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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
103/255

96.


 農家の朝は早い。


 ・・・そんなことはダンジョン内でしている俺には関係がないし、まず農場が本業じゃないし、ダンジョンマスターが本業みたいな、いわば、農家は兼業みたいなもんだし・・・


「なんで、こんな早く叩き起こされるんだろうか・・・」


 何週間も鍛えるという目的があってやっていたのだが、そのな・・・初めのほうは鍛えるぞ!!というやる気に我ながらではあるが満ち溢れていたと思う。え?逃げ出そうとしていたって?


 ハハハハ・・・そんな、まさか、ありえないじゃないか、こんな僕がそんなことをするなんてね。


 それでだ、ちょっと日焼けしてきた肌を見ながら、冷静になって考えてみたんだ・・・もっと室内で筋トレができるような、体力トレーニングできるような現代的な機器を買って、あの作業から抜け出せないものかと・・・


 だが、マリウスさんになんの相談もなく、突然こんなの買ったからこれを使ってトレーニングしたほうが効率的なんじゃないかなと、足りない頭でなんとか説明してそれを了承してもらおうとしたんだ。え?勝手に設置してやればいいんじゃないかって、マスターなんだから権限的にも権利的にも上だろうって?・・・自分から鍛えてってお願いした相手にお前のトレーニングはダメだなんて言えるわけがないし、そんな度胸もないし、その前に俺の体型でお前のトレーニングはダメだなんて言えるような筋肉もつけてなかった俺が・・・俺より身長的に低かったとしても、俺を片手で引きずるような内なる筋肉を持ってる人にそんなことを言えるわけがないじゃないですかね・・・ハハハ


「農作業終わった時間で、農場でランニングしましょうか」


 そうなったわけだ・・・・


「いや・・・最初はこれでも・・・」


 おずおずとダンジョンコアに映されているランニングマシンのほうを両手でどぞーどぞーする形でもっと見てという感じでやってはいるのだが、そんなことは普通に無視されて、こんな行動をしている俺に構わず話を続ける。


「無駄にポイント使うだけ馬鹿らしいですよ?それに・・・こんな平坦なところでスピードあがるだけなんて、でこぼこの道や木々が生い茂る足場が見にくい場所、上下に大きく段差がある場所や、強風が吹いてる場所、歩くという行為にも、様々な要因があって、その時々によって違いますし、平坦な場所でそれの速度が自由に設定できるだけだと・・・自分で速度調整なんてすればいいだけの話ですし・・・それ以前に平坦で整備された道なんてね・・・ほぼないですよ?」


「・・・・」


 まぁ・・・冒険したいって、外出たいって言ったのは俺だしな・・・道とか整備された夢のない開拓地ばっかだったらなんか嫌だしな、未探索領域を血肉があんまり踊らなくてもいいから、そんなところを冒険したいからな。


「それに荷物を持ってきますよね?どれくらいの旅になるかはわかりませんけど、その衣服、調理道具や保存食、食器、水筒、自衛用の武器、毛布、もしもの時の魔法薬(ポーション)なんてのもいりますし、魔法がいくらか使えればある程度のものは用意しなくてもいいですけど、自分がいつまでも万全な状態ではないことも考えて、火打石なんてものも持ったほうがいいですし、ある程度でも快適な旅をしたいならテントなんてのも必要ですからね」


「・・・・ふぇ?」


 人は食事をとらなかったら3日、水を取らなかったら7日で死ぬか・・・そんなことをどっかのテレビかマンガで見たような記憶が・・・塩もか・・・それにしても、こんなにいれるバックパックを背負って道なき道を進む俺・・・想像できないわ・・・あ・・・でも、食料足りなくなるかもしれないから自分で狩猟なんてするかもれないし、小型の弓とその矢を持っていかなきゃいけないのかな?それに解体用のナイフもか。


「それにお金でも、数が多ければ多いほど重くなりますしね・・・」


「・・・」


 小銭って嵩張るよね・・・こっちの貨幣映像でもあんまり見た記憶がないわ・・・じゃらじゃらと音を立てて獣道を進む俺!・・・いや、普通に音出ないような小銭入れみたいな財布に入れるか。うん。


「これだけの重量をもって、歩く訓練や走る訓練なんてのも、いつかしましょうね、今こんなことをすればマスターの身体のほうが壊れちゃいますからね」


「・・・・」


 おう・・・ふぅーーーーこの訓練が増えるのか・・・いつか・・・そっかそうなのか・・・荷物じゃなくても重りを入れられるんだろうな・・・いや、魔法薬(ポーション)なんてのはガラスみたいのだったから、割れやすいのを・・・水を入れた魔法薬の瓶なんてのを持たされて歩かされるのかな・・・いや、走らされるのもか・・・


「どうしました?」


「・・・・冒険とかでなくても、ここでのゲーム生活で十分俺は満足してるぜ・・・」


「鍛えるといったのはマスターですからね、鍛えましょうね・・・さすがに配下の魔物たちに威厳も何もないですからね」


「・・・・」


 否定できないな・・・いや、別に威厳なんてなくてもいいじゃないか!!なんていうことも、言い返すこともできるけど、配下ともし喧嘩になったら、勝てる自信ないから、何も言わないでおこう。



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