118.
朝?というには、少し・・・太陽が傾いているような気がしないでもないが、そんな時間に俺は起きて・・・だらだらとテントを畳んで・・・そして、方位磁石を片手にまた歩き出したんだ・・・枯れ枝を拾いながら・・・そして、そんなときに一つの枝を取っているときに奴は現れた。
蛇が・・・いきなりの遭遇で・・・剣?で反撃?とかそんなのは頭の中から抜け落ちてた・・・一目散に悲鳴を上げて、逃げた。
「うぎゃぁぁぁぁ」
突然のことで慌ててたからなのか、いつもは方位磁石を見ながら、緩く歩いているだけで、少し躓く程度で盛大にこけたりなんてことはしなかったのだが、俺は急いで逃げようと荷物などの重さを感じさせない軽やかな速度で走りだしたんだ・・・蛇と同じ方向に・・・だが、地面にあった根は俺の足をいとも容易く引っ掛ける。
グチャという嫌な音が辺りに広がる。
それは何かを潰したような、踏みつぶしたような・・・こけていて地面に近かったからか・・・それは俺の耳にはっきりと俺の下のほうからした音だと分かった。そして、腹のほうが少し暖かいような・・・冷たいような感覚が現れてくる。
今起き上がれば・・・その現実を見てしまうだろう・・・だが、荷物の重さと、こけた痛みで・・・正直起き上がりたくもないし、この冷たさから一刻も早く抜け出したい気持ちもあった・・・その天秤は起き上がることに傾いた。いつまでも起き上がらなかったら、荷物の重さで・・・という感じはないのだが、とにかく服のあの冷たい感覚が・・・気持ち悪かったから、早く抜け出したかった。
そして、見てしまった・・・幸いにも蛇の頭のほうは皮防具のほうで押しつぶされていたが、溢れ出た血が・・・服の腹のほうに染みていた。皮鎧は血塗れ、腹のほうの服も血塗れ・・・切実に着替えたい。
皮鎧のほうは生活魔法の水で洗い流せば・・・いいはず?問題は服のほうだ・・・水だしてそのままゴシゴシと洗うとしたら・・・ずっと出しながら、片手で洗う・・・無理だ。なら、土の生活魔法で・・小さな桶を作ってから、そこに生活魔法の水を出して・・・そのあと焚き火して・・・そこらへんに都合のいい蔓があったら・・・干すか。いや、まだ暗くなるのは時間があるし・・・水辺を探して、桃太郎のおばあさんいわく・・・川で洗濯をするのも・・・ついでに即席の釣り竿なんか作って魚を釣る・・・いや、それは無理だな。
「はぁ・・・・」
色んな事を考えていたら、自然とこの状況にため息が出てしまった。ため息をすると幸運が逃げるとは言うが、この状況のどこに幸運があるというのだろうか・・・・蛇肉が取れたことか?素人の俺に蛇肉をいきなり食べろなんて・・・無理だろ・・・食わず嫌いは良くないけどさ・・・毒とか・・・は頭の牙のほうの上にあるとかなんかテレビで見たような気がする。
「南に進んで川の音が聞こえたら、川に行こう。うん、どうせ川を見つけに南以外に探しに行っても・・・今の不運な俺に見つけられると思わないし・・・うん、すすもう・・・」
替えの服に着替えて、使わないと思っていた袋に蛇を入れて・・・血が他のにつくのが嫌だし、他に・・・何か・・・マントに包もうかな・・・森で日差しがほぼ遮られているし、昨日も使って汚れてるし、ついでに洗えば・・・マントに包んでリュックの中に入れておこう。
道中、他にこれといったことは起こらずに、枝を拾いながら、南に歩いていたら、川は見つかった。
ちょっと今日は早い気がするけど・・・川は南に向かっては伸びてないし・・・どっかで蛇行しているかもしれないけど、そんなこと俺知らないし・・・普通にここにテントを張って、洗濯して、ご飯食べて、寝よ。
蛇は・・・皮を剥いで、肉だけにしたり・・・内臓とったり、頭切り離したり・・・そんなことをしながら、頑張って調理をしたんだ。まずかった・・・初めて狩り・・・いや、偶然死んだ蛇だけど・・・記念として調理して食べて・・・吐いた。辛い・・・普通に昨日と同じビスケットと干し肉を食べた・・・蛇肉の後だと、凄く美味しく感じられた。不思議・・・だ、な・・・。