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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
143/255

136.


「・・・・頭が・・・・痛くないわ」


 一杯しか飲んでないし、二日酔いしちゃったぜ・・・的な展開はなかった。


「・・・」


 けれども、やはり酒が入って寝たからなのか、俺の起きた時間はいつもよりは少し遅く感じて、起きたら昼でしたなんてのは嫌だなと不安に思いながら、下に降りていったら、俺の鼻にいつものように料理の匂いが漂てきた。

 だが、食卓のほうを見ても、お婆さん以外の2人、ヒューと爺さんの姿はどこにも見えない・・・ヒューは寝てるような気がしないでもないが、爺さんは酒は飲んでたには飲んでたけどヒューよりは少なめだったし、あの人が俺よりも遅くに起きるなんてことは想像できない・・・なら、外か?

 そんなことを考えていたら、俺が食卓のほうに来ていることを察したおばあさんは食事の用意をしてくれて、まだだったのか一緒に食べた。


「あの・・・2人は?」


 俺は気になっていたヒューと爺さんのことを聞いてみると、お婆さんはこう答えた。


「あら?ヒューさんはフィーリエと一緒に森に行ったわね、お爺さんはその2人を見送ってから、ずっと外で何かしらをしているわね~」


 あぁ・・・そういえば、昨日調査行くとか罠回収に行くとか言っていたような気が・・・全然頭の中から忘れてた。

 俺の今さっきまでの予想では完全に二日酔いして、『あぁ・・・だるいわ』とか言いながら、ヒューが隣の部屋から出てくることしか考えてなかった。


「あぁ・・・・なるほど。教えてくれて、ありがとうございます、ごちそうさまでした」


 そんなことを言いながら、食べ終わった食器を台所のほうへ片付けようと向かっていったら、そこには昨日フィーリエがとってきたであろう兎が置いてあった。

 俺のその様子を見ていたお婆さんはこう教えてくれた。


「あぁ、これは今日の晩御飯にしようと思ってるの。今朝フィーリエが持ってきてくれたのよ、あの子ったら自分は料理あんまり得意じゃないからってね。だから、今日はあの子が持ってきた角兎の凝ったものでも、作ろうと思ってね、・・・あの子も昔はうちに届けて来てくれたもので懐かしいわ」


 そう教えてくれた。

 食器を台所のほうへと持っていったけど、おばあさんがやってくれると言ってくれたので、そのお言葉に甘えて、それから爺さんいるであろう外に向かっていった。



 そして、ご飯を食べ終わって、外に出てみると、そこには爺さんが鉄でできた大剣を素振りしていた。

 ・・・・たぶん愛剣を装備している爺さんと遭遇した。こんなのと稽古なんてしたら、俺下手したら死ぬんじゃないかなと感じさせられる程度な素振り音がはっきりと聞こえた・・・逃げるべきか。


「小僧、起きたか」


 爺さんはこちらのほうを向かずに、扉を開ける音が聞こえて、俺が来たのを察してか、そう言った。


「・・・おはようございます、遅れてすいません」


 心の声:その大剣を使った稽古は死ねます、嫌です。


「別に昨日のことで疲れてるじゃろうから、今日は鍛錬などしないわ、しっかりと休んでおれ」


 俺が爺さんの振っている大剣を驚いたように見て、限りなく稽古をするのをやりたくなさそうに見ていたのを察したのか、そう言われた。


「・・・」


 周りを見てみると、俺のとは違う皮防具一式が家の壁のほうに置かれていた。


「あぁ・・・これはのぉ、もしもの時のための装備じゃ」


 それを見ていたからなのか、そう爺さんに言われた。


「まぁ・・・よい、おぬしの皮鎧もあったじゃろ、あまり整備しとらんかったじゃろ、持ってこい」


 大剣を鞘に戻して、爺さんは整備するための道具を探しに行った。

 そして、大人しく俺も自分の荷物の置いてある部屋に行って、皮鎧を持ってきた。

 皮防具の整備の仕方を教えられたり、俺の素振りを見てくれたり、途中で角兎の解体をおばあさんが外でしていたり、そんなことをしながら、爺さんは夕方までずっと外・・・昼食も外で・・・ずっと森のほうを眺めながら、何かしらをしていた。


「爺さん・・・中に入ったら?寒くないですか?」


 ずっと爺さんと一緒に外にいたけど、昼頃から俺は休んでおけと言われて、そのまま爺さんの稽古を見ている、それにしても・・・あまり外で動かずにいると本当に体が冷えてきて、寒い。

 俺より動いていた爺さんのほうには汗は見えないが、普通に俺が爺さんと同じように過ごしていたら、汗の分だけ俺のほうは身体を冷やしていただろうななんてことを思いながら、爺さんを見ていた。


「別にこのぐらい慣れとるわ、しかし、ヒューがついておるのに、遅いのぉ・・・何もなければよいのじゃが」


 爺さんは険しい目つきで森のほうを見ている。


「・・・」


 それにしても、孫・・・愛されてるよな~心配されるのか?いや、愛されてるか・・・こんなにも外で待っているんだもの!・・・寒い。

 それ以上は何も言わないで心が温かくなりながら、爺さんを見て居よう。


「・・・」


 そして、爺さんは何かを感じたのか、急に立ち上がると、防具などを持っていって、家の中へと入っていった。


「・・・?」


 急に何を言ってもずっと外にいたのに、家の中へと入っていった。

 爺さんが中に入ったのなら、俺も普通に家の中へと戻っていく。


 そして、その数分後に誰かが家の中へと入ってきた。

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