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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
158/255

151.


 次の日の天気はあいにくの雨だった。

 雨になると、正直やることがなくなる。・・・いや、やりたいことがなくなるの間違いだな。

 考えても見ろ、まだ冬が明け始めたばかりだ・・・寒い、冬全盛期よりましとはいえ、寒い。

 そんな中での雨だ。雨の冷たさは徐々に体の体温を奪っていく恐ろしいものだ。

 こんな中で稽古や狩りなんてものをしようものなら・・降ってくる雨粒がゆっくりとゆっくりと・・・だが、着実に俺達の体温を奪っていく・・・そして、その中でまだ溶けていない雪の残っている森の方から、凍てつくような寒さの風でも吹けば・・・

 俺は確実に風邪をひいてしまうだろう。

 この俺が風邪をひかずに健康体なまま、明日の朝陽を拝めると思うか?ホムンクルスだって・・・風邪になるんだ!!!・・・たぶん。

 ホムンクルスでも寒いって感覚はこっちに来るんだよ!

 ・・・風邪になったら、なったで、ホムンクルスに憑依しなればいいんだけだけど・・・ねぇ?

 だから、俺が外に出たくない気持ちが強くなっても仕方のないことだと思うんだ。




 爺さんは雨の日だというのに、忙しそうに外へ出て行った。


「・・・めっちゃ濡れるだろうからなのか・・上半身裸で」


 なんてことなさそうな表情でお婆さんは上半身裸の爺さんと話をして、扉の前でその姿を見送っていた。

 お婆さんは見送ると・・・雨の中でもできる室内の何かしらの作業をやり始めた。


「・・・雪の時は毛皮とかを着ていたような・・・着ていたよ、な?・・・雨だからなのだろうか」


 そんなことを1人ぶつぶつと、爺さんが去って行った扉の前で考えていた俺であった。





 雨だからか、俺の腹時計が少しいつもより早いと唸っていた夕飯時。


「・・・これじゃと、あやつの帰りも遅くなるの」


 まだ降り続けている雨音に、耳を傾けていた爺さんがそう口を開いた。


「そうですねぇ・・・雨が降り止むのは明日ぐらいかしら?」

「そうじゃのぉ・・・今の時期に奴にもそうここを離れてほしくはなかったのじゃが・・・今度わしも乗れるように・・・いや、若いのがやれるよう頼むかのぉ・・・」


 そんな中に、1人蚊帳の外・・・まぁ、余所者ですし、ね・・・うん。

 無心になって、黙々と食べる。


 そうして、食べ終わった後に、お婆さんの代わりに食器を洗っていると・・・爺さんが珍しくこちらのほうにやってきて、がさごそと何かを探していた。

 それを物珍しげな見ていた俺にこう答えてくれた。


「これはのぉ、今日は少しな、心配じゃしのぉ・・・あやつもおらんし、若い奴等にもちゃんと見張りを頑張れとな、喝を入れてこようかとのぉ。ほれ、酒はやれんが、まぁ・・・ちょっとばかしの甘味じゃ」


 数粒の甘味を分けてくれた。

 一粒を口に入れると・・・ほのかな甘みが口の中にゆっくりと広がっていく・・・ふわぁっとこの身体で久しぶりの甘味に頬が蕩けていくようだ。


「さて・・・婆さんには内緒じゃぞ?」


 そう言い残して、どこかへと出て行った。




 正直夕飯の後にやることも、何もないので、今日は早めにダンジョンに意識を戻してきた。

 ちょうど・・・食べるくらいの時に・・・二度目の食事、こっちは別腹だしね・・・うん。

 ゴブリンが出た~とか、いろいろと食卓を囲みながら、話をした。


「そういえば、いまさら言うのもなんですけど、マスターもあの村、長いですよね?・・・・僕の予想だったら、あの村で1週間から・・・最長で1カ月、冬の時期になる前にダンジョンのある近くの都市に行くだろうな・・・とか予想していたぼくがいました、予想通りには事は進まないですよね、本当に」

「なんでそんなに俺の方をジト目で眺めてくるんですかね・・・」


 なんで、冒険したいって言って、ホムンクルスで出かけたのに、そんなにも村に馴染もうとしているんですか・・・という視線を感じた気がした。どこからとは言わないけど・・・。


「なんでもありませんよ~」


 そう言って、マリウスは目にもとまらぬ速さで、最後の1個になっていた唐揚げを口の中に運んでいた。


「はぁ・・・ゴブリンで雨ですか・・・まぁ、今日はすぐに寝るのはやめといた方がいいですかもね」

「ん?なぜに?・・・まぁ、別にいいけど、ゲームやるし」


 ジト目の温度的なものが数度下がったような錯覚を感じた。


「あーはいはい、あなたはそうでした、いえ、はぁ~マスターはそういう人ですね・・・なら、ヘッドフォンをせずにやったほうがいいかもですね!それと、ダンジョンのことを一応確認しておいて下さいよ!」

「あ・・・はい」


 若干呆れ気味に、そう言われた。


「ごちそうさまでした!」

「あ・・・ごちそうさまでした」


 マリウスはそう言って、立ち上がると自分の分の食器と、俺の食器を持って、洗い場の方へと向かっていった。


「ありがとう・・・さて、ダンジョンコアのほうでも見てくるか・・・言われたし」


 そう言って、俺はダンジョンコアの方に向かうのであった。




 1人、洗い場の方のマリウスのほうで、洗い物を料理人形に任せて、マスターがダンジョンコアの方に向かっていったのを見ながら、こう呟いた。


「本当に・・・こんな長くいるなんて、本当に予想外ですよ・・・ほんとまったく・・・どうしましょうかね・・・まぁ、別にホムンクルスが終わったら終わったで、真面目にダンジョンやってくれるかもしれませんし、それに期待しましょうかね・・・」

 傘の歴史を調べながら、蓑って、米のか・・・小麦のでも、できるのかな?

 傘は使われ始めてのは4000年前!?

 そう、ウィ○に書いてあって・・・

 え・・・・どうしよう・・・そうだ、全裸にしようは、さすがにそれはないか、せめて上半身裸かな……

 そう思いついてしまったのは仕方のないことだと思うんだ。

ゴブリンが来るかもしれないって、警戒態勢の村の中で上半身裸って、アホというか、完全かやばい人だよなーとか、書き終わった後に思ってる作者。


でも、爺さんだから!いける!という謎の信頼を胸に込めて〜

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