敵がいる?

 そんな違和感を感じながらもガゼルは・・・そんなことを考えるよりも先に、足は見張り台の方へと走り出した。

 敵がどこら辺に出たかなどを確認しなければいけないのだから。

 ・・・焦って走っているうちに教会へと逃げていく村人たちを横切る。


 近くに来れば、よりその違和感が何であるかをしっかりと認識ができたであろう。


 ・・・見張り台が燃えているということをはっきりと認識できた。


「・・・もう村の中にいるのか」


 見張り台が燃えるなどということはそんなことしか考えられない。

 もしも・・・見張り役がうっかりランプを落として、燃え広がろうとしても・・・気合いで鎮火させるはずだ。

 そうと決まれば・・・ゴブリンが狙う場所などひとつしかない。


「・・・くっ、教会か」


 来た道を急いで戻ろうとした時に近くで誰かの声が聞こえた。


「・・・くそっ」


 戦っているとしたら、この近くにいた自警団の者だろうと予想がついた。

 ここで見捨てれば、この戦っているものは死ぬだろう。

 運が良ければ生き残るかもしれないが・・・この横で燃えている見張り台の灯りがなくなる前に終わらせられなければ・・・確実に死ぬだろう。

 ・・・・・・・・引き返そうとした足を止め、その声の主のほうへと助けに行った。




・ヒュー視点


「はぁ・・・」


 外に出て、走り出す前に周囲と見張り台の方を見て・・・


「・・・燃えている?」


 いやいやいや・・・燃えているってまずくないか・・・見張りがバカやったか、それともゴブリンがやったか・・・鐘の音から前者の方はねぇよな・・・はぁーまだ俺の頭は寝ているのか・・・いいや、この現実を受け止めるか・・・なら、俺がやることは一つか。

 ちょうどそのころ家の中から出ようとしたアリシアがこちらに来た。


「アリシア、俺も一緒に教会へ行くわ」

「は?なんで?ゴブリンが来ているんでしょ?見張り台の方に行かなくていいの?」

「あ~いや・・・まぁ、月明かりもねぇ真っ暗闇だしな。もし味方に矢が当たっちまったら・・・その後の村の生活ちょっと気まずくなって、嫌じゃねぇか」


 そうボリボリと頭をかきながら、気まずそうに視線はアリシアの方ではなく、周囲をぶらぶらと視線を彷徨わせる。


「・・・ふ~ん、まぁ・・・ヒューがそんな失敗をするとは思えないけど、ヒューが教会へ行きたいなら、行けばいいんじゃない?私もヒューと一緒のほうが安心できるし・・・」


 そう言いながら、ランプに灯りをつけようとしたアリシアの手を止め


「あーある程度俺が見えるし、俺が教会まで先導するわ」

「・・・うん、わかった」


 その手を握り、2人は教会の方へとある程度の急ぎ足で駈け出していった。




・ユウキ視点


 何か大きな音がされたから、ホムンクルスからそういうのが鳴ってるぞ・・・とそういう感じの電波を指輪から受け取ってから、憑依してこちら側に帰ってきたんだが・・・夜は暗い。

 月明かりもないからいつも以上に暗い。

 手探りで近くに置いてあったはずのランプを探して、生活魔法で火種を作り、ポイッと入れて、明かりを確保する。

 ゴブリンが来たんだと・・・思うから、来たよね?たぶん?

 ・・・ここにきて盗賊とかないよ、ね?

 まぁ・・・何かしらの異常事態があって、電波を受信したわけだから・・・剣と大楯をもって、ランプを腰帯につけて、ちょっと・・・爺さんとお婆さんがいないのを確認して・・・置いて行かれたんだな・・・まぁ、余所者だし仕方ないよねと若干寂しい気持ちになりながら・・・外への扉に手をかけて


 いざ外へ・・・雨が冷たい


 ・・・教会ってあっちのほうだったっけ・・・?と

 この暗闇の中、自分の記憶にある方角にちゃんと進めているのかを若干不安に思いながらも・・・歩みを進めるのだが・・・

 ダダダと後ろのほうから何か走ってくる気配がしたと思ったら、腹のほうに思いっきり突かれたような衝撃が走った。


 夜の中、遅れて起きて、真っ暗闇の中ランプの光を爛々と輝かして移動している主人公


 ・・・死にたいのかな?


 なんて思いながら、書いている。

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