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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
113/255

106.


「あ、おはようございます?」


 起きたとき最初に目に映ったのはマリウスがこちらのほうを覗き込んでいる姿だった。


「予想以上に起きなくて心配していました」


 だが、俺の鼻には微かに甘い香りがマリウスのほうからしていることに気が付いた・・・・心配してたのに、俺の寝ている間に何をしていたのかを気になるところだが・・・俺はこれで!!これで!!


「・・・・この俺にも魔法というファンタジー的な力が!!覚醒したんだ!!!」


 ニュータイプ俺。・・・いや、バージョンアップか?今までゲームに費やした時間分だけ・・・魔法の練習をして、ドヤ顔魔法使いになってやるんだ。


「・・・いえ、身体中の魔力を搔き乱して魔力の自覚を促しただけなんですけど・・・すぐにできるとか、魔力を感じるとかそんなことは・・・起こるはずないんですけどね・・・」


「・・・身体から魔力が溢れ出る!!!」


 気がする。


「・・・全然溢れてませんよ?」


「覚醒された力が!疼く!」


「そういうのは見せてくれなきゃ分かりませんので、まぁ、そうですね。すぐ目覚めたとしてもマスターほどでしたら、そこまでの被害は出ないと思いますので、畑以外の場所を狙って魔法を放ってみてください」


「・・・・」


 何か・・・何かないか・・・爆弾で周囲一帯爆発とか・・・今からダンジョンコアいって買って帰ってきて、取扱説明書読んで、安全を確認して、起爆。


 ・・・うん、無理だな。


 その考えこんでいる間にマリウスはいつも俺を見守っているところに戻って、切り分けられている果物が置いてある自身の休憩所まで戻っていった。


「マスター、そういえばですけど、魔力を促したとしても、特別な才能を持たない人は一週間は体内から魔力を外に普通に出すことはできないと聞きますけど、マスターはどんなんですかね?」


 そうにっこりと笑ってから、机に置いてあった読みかけの本を手に取り、読書へと戻っていった。


「なんかこうさ・・・もっと訓練は危険だから付きっきりとかさ・・・そういうなんかね・・・気遣い的なあれはないんですかね?」


 あまりの塩対応・・・これには俺・・・唖然。というか、なんだろう1人ウキウキしてたのに、この対応の差は悲しいというかなんというかね・・・空しい。


「別にマスターがそれに該当しないかもしれないというのは思ってましたよ?ダンジョン内でずっと生活しているんですから他の人より住んでいる環境が違います。初めからできていたとしても、感じ取れたりしても不思議じゃありません・・・ですけど、魔力などはある程度の魔法使いなら感じ取れることができますので・・・2つ目の発言でまだなんだなと感じましたからね・・・」


「・・・これから何をすればいいの?」


「だんだんと生活しているうちに少しずつ感じ取れると思いますので、いつも通り素振りや走り込み、柔軟などをしていてもいいですし、瞑想なんかをして魔力を少しでも早く感じ取る努力をしてもいいですよ・・・でも、マスター1人だと絶対に瞑想をしているというのを自分だけが思っているものをやって、他人から見れば紛い物な瞑想をしそうなので、瞑想用の何かしらは貸し出しますよ?」


 瞑想といったら・・・坊主からの攻撃・・・そんな価値観がふと頭の中をよぎる。


「・・・痛い?」


「・・・ふふふ」


「・・・別に早く感じ取ったって意味がない気がするから、ゲームしてくる」


 そういってダンジョンコアのほうへと歩き出そうとすると、襟首を後ろから掴まれ、「ぐへっ」という変な声が出ながらも踏み出そうとした・・・だが、俺はそこから一歩も踏み出すことができなくなっていた。自分の服を破り捨てて・・・逃走なんてことをすることもできたかもしれない・・・だが、どうせ捕まるということを今までの生活の中で実感していた俺は・・・逃げることを諦めてた。・・・服もタダじゃないし・・・


「ゲームやるくらいなら、瞑想をやりましょうか、大丈夫です、ちゃんとできれば痛みなんか来ませんから」


「・・・素振りしたくなってきた」


「さぁ~瞑想の準備をしてきますね」


 そう言って、少し楽しそうな雰囲気を感じさせながら、自分の部屋のほうへと行って、何かしらを取りに行っていた・・・今なら自分の部屋へと逃げれるが・・・そんなことをしたら明日どんなことになってしまうかという恐怖があるので、大人しく激辛の麻婆豆腐を出された気分になって待っていた。


「・・・用意された選択肢の中から選べばよかった」


 そんなつぶやきは・・・ただ誰も聞かれずにイオルの打撃音とゴブリンたちの畑仕事の音に消えていった。


 

 新しい小説を見つけ・・・更新が遅くなる・・・


 楽しみが増えるね・・・うん。

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