131.
「しっ」
彼女が俺を手で静止させたあとに、矢筒から矢を取り出し、草のほうを眺めながら、矢を射る。
「・・・」
静かにしろと手で制されていたので、俺は大人しくじっと見れていた。
彼女が矢を射った後に、彼女はその放ったところに向かい、こちらに戻ってきたと思ったら、ウサギを片手にしていた
・・・それにしても、彼女は目がいいな・・・俺ウサギとか全然気づかなかった。凄いなと純粋にそう感じた。
「ある程度近くに川があるから、そこに向かうわよ」
「・・・」
何しに行くのかな・・・川のほうでやっとご飯かな~とそんなのんきなことを考えながら、彼女の後ろをついていった。
川についたら、まず真っ先に俺に向かってこう言った。
「縄」
「・・・あ、はい」
残り罠一つになって、もう何が入ってるかは分かっているから、言われたとおりに縄を取り出す。
「・・・」
無言でウサギの首筋を彼女は持っていたナイフで切り裂き、木に括り付けた縄で頭が下になるように足を縛って吊るす。
「・・・何してんの?」
怖い・・・無言怖い。・・・ていうか、改めて考えてみるとこの縄、獲物吊るすために入ってるなら・・・あれれ?彼女が奥まで行くってことを予想していたのかな。
いや、うん、偶然獲物を狩るっていうことを想定して、もし偶然出会って、狩ったときに困るから入っていただけなんだと、自分を納得させておこう。
「血抜きだけど?」
何当たり前なことを聞いているの?という表情で言われた。
「・・・そうだよね~」
血抜きは彼女の中では常識っと・・・全然俺知らなかったけど、はっはっは。
なんか聞いたことがあるような・・・血抜きすると美味しくなるとか?抜かないとまずくなるとか?だったっけ?
なら、蛇もあの時に血抜きをすれば美味しかったのかな・・・もう過ぎたことやけど・・・
「血が抜けるまでにお昼食べるよ」
なんか地味に本当になにこいつ?というような視線を浴びせられながら、ご飯の時間となった。
黒パンと干し肉・・・そして、溢れ出る川の水!!・・・まぁ、上流で何が混ざってるかよくわかないものを飲む勇気があるわけもなく、ちゃんと持ってきていた水筒で水分補給をする。
「やっぱり獲物が少なすぎる」
帰り道・・・というか、まだ罠一つ残っているんだけど、方位磁石的に言えば、奥から村のほうに戻っている時に彼女はそう呟いた。
「え?そんなに・・・?」
まぁ・・・確かに成果としてはウサギ一匹だけだったけど、俺がここを歩いていたときなんて、びっくりして飛び出した潰れた蛇ぐらいしか見てないよ?
「・・・いつもはここまで行かないけど、ある程度大きなのも前のほうで見かけるはずなのに、今日は奥まで行って角兎だけだったのよ」
そんなに不満な声音で俺に言われても・・・でもな・・・俺としては自分が蛇ぐらいしか見てなかったから、正直こんなもんだろうな~という気分なんだけど・・・。
「はぁ・・・話さないわけにもいかないか・・・」
なんか前を歩く彼女が小声で言っているけど、それはスルーして黙ってついていこう。奥まで行ったことについて、心配性っぽい爺さんになんか言われるがよい!
「なに?」
そんな俺の気配を敏感にも感じ取ったのか、文句でもあるか!?みたいな感じで睨みながら、そう言ってきた。
「いやぁ・・・なんでもないです」
「ふーん」
そう言って、また前を歩きだすが、若干だが、今さっきより少し速度が上がっているような気がする。
「あ~いや、ここまで来たし、まだ一つ罠は残っているけど、仕掛けないのか?」
俺はついていくことはできるけど、彼女の機嫌が悪くなってこれ以上の速度を出させないためにも、そう聞いておいた。
「ここらへんで罠を仕掛けて、獲物がかかったとしても、獲物をトドメを刺しに来るのも大変だし、仕留めた後も、こんな奥から村に持って帰るのも大変よ・・・それに今のこの近くじゃ、ついさっき私が角兎を仕留めて、血の匂いが残ってるから、警戒心が強い獲物はそうそう寄り付かないから、罠を仕掛けたって、意味もないし、獲物も罠にかかるとは思えないわ」
「・・・お、おう」
言ってる通りだとして、彼女がもし大型の獲物をしとめたら、苦労して俺が持って帰れっていうことで爺さんは俺を護衛兼荷物持ちとして同行させたのだろうか・・・
「・・・ある程度村の近くになったら、仕掛けるわよ」
そう言って、彼女は最初のような速度で歩きだす。
そうして、帰る道中に残り一つの罠を仕掛けて、俺達は無事に村へと帰ってこれたのであった。
連続して1月4日ぐらいまで更新停止しようかな~と思ってみても、なかなか書けないという・・・