119.
「ね・・・眠い」
昨日のように朝遅くではなく、朝早く目覚めた・・・テントを川の近くに設置したことで、昨日より鮮明に川の流れる音が聞こえてきて・・・気になったのだ。近くの木の葉がすれるぐらいの音なら・・・安眠できるのに・・・。
「川の近くで寝るのはダメだ・・・うん、今度からはもう少し離れたところにしよう・・・」
こういう寝にくいことがあるから、川の近くに村は作っても、家を昔の人は作らなかったんだ・・・まぁ、普通に洪水やら、水害のせいだろうけど・・・この程度のことで睡眠が浅くなる俺のほうがダメなのだろうが・・・そんなことを思っていても心の中で思うだけで、決して口には出さない。口に出したとしても聞く人もないが・・・。
そんなこんなでテントをしまう準備などをしていたら・・・ふと、昨日ほぼ食べ残していた皿の上から、蛇の肉の丸焼きが消えていたのを気づいてしまった。
「・・・」
え?風に飛ばされ・・・たわけないか、そんな急激に風が強くなるわけないし、寝る前にその前兆や、風うるさいなぐらい、俺でも思うはずだ。なら、川から魚が出て食べた?!そんなわけもない、うん。一番普通にありそうなのが、俺が寝ているときに動物か魔物がきて、お肉だけ食べていったってことだよな・・・。
「・・・」
近くに動物や魔物が来たかもしれないのに、完全寝ていた俺。襲われてたら、終わりだったよな?うん、短い旅だったって具合に・・・川の流れがうるさかったとはいえ、肉を食うほどの・・・あぁ!鳥!フクロウとかが獲っていったとか・・・まぁ、どちらにせよ、肉食の何かしらがこの近くに来て、何も気づかずに寝ていた俺って・・・やばいよな・・・。
蛇のことは・・・きっと川に流れていったんだろう、不思議な力で・・・それから川から飲み水を補充するわけもなく、流れてきているほうで動物たちが糞とか、血とか・・・何が混ざっているか分からないから、普通に生活魔法で水筒に水を入れて・・・昨日干していた服を畳んで・・・これも普通にゴブリンとかそういう魔物とかだったら・・・取られていたかもなとかふと思いながら、リュックの中に入れて・・・まぁ、今日も方位磁石片手に・・・村を目指すのだ。
今回は道中何もなかった・・・2日目以外正直何もなかったと思うけど・・・。
「完璧だ」
暗くなるぐらいにテントを設置して、焚き火も完了した・・・ほんのり温かい干し肉とビスケットを食べて、明日に備えよう。
寝るときに・・・今日で旅3日目だが、1日目や2日目のように眠たいという気持ちや、疲れたという気持ちはなく、まだ眠くないな・・・と思いながら、目を閉じて毛布に包まり、寝ようとしていたら・・・ただこんな状況だからか、何かしらを考えてしまう。
「・・・今日も寝たら終わるけど、まだ俺を起こしてはくれないのかな・・・」
これがダンジョンの外に出れない生身だということはないのだから、ホムンクルスということは分かっている。だけど・・・近くにいるはずのマリウスは寝室の俺を起こしてはくれない・・・眠り姫・・・いや、違うか、たぶん自力で起きろということなんだろうか、本当にヤバかったら起こしてくれると思うし・・・あ、でも、あの丸薬を飲まされて、強制的に起こされるのは嫌だな・・・食料もそんなないから、目的である村に向かうけど・・・うまく自力で帰れたとしても、それにかかった時間が長かったら、ホムンクルスが餓死エンドは嫌だし・・・。本体が餓死エンドで、終わるはないか、うん、世話してくれていると信じてる・・・きっと・・・してくれてるよね?
そんなことを考えながら・・・いつの間にか、俺は寝ていた。
読み終わったけど・・・3日のほうが・・・心理的な楽さができてしまっている。まだ読んでない名作を求めて、発掘するのは楽しいから、仕方ない。