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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
156/255

149.


 トントントン


 彼女の家のドアをノックする音が鳴り響く・・・・誰も出てこない。


 トントントン


 彼女が出てこないから、ちょっと時間をおいてから、また叩く。

 だが・・・誰も出てこない。


 あれれ・・・これって、いない?いやいやいや、そんなことないよね?ないですよね?

 地味に1人でもう狩りに行ってしまったかもしれないとか、ないですよね???・・・そんなことになってしまっていたら、ゴブリンが多い森の中で、薄い本展開になるかもしれないというちょっと不謹慎なことをちょっと脳裏によぎってしまう。

 それで・・・そのあとに、俺とヒューさんとウィーン先輩はなぜ昨日のうちに忠告しに行かなかった!?と爺さんにしこたま殴られる。

 そして、爺さんが探しに行って二次遭難・・・・なんてことにならずに、生き残りそう・・・逆に見つけたゴブリンが逆に虐殺されそうな気がしないでもないけど・・・見つけたときには冷たくなった彼女を見つけてしまって・・・ぐすん。

 この村案外というか、居心地良いからそんなことになってほしくないから、本当にいないの!?え?マジで・・・いるよね?いるよね?前爺さんに護衛を頼まれて行った時・・・あれ?結構時間早くに行ったっけ・・・やばいやばいやばい。

 そう焦る気持ちや、自己保身なんて感情が入り混じって、扉を叩く力をさらに強くした。


 ドンドンドン


 そうすると・・・勢いよくドアが開き、こう一声。


「朝っぱらから、うるさいわよ!!!!!」


 と元気な彼女が扉を開けて、出てきた。




 怒りの形相で出てきたが、俺の顔を見ると・・・誰だこいつという目になりながら、そういえばと思い出したかのようにこう口を開いた。


「あぁ?あぁ・・・あんた、おじいちゃんのところにいる奴ね・・・で、こんな朝っぱらから何の用?くだらないことだったら、殴るわよ」


 大きな音を出して、寝起きを無理やり起こされて気分が悪いのか。少し・・・いや、だいぶ殺気のこもった瞳でこちらを睨みつける。


「あ・・・えっと」


 少し返事にもたついていると、イラついてか、彼女の殺気は徐々に膨らんでいく。


「ヒ、ヒューさんから、狩りは当分1人では行くなと伝言を預かっています!」

「ん?・・・ヒューさんが行くなって?なんか森の中であったの?」


 一旦殺気をやめて、こちらに向かって、その理由を尋ねてくる。


「えっと・・・ゴブリンが流れてきて?」

「ふーん、そっか・・・それで?」

「さ、さぁ・・・?」

「使えないわね・・・はぁー次にヒューさんに会ったら、私から聞けばいっか。まぁ、伝言を伝えてくれてありがとう・・・えっと・・・護衛さん?」


 名前を思い出せなかったからなのか、護衛と呼ばれた俺。

 自己紹介してなかったっけ・・・いや、前はどんどん先に行かれて、お荷物状態な護衛だったし・・・うん、俺に関心がないってことなんだよね・・・俺のほうは爺さんから時々、孫自慢をされるから、余裕で知っているんだけどな・・・。

 そんな関わってる村の人が少ないだけだからかもしれないけど。


「ユウキです・・・」

「そう、ユウキ、ありがとうね。だけどね・・・こんな朝っぱらじゃなくてもいいじゃない!それに私、今日は別に狩りなんて行かないし、明日行く予定だったし、もっと昼でもよかったじゃない。はぁ・・・別にくだらないことじゃないからいいけど・・・」


 彼女は少し早すぎるなどと、文句は言いながらも、ちゃんとお礼を言われた。


「早すぎて、うるさくして・・・ごめんなさい」

「・・・こんな早くから来るなんて、ユウキは心配性なのね・・・うん、伝えてくれてありがとう」


 ・・・ただこの時間にたまたま会ったヒューさんから、伝言を押し付けられただけです。なんてことは言えずに、笑顔を浮かべておいた。


「でも・・・次こんな朝っぱらから、やったら、許さないわよ?あぁ・・・それと、お婆ちゃんに私は元気って伝えといて」


 そう伝言をまた託されて・・・扉は閉められた。




 ・・・・今日はもう疲れた、誰とも関わらずにただ・・・素振りをしよう、そうしよう。

 何の気負いもせずに、なんの頼まれごともされずに・・・ただ剣を振る。

 そのあと、普通に集中力は途切れて、昼食頃になると、お婆さんが家に戻ってきて・・・伝言を伝えて、何かしらを手伝うことを申し出ても、今は特にと言われて、そういえば・・・と言われて、倉庫から釣り竿を持ってきてくれて・・・剣と釣り竿を装備して、近くに川に釣りに行って、暗くなる手前くらいに戻った。

 成果は・・・2匹。少し大きいぐらいの魚が釣れた・・・正直何の魚なのか分からない。食べられるの?かも分からない。

 そんな心配をしながら、爺さんの家に戻ったのであった。

 そのあと、お婆さんの手によって調理され、普通の塩焼きで食卓に並んだ・・・味は普通に美味しかった。醤油やポン酢が・・・欲しくなる味だった。

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