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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
153/255

146.


 獲物を探して、俺達3人はまだ白い森の中を進んでいったのだが・・・またゴブリンを見つけた。

 それもまた今さっき見たゴブリンと同じ数の3匹だった。

 ・・・ふと思ったんだが、俺が来てから、今までゴブリンなんて森では一度も見たことがなかったはずなのだが、今まで出会わなかったことが異常なんだろうな。横にいるウィーン先輩を見ると、また狩るのであろうと、これが日常であると言わんばかりに普通に弓に手をかけようとしていたが、ヒューさんがそれを手で制して、こう言った。


「まぁ・・・ウィーン、荷物持ち2号の坊主を見ろ?少し疲れてるだろう?・・・まぁ、戦闘はあれだったがな、うん・・・それにお前も3匹のゴブリンを相手に1人で勝てるってなら止めはしねぇんだが・・・どうする?」


 ウィーン先輩は、少し迷うように、考えてから、こう返した。


「それって師匠1人でやるってことっすか?それとも、ゴブリンを見逃すってことっすか?それとも~俺っちと師匠でやるってことっすか?」

「俺が1人でやる、倒せるゴブリンを見逃すなんてことはしねぇよ・・・あと、まぁ・・・お前らは俺の戦い方でも見ておけ、絶対に援護なんてすんなよ、あぶねぇからな」


 そして、ヒューさんは『その距離あたりでバレずにこっちについて来とけよ』と言って、ゴブリンのほうへと向かっていった。




 足音も出さずに、ゴブリンがいるほうの森の中へと消えるヒューさん・・・ちょっとヒューさんがどこに行ったのかなと気になるから、ゴブリンを追っているウィーン先輩についていきながら、辺りをちょろちょろと見渡してみたんだが・・・全然わからなかった。


「・・・また転ぶなっすよ?」


 探している途中にちょっと躓きかけて・・・ウィーン先輩にそれを助けられて、疑惑な目と声音でそう言われた。

 ・・・諦めてちゃんと歩くことだけに集中しよう。

 そうしているうちに・・・追っていたゴブリン3匹のうちの1匹の頭に矢が突き刺さって倒れた。

 どこにいるか分からない襲撃者にゴブリンたちは困惑しながら、『ギャーギャー』と声を上げながら、威嚇?かな?そんなことをしている。

 幸いにもこちらのほうには距離があるためか、気が付いていなかった。

 俺達じゃなくてヒューさんがやっていることだけど・・・こっちに来たら、ね?・・・嫌だし。

 そうしているうちにも、襲撃は止まらない。次は2匹のうちの1匹の頭に矢が刺さった。

 ドサリと・・・すぐ横にいたはずの仲間は倒れ、その最後のゴブリンはどこにいるかもわからない敵に勝てるはずがないと、次は自分の番だと本能的が叫んでいた。

 生き残るために逃げようと、すぐに荷物となる棍棒を捨てて、一目散にどこかへ逃げようとするが・・・それを見逃す襲撃者ではなかった。

 最後のゴブリンも・・・狭くて矢が通りなさそうな木々がありそうなところへと逃げようとはするが、この見通しのいいこの場から抜ける一歩手前で、矢はそのゴブリンの頭に突き刺さり、その命を終わらせる。




 そうして、終わってみると、あっさりだったが・・・数分後に矢を回収したヒューさんと合流した。


「参考になったか?」

「・・・弓怖い、猟師怖い」

「さすが師匠っす」


 俺は怖いとガクガクと震えるような気分と表情で、ウィーン先輩はさすがだと尊敬してるという表情でそう言った。


「あぁ・・・まぁ、傍から見れば、隠れて一方的ってのは怖いか。あれはな、無闇に敵に姿を晒しても攻撃を受けるだけで得がないからああしてるだけだ、森じゃなきゃできんがな・・・まぁ、でも、さらさなきゃ狙えねえ場合は除くがな」


 ヒューさんはそう頭をボリボリと掻きながら、そう言ってくれる。


「ウィーンはやってたことが分かったか?」

「あぁ・・・はいっす、たぶんっすけど、場所を変えながら、姿を隠しながらやってたっすよね?・・・でも、結構時間かかってたすけど、なんでっすか?」


 いつもなら、こんなに時間をかけてゴブリンを殺すのはおかしいという感じでウィーン先輩はヒューさんにそう聞いた。


「ん?あぁ・・・そうだな、お前らな、俺は見とけとは言ったが、油断するなとは言ってねぇよぞ?それともお前らあれか?尻の穴を増やされなかったか?」


 ん?何を言っているんだろうか?

 ウィーン先輩はまさかとは思っているが、思い当たることがあるのか、少し驚いたような表情をしていた。

 ヒューさんは俺達がそういう微妙そうな顔をしていたからなのか、腰の袋に入っていたものを取り出して、こういった。


「まだ距離は少しあったが、お前らの後ろのほうにいたぞ」


 取り出されたのは少し大きな角兎だった。

 そして、もう一度俺達に聞いた。


「尻の穴増やされたかったか?」


 俺達はその問いに言葉は発することはなく、ただ2人して首を横にブンブン振った。


「まぁ、今日は俺が気づいたからよかったがな。それに今回のようなのだと、他の魔物が後ろからってのもありえるからな・・・まぁ、滅多に襲ってこねぇと思うが、油断はするなよ・・・さて、手土産もできたことだし、持ってさっさと帰るぞ、小僧ども」


 そう言って、村へと向けて、帰っていくのであった。

 読み返していると・・・昔はあんなにツンケン(作者視点)してた主人公なのに、ゲームとお菓子と炭酸飲料に毒されて・・・こんな愉快な子になってしまったのか。

 と・・・思ってくる。

 こんなことは前にも後書きで書いていたような気がするけど・・・

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