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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
120/255

113.


 なんやかんやあれこれそれどれとあって、ついにホムンクルス製造機稼働の時が来た。


「ホムンクルスみたいなものがこちらです」


 どーんと用意されていた樽の中には白い・・・粘土?粘土って最近触ったことなかったから、こんな感じだったよな~という懐かしい感覚と・・・え?これがホムンクルス?いや・・・そんなせめて人型でのっぺらぼうみたいな感じだろうと現実と理想の間でその目の前のこと正しく認識するのに少しばかり時間が必要だった。


「まぁ、これからマスター?マスター?・・・刺しますよ」


 ブサッ


 そんな効果音が必要なほどなことはされていないが・・・マリウスに刺された!!針で!指先を。


「・・・地味にこういうのって痛いよね」


「木刀で殴られたほうが痛いですよ」


「・・・痛いよね」


「はいはい、痛いですね。このぐらいのケガに魔法なんて使わないので、自分でポーションでもかけてください」


 刺さり、血が数滴零れ落ちる!垂れ落ちるじゃなくて、ポタポタと零れ落ちてるんだ!そのぐらいって普通に痛いと思うんだけど・・・うん。


 その血の入った樽をそのホムンクルス製造機のほうに投げ入れた。


「ん・・・骨と血は・・・普通のでいいですよね?」


「えぇ・・・あ、はい」


 なんであれ投げ入れられるのかな・・・いや、もっと大事に扱えよ・・・と思わないこともないけど、いろいろやってくれているのはマリウスなので、そのやり方に従うだけなのであった。自分でやれと言われても正直よくわからないし。


「あとはマスターにやってほしいことはできたホムンクルスに魔力を流して使い魔契約を・・・あぁ、そうですよね、言ってて思いましたけどマスター使い魔契約のやり方知りませんよね・・・別にやらなくても動かせはしますけどね、いつも通り生活魔法を出す感じで属性をつけずに魔力だけを流す感じでできればやってください。失敗しても何度でもできますからね・・・ポーションの在庫もありますし」


「・・・」


 一発成功できる、俺なら。


 そして、マリウスは製造機からできたばかりの人間っぽいマネキンのようなものの胸に貫手をして、心臓を抉りだした・・・もちろんその時に血も流れ、肉は抉れ、骨は見えて・・・あれ?バイオレンス・・・いや、そうじゃない・・・なんかもっと、そう!あれ、魔法陣の中に入って・・・これぞ使い魔契約みたいなことをすると思うじゃない?・・・そんなことは貫手をした時点でこれっぽちも残ってないけどさ・・・・とにかくグロい・・・その一言に尽きるね。


「なんかすごい夢を壊されたって顔してこちらを見ていますけど、普通はこんなんじゃないですよ?普通こんなことしたら契約しようとしているだいたいの魔物は死にますからね!これにはまだ形だけの肉体が与えられているだけの生きていても死んだような魔物だからこそできるだけで・・・いや、この契約のほうが色々有利ですからね!安心してください」


 血塗れの心臓をこちらに差し出されながら、安心しろなんて言葉に安心できる日本人がいるだろうか、いいや、いるわけないだろう。そんな状況になった時点でバットエンドだろうな・・・うん。


「これに魔力を流し込んで、それで契約完了です!まぁ、こんな契約の仕方、意思のないホムンクルスでしかできないことですけどね」


「ていうか、うん・・・あのさ・・・元に戻るの?心臓のあたりが傷ついた戦士みたいなので旅出るの嫌だよ?」


「元に戻りますよ。これができる理由はですね。あの魔力回復ポーションの体力回復版みたいなものを濃縮しているものがあるからです!これは飲んだら発狂するほどの強烈なま・・・・味で、人間に使ったら皮膚は拒絶反応を起こし、精神は発狂すると言われているから使えないんですけど、まぁ・・・意志のまだ持たないホムンクルス以外であまり成功したことなんて見たことないですけど・・・それをがぶ飲みさせて・・・これで心臓も元通り」


「・・・・意志あったらどうなるの?」


 気にならない?あまりの部分とか・・・絶対なんかやっただろうと思って、気にならない?後で聞かなければよかったと思うようなことでも一時の好奇心によって・・・それを回避する行為を無為にしていく俺がいた。


「内臓のほうがもう原液でも治せないくらいにボロボロになって、濃縮なんて使うぐらいなら潔く死ぬなんて言ってましたけど、それでも実験ざ・・・心配で心配で、飲ませようとしたんですけど、ボロボロの身体で全力で抵抗して、仕方なく四肢を折って、喉を絶対閉じないように拘束具で固定して、泣こうが喚こうが聞こえない~見えない~と耳栓や目隠しをしながら、全力で流し込んで、すぐにその部屋からでて、外部から5重6重の施錠をしてから、絶対に出られないところからご飯を渡しながら、暴れ終わるのを1週間くらい待ちました。知能と記憶が落ちて、僕らに対する警戒が酷く上がって復帰には半年くらいかかりましたね、僕の知り合いは」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 ヤ・バ・イ・・・・それに聞かなきゃよかった・・・この人何やってんだ。


「研究に最適な多少の肉体的にも精神的も元が強くて、肉体的な面だけ弱っている人ってあまりいないんですよね」


「・・・」


 俺はジト目でマリウスが喜々として話す様子を見ている。


「あぁ、そうだ、あとはこの指輪をしていてください」


「合わない気がする」


 指輪とかつけたことないけど。


「いいから、どこの指でもいいので、つけてみてください」


 不釣り合いな・・・親指にはめても邪魔になりそうだから右手の中指につけようとしたら、ぴったりと指輪がはまった。


「おぉ~魔法の道具っぽい」


「っぽいじゃなくて、そういう道具ですからね、これはマスターが指示をしてホムンクルスを動かせるようになりました、それでこの指輪に魔力を込めながら意識をホムンクルスに集中するとマスターの意思で動かすことができます」


「これで旅に!」


「まぁ・・・ホムンクルスの動作確認とか、慣れる作業もまだありますから・・・まだですよ・・・」


 そして、それが終わったら、旅へと旅立つのだ。きっと・・・



 久しぶりに●狼をやっていると・・・人●って怖いわ・・・

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