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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
140/255

133.


「おぉ~フィーリエ、無事に戻ってきて何よりじゃ!」


 爺さんの家についたと思ったら、先のほうを歩いていた彼女が爺さんに熱烈な抱擁を受けている。


「無事だから、離れて」


 それを鬱陶しそうに言うと、爺さんは彼女を離した。

 そして、彼女は抱擁をとかれたら、家の中に入っていった。


「おぉ・・・孫が年々わしに冷たくなっていくような気がするぞ・・・それでなぜヒューが来てるんじゃ?」


 若干ショックから項垂れていたが、すぐに俺とヒューの姿を見ると、そう声をかけてきた。


「まぁ・・・俺はあんたの孫に呼び出しをくらってな。それでこうして出張ってきたわけだよ」


「なるほどのぉ・・・孫なりの考えがあるということじゃろうな、何があったかは食事をしながら、聞こうかのぉ」


「俺はアリシアにちゃんと酒飲んで帰ってくるって言ったから、話し合いが終わったら、頼むぜ」


「婆さんに聞いとくれ、わしが勝手に出すとのぉ・・・あとで怖いからのぉ」


 そう言いながら、ヒューも家の中へと入っていった。

 そして、俺も・・・という感じでぬらりという感じでヒューの後をついていこうとすると、バシッと爺さんに肩を掴まれて、止められた。


「ユウキもよく帰ってきたのぉ・・・」


 そう言って、掴んでないほうの手で、バンッと背中を勢いよく叩かれる。

 ・・・痛い。


「・・・護衛としていったけど、何にも襲われないで、ほぼ護衛としてついていった意味なんかなかったんだけどね・・・」


 そう・・・自分何の役にも立たなかったよ?という意味を持たせて、哀愁漂わせて言ってみるものの・・・


「護衛が必要になるような事態があった時に初めて護衛は活躍するからのぉ・・・今日たまたまなくてよかったじゃろう。それにのぉ、おぬしがついていくことに意味があったんじゃからのぉ、そう自分を卑下するのは良くないぞ、元気を出せ!」


 またバシッと叩かれた。

 爺さんの言葉に若干荷物持ちとしてかな?とかそういう余計なことを考えてしまうけど、だけど、そう言われることは俺にとっては、素直に嬉しかった。




 家の中に入ると、すでに料理の準備はできており、フィーリエとヒューは食器などの準備をしていた。

 そして、お婆さんは何やら、ガラスに入ってるものを持ってきていた。

 ・・・見たことないけど、酒?かな?


「・・・わしの・・・秘蔵の・・・」


 後ろのほうからめっちゃ悲壮感な感じの声を出している。そんなつぶやきが聞こえたような気がした。

 それのお酒はというと、もうコルク栓は抜かれており、コップに注がれているのを見て、もう諦めたのか、爺さんは自分の席へと座って、食事が始まったのだが・・・俺のコップにもお酒らしきものが入っているけど・・・・え???ん・・・飲むべきなのか?いや~でもな~とか思っているうちに、話が始まった。


「それで・・・ヒューを呼んだことについて、教えてはくれぬか?フィーリエよ」


「それは・・・私が森の奥に行って、森の様子がおかしいと思ったから、一番経験のあるヒューさんに来てもらって、話し合いをしたいと思ったから」


「・・・ほう」


 その彼女の発言で、爺さんの眉間のしわが少し寄ったような気がした。

 そして、爺さんがヒューに視線を向けると・・・


「まぁ・・・まだ俺のほうからはまだ何とも言えんな。冬が早く来るから魔物や動物たちがもう冬眠をし始めてるだけかもしれねえしな。明日フィーリエの張った罠回収に俺も同行して、森の様子を見てくるわ。どの程度奥まで見れるかはわからんが、まぁ・・・俺のほうで見てる奴の罠も、森の奥に入る手前のほうに一つ罠を仕掛けてるからな、最低でもそこまでは見てくるわ」


 罠か・・・そういえば、一つ見たけど、あそこらへんが手前なのかな?それとも、ただのあれは回収し忘れた誰かのなのかな。それにしても・・・


「明日もか・・・」


 そんなことを小声でつぶやくと、ヒューが聞こえていたのか、口を挟む。


「いや、明日は森に慣れてる俺とフィーリエで行く。まぁ・・・坊主の仕事をとっちまって悪いが、すまんな」


「あぁ・・・いえ」


 そりゃ・・・猟師に比べて、俺のほうが森に慣れてる!なんて言えないし、実際俺慣れてないからね、うん、仕方ない。


「それで・・・フィーリエよ、なぜわしらとの約束を破って、奥へといった?」


 威圧的にそう爺さんは告げる。


「そ、れは・・・」


 そう続く言葉を言う前に、その言葉は遮られる。


「ここ最近は森のほうが騒がしかったじゃろう?わしらも理由もなしにフィーリエ、おぬしを奥に行かせまいとしているわけではなかった。心配じゃからそう言ったのじゃ、それなのに、おぬしは奥へといった・・・なぜじゃ?」


 その問いの答えは返っては来ずに、沈黙だけが続いた。

 そこにヒューからも、フィーリエに言いたいことがあった。


「俺も少し言いたいんだが・・・この坊主は村の森の前で倒れてたんだ。話しぐらいお前だって聞いていただろう?そして、普通に今この村にいる余所者は坊主1人しかいないって気が付くよな?そいつがどうして、爺さんの稽古受けた程度で、爺さんが猟師見習いであるお前に森について行かせたと思う?それも森の前で倒れる程度の男をだ。心配して、護衛としての役割も確かに少しはあったと思う。大半は・・・(もしもの時はこいつを囮にしろという感じなのかもしれないが)・・・それでもだ、爺さんらはお前がちゃんと約束を守ると思って、こいつを護衛に行かせたんだ。約束を破ってもしものことがあったら、俺らからの信頼も、この坊主の命もなかったかもしれないということを覚えておけよ」


 なんかディスられているような気がする、心が・・・心にダメージが・・・。

 そして、小声で不穏なことを言っているな・・・あはははは・・・心からの否定ができない。


「あの子なら・・・」


 そんなつぶやきが爺さんから聞こえると、彼女はバンッと席をたつと、足早に玄関のほうへと行ってしまう。

 すぐに扉の開ける音が聞こえて、彼女が外に出ていったということが分かる。


「・・・」


 ナニコレ・・・どうしよう、この何とも言えない空気。

 あけましておめでとうございます、今年も一年エタらなかったら、よろしくお願い致します。


 そして、1月1日前には書こう書こうと思ってはいても、そうなるようなことはなく、今1月1日、年が明けてから書いてますよ・・・。

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