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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
133/255

126.


「・・・」


 昨日の圧倒的レベル差が心に来て、ちょっと落ち込みながらも、泊めさせてもらってるし、食事貰えるし、おばあさんが優しいし、この傷ついた心を抱えながら、今日も庭へと出ていくのであった。


 そんな俺の暗い顔を見て気づいたのか、爺さんがこう言った。


「別に昨日おぬしがわしをあの野花まで押し出せるとはこれっぽちも考えとらんわ」


「・・・」


「体当たりをしろとは言ったが、おぬしのわしの体格差、筋力差、それに盾の経験の差があるしのぉ・・・わしの盾とおぬしに貸した盾の重さも違うしのぉ。まぁ、どっちでわしがやろうが、正直あの結果は変わらんがな。逆に重くなっておぬしの動きの勢いが落ちて、昨日よりもわしを押し出せなくなるかもしれん」


「・・・」


 教えを乞う立場?苛められる立場?練習相手未満の実力しかない俺が押し出せるわけもないか・・・うん。そうだよな・・・はぁ~落ち込みながら、やる気を出そう。


「さっきよりはマシになったが、まだ不満そうじゃな。まぁ・・・盾は基本的に準備を整えているほうが勝つんじゃ」


「昨日のわしの行動は待つことじゃが、おぬしの行動は助走をつけ、体重を盾に乗せ、体当たりする、これだけのことでも、大楯はそれ相応に重いからのぉ・・・そのどれかの勢いが揺らぐだけでも、弱くなるんじゃ・・・それでも、おぬしが完璧にそうできたとしても、わしをそうそう動かせるわけもないがのぉ、はっはっは」


 バンバンと背中を叩かれながら・・・爺さんは俺との距離を空けた。


「さて、大楯は常に前線にいて味方への攻撃を防ぐものじゃ。それ故に近距離でできることなら何でもやる。剣術、槍術、盾術、魔術、それに格闘術などがつきものじゃ・・・さて、体当たりである程度盾の重さには慣れたじゃろうから、次は盾と木剣を持ちながら、なんでもありの模擬戦をやるぞ?」




「必ず大楯には死角ができる・・・そこをひょいっとやれば勝手に倒れて」


 そして、目の前の木剣を防ぐのに夢中で、爺さんに足を払われて、姿勢が崩れた俺の首筋に木剣が添えられていた。


「まぁ・・・この通りじゃな」


「・・・」


 格闘もできるのか、この筋肉爺さん・・・ていうか、足がそこまで強く払われたわけじゃないけど、地味に痛い。


「大楯じゃと、大きすぎて格闘戦には向かんがのぉ・・・足などは死角になりやすいから使いやすいぞ、まぁ・・・人間相手にはじゃがな」


「下を警戒しすぎて、ダメじゃぞ」


 普通に木剣で態勢を崩されて、終わり。


「ほれ!わしも木剣ではなく、盾で攻撃するかのぉ」


 爺さんの盾で体当たりを受け・・・吹き飛ばされ・・・


「おぬし・・・自分の盾で押しつぶされるのはどうかと・・・今日はここまでにするかのぉ?」


 普通に転んで疲れた自分の身体を盾に押しつぶされ・・・


 今日はボコボコにされた。俺・・・盾やっぱり向いてないかもしれない。

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