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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
110/255

103.


 走って、柔軟して、素振り、俺のため作っている瘴鳥の料理とイオルと話を少しでもしたいなぁ・・・と思っている異世界料理、そして、素振りに模擬戦と・・・時々人形遊び。


「マスター、マスター」


「なに?」


 そんなある日に素振りをしようとしていると、マリウスに呼び止められた。


「試しにこれを斬ってみてください」


 そこには赤い肉の物体が・・・


「・・・なにこれぇ~?」


 赤い肉・・・いや、赤い塊?血は滴ってないから、元が赤い・・・牛肉や豚肉のような・・・色だが・・・大きさが人1人分はあろうかというほどに大きい。


「肉です」


「・・・なんの?」


「謎肉です」


「・・・なんの?」


「訓練用のお肉です」


「・・・なんの?」


「ごちゃごちゃ言ってないで斬ってください」


 なんの肉か聞いているだけなのに・・・


「勿体ないよね・・・お肉なら・・・その命に感謝しながら~食べよう」


 斬って、地面に落とすのはもったいない・・・下のほうは地面に接してる気がしないでもないけど・・・ん?・・・刃潰している片手剣で斬れるのかな・・・


「え?食べるんですか?」


 そうしたら、驚きの声がマリウスから上がった。


「え・・・?」


 食べるとヤバいの?


「あ・・・あぁ・・・食べなくても、大丈夫です、その肉腐ってますから」


「・・・(((肉の腐っているところを見たことがないからなんとも言えないけど腐ってないだろ・・・たぶん」


「なんですか?その疑いの目は・・・」


「いえ、なんでも・・・」


 もうなんか言っていても仕方ないので、軽く横に素振りのような感覚で斬ってみるが・・・


「斬れないな、うん」


 刃潰してあるもの・・・斬れるわけがない。


「その片手剣をどかしてくださいね」


 マリウスは斬ろうとした肉のほうを見ている。


「斬れるか、お手本を見せてください」


「はぁ・・・僕が斬れって言いましたしね、いいですよ、貸してくださいよ・・・その剣」


「はい、どうぞ」


「ふんっ」


 その掛け声とともに、一番上のほうの肉が斬られた。


「・・・」


 その斬られた肉のほうを見ていると、あれ・・・なんか真ん中のほうに・・・白い骨みたいな何かがあるんですけど・・・あれれ・・・背骨・・・?いや、まさかね・・・うん・・・ないよね?・・・いや、俺の価値観がマリウスと合わないだけなのかもしれないが・・・まさか、斬れって人の肉じゃないよね・・・そんな剣習いたての人間にそんなことを教えないだろう・・・教えないよね?


「・・・これ・・・何の骨?」


「中身には・・・ゴブリンの骨程度の硬さの白い木が入ってますよ?」


「・・・」


 ほんとかなぁ・・・疑いの目をしている俺のほうを見ずに、俺の剣の痕を見ながら。


「今回は別に刃のない剣でしたので、ただマスターの力を見るためのですよ」


 そう剣の痕の深さを見つめながら言ってくる。


「・・・これって力を見るためだけにやったの?」


「まぁ・・・肉を斬る感覚ってのを慣れさせるってこともあるかもしれませんけど、所詮これは血が流れていないただの肉ですからね」


 何でもないことのように、そう笑いながら、マリウスは肉を片付けていっている・・・俺も旅をすれば、あんなふうな顔で笑うようになるのか・・・それがただ心配になってくる。

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