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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
154/255

147.


 その室内はランタンでのみ、照らされており、非常に薄暗かった。

 そんな中でヒューとガゼルは2人して、酒も飲まずに誰かを待つように扉の先を見つめていた。

 そして、少しした後に、ギィィと木の軋む音を鳴らしながら、手前にある扉が開かれ、ある人物が中へと入ってきた。


「悪いな、少し待たせて」


 現れた人物は・・・腰のほうに剣をぶら下げており、先にいた2人に軽く頭を下げながら、空いている席へと腰を下ろした。


「別に良いわ・・・今はおぬしのほうがわしらよりも忙しいしのぉ」

「そうだな・・・俺も少しぐらい楽がしたいが、俺が動かせるのはなぁ・・・爺さんの孫とまだ見習いの小僧の2人だからな・・・危なっかしくて任せられんよな・・・おめぇのように何人も指示するのは・・・逆に面倒になりそうでやりたくはねぇけどな」


 そんなことを言いながら、本題に入ろうと、ガゼルは2人に向けて、こう聞いた。


「で・・・どうじゃった?」


 ヒューと今しがた入ってきた人は互いを目を向けて、そして、ヒューのほうが引いた。


「では、譲られたことだ。まずは俺からにしよう、今日村周辺を自警団全員で調べてはみたが、本職ではないので断言はできんが、俺達が見た限りでは、まだこのあたりには痕跡は見つからなかった。」


 そこでヒューが口を挟んだ。


「それってつまり・・・足跡は見つからなかったってことでいいか?それなら俺もそれを信じられる」

「あぁ・・・足跡は見つからなかった」

「なら・・・このあたりにはまだ来てねぇな」


 そうヒューがその情報のことを信じられると断定すると、その人はこう続けた。


「ヒューがそう言ってくれるなら、助かるな。さて、俺のほうではそれぐらいだな・・・それと少し遅れたのはすまなかったな。見張りが少し弛んでてな・・・この会議があったので、今さっきは軽く説教したが・・・明日になったら、あいつにはまた絞られねばな」


 ランタンに顔が薄く照らされるだけだが、若干その人の身体は怒りに震えており、それが自分の指導の甘さにか、それともその弛んでいた自警団に向けられているのかはその人のみが知る。

 そして、その机に置かれている力強く握られた拳から、明日絞るというやる気が見るからに、みなぎっていた。




「さて・・・ヒューのほうはどうじゃった?」


 横にいるその人も怒りを一旦心の内へと仕舞い、ヒューへと視線が向けられた。


「あぁ・・・今日、昨日のゴブリンの死体を見に行ったんだが、まぁ・・・どちらもなかったが、手前のほうはまだ血の匂いが残って何かに食べられたと思うんだが、奥のほうの死体は引きずられるように奥のほうに運ばれて行ってたな」


 少しガゼルは悩むそぶりをしつつも、ヒューにこう聞いた。


「ふむ、ヒューよ、猟師からの知識で、このあたりに巣に運ぶような魔物や動物はいるかのぉ?」

「あぁ、爺さんの言う通り、どっからか流れて来てさえなけりゃ、そんな魔物も動物もこの森にはいねぇ・・・・それに冬が明けて、巣に餌はため込まねぇだろ・・・俺は十中八九ゴブリンだと思うがな」

「仲間の死体を持ち帰るゴブリンか・・・何かしら異常種が産まれてなければよいが・・・」


 そう自警団長が呟くと・・・


「あぁ・・・そうだ、昨日も爺さんには話したが・・・ゴブリンは3匹で行動してた。ありゃ確実にゴブリンの中に統率個体ができてやがるな」

「ふむ・・・規模にもよるが・・・まずはギルドに偵察依頼かのぉ・・・」

「その偵察が捕まって、女もいれば数も増えるかもしれん・・・俺がゴブリンの巣を偵察してきてから、俺達でやるか、ギルドか領主に報告かを決めるか?」

「いや・・・ヒュー、それでもし、お主がいなくなると猟師に若いのしかいなくなるしのぉ、お主を失うかもしれんことを頼めんよ」

「それは俺が弱いってことか?」

「最悪を想定してるだけじゃ、それに人はふとした油断で簡単に死ぬからのぉ・・・」


 そう寂しそうにガゼルは言った。


「統率個体がいるなら最低Cランクか・・・・偵察を依頼するなら最低Dランクの冒険者に依頼せねばなるまい。それで帰ってこなければCに。帰ってきたのなら、我々だけでやれると思ってよいだろう」

「Dかのぉ・・・まぁ、Dくらいならば、もしもの時の村の貯蓄を少しあれば、十分じゃろう」

「まぁ・・・それでいくか・・・」




「さて・・・村の連中には近くにゴブリンの巣ができたと伝えて、いつでも逃げれる準備をしておいてくれと言っておくかの・・・それとわしも寝るときは鎧で寝るかのぉ」

「俺のほうでも、自警団の連中には防具着用で寝ろと言わねばな・・・ギルドへの依頼は俺が引き受けよう、馬に乗れるのは俺だけだしな。それと、ガゼル、明日自警団の連中の稽古は任せておく。帰りについでに、俺は隣村などを回って、女が消えてないかなどを聞いてくる、それまで頼む」

「なら・・・俺はてきとーに森の調査だな・・・それとこの教会の掃除とか、もしものために地下に食料や武器やらを頼む」


 そして、このあとも、篝火のことや、移動する食料・・・もしもの時の自決用のナイフのこと。昨年死んだ神父の代わりがまだ来ていないことに対する愚痴など、色々なことを話し合って、この日のだいぶ夜も暗くなった頃に、この会議は終わった。


 ゴブリンで同族食べるとかそういうのあるのかな?・・・とか、考えながら、てきとーに話を作る。

 ゴブリンの死体の使い方で嫌なことを地味に考え付いたんだけど、別にここの巣のゴブリン視点やらないからいいや・・・とか思ってた作者。

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