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泥のダンジョンマスター  作者: ハル
102/255

95.


 二度の収穫をしたとき・・・さすがに毎日のように鍛える?いや・・・農作業のようなものをしていたら、だいぶ・・・・まともに・・・いや、人間らしく筋肉を使うようになってきたのか、日がたつにつれ、だんだんと筋肉痛は和らいでいった。


 ・・・和らいだだけで、痛みがなくなったわけではないが


「なんか筋肉痛は痛くはなくなっていうか・・・痛みになれたというか、それ以外になんか骨が軋むような音がするようなしないような気がしないでもない」


「・・・どんな時になるんですか?」


「え・・・あ、うん、お風呂場とかで・・・」


「なんでそんなときになるんですか・・・?」


 こちらに疑いの目を向けてくるマリウスさんとイオルが我関せずの構えで黙々と夕食を食べていた。


「なんか筋肉がついたな・・・って思って、ちょっと自分で鏡見ながら、やってみくならないのかな?普通ね?」


 自分に筋肉ができたなって、鏡を見ながらポージングしてみたり、思いっきり力を入れてみたり・・・しちゃわないかな・・・普通しないかな・・・でも、しちゃうよね。うん。


「普通の家庭に全身を映す鏡なんてありませんよ、普通・・・それにその程度でムキムキになるのなら、今頃マスター以外の全人類ムキムキの人たちです」


「え・・・それ普通に嫌なんだけど」


 全人類全身ムキムキな世界なんて・・・俺は嫌だぞ・・・冒険に行く理由が・・・いや、理由じゃないな、楽しみが半減しちゃうわ。


「・・・・・・・例え話ですよ」


 少し目をこちらから逸らしながら、答えた。


 ・・・なんで例え話なのに、こちらから目を逸らすんだろうか・・・例え話はしょせん例え話だろう、うん、この話は忘れよう。




 そんなことを夕飯時に・・・漏らしたら・・・


 次の日の朝から・・・


「今日からマスターの食事はこれになります、特別なんですからね」


 と・・・どこから仕入れたのかわからないなんの卵かわからない・・・たぶん卵のようなものだと思うものが小さめな籠いっぱいと、牛乳のような白い液体の入ったいつもの1.5Lのペットボトルと肉肉肉とドンブリで山盛りに積まれた白米。


「マスターの昨日の一言で・・・僕は思い知ったんです・・・外見の筋肉や体力を鍛えたって・・・いえ、所詮マスターのは、ハリボテのようなものですけど・・・内面が酷かったら意味がないと・・・あ、性格的な意味もありますけど、骨という意味ですよ」


 あれ?なんか俺さらりと貶されているよね?・・・そんな批判めいた視線をマリウスに向けて送ってみるが、そんなことを意にも介さずに、話を続ける。


「こういう時にマスターぐらいになると・・・身長のほうも大きくできれば、歩幅なんてのも、上から振り下ろす攻撃の時もその身長の分だけ余計に強くなるなんてのもあるんですけど・・・終わってそうなものは仕方ありませんよね。あ、身体の成長的な意味のことですよ。もちろん」


 終わってることに何か違う含む意味を感じてしまうのは気のせいでしょうかね・・・そうでしょうね・・・口に出しても、またスルーされそうなので言わないけど・・・いつか強くなった時にギャフンと言わせてやろうと・・・心の片隅に誓っておこう。


「できる限り食べてくださいね、用意してくれた料理人形の感謝の気持ちをもって」


「・・・・」


 朝からこの量と肉はきついっすよ・・・でもさ・・・俺このダンジョンの農場に酪農とか作った記憶はないんだよな・・・いや、しようとしていた記憶もあったけど、それに今日まで農場で畑仕事をしていたのにそんな動物の影なんて一度も見たことないから、ないよな・・・・・これはいったいなんなんだ・・・。


「これなんの肉?」


「・・・((にこにこ」


「これなんの卵?」


「・・・((にこにこ」


「・・・これなんの液体?」


「・・・((にこにこ」


 それは何も答えない、ただこちらのほうを見て、にこやかな笑みを顔に張り付けて、こちらのほうを見守るだけだ。


「・・・・・」


 ただ、それはこちらのほうをじっと見つめ、食べるのを今か今かと待っていた。


「・・・ちょっとトイレ」


 こえぇぇぇぇぇ・・・知ろうとしちゃいけない類の食べ物なの?え?なんか言えよ、言ってくれよ!!不安にしかならないし、イオルはもう先にどっか行ってて、会話がもう笑みしか浮かべない2人きりの空間とか・・・つらいわ・・・ふぅ・・・よし、どのみち今日も耕すことをしなきゃいけないんだ。それを食事抜きなんて無理だし、食べるしかないよな・・・。


 そうして、食卓に戻ってみると・・・。


「マスターの調子が悪いのかもしれないので、少し量を減らしてみました」


 卵1個、飲み物少し大きめのコップ、取り分け用の小皿と大皿の肉たち、お茶碗で山盛りに積まれた白米。


 さっきのより明らかに減ってるけど・・・減ってるけどさ・・・最低1個は1杯は飲み食いしろってことだよね。


「さぁ・・どうぞ、召し上がれ」


 今さっきより食べろという圧力が増したような気がする。


 まずは一口!!!!


 白米を食べよう。


 もぐもぐと・・・噛めば噛むほどに甘くなっていく・・・いつもはこんなにも噛まないけど、今はこの甘さが身に沁みてくる・・・・牛乳みたいのと、卵と、肉って・・・次食べるとしたらもう肉だよな・・・


 そう思い、大皿のほうにある肉を小皿に移してから、一口食べる。


 その衣のつけたから揚げからは・・・鶏肉のような味が・・・あ・・・瘴鳥が俺の糧となったのか・・・

すると、あの卵は生き残った瘴鳥の卵で、あれはその乳・・・俺のために犠牲になっていったのなら、きちんと食べなきゃいけないよな。


 卵は俺が食べていた鶏の卵のような味で・・・、あの白い飲み物は・・・あまりおいしいとは思えなかったが、瘴鳥が残していったものだと思えば・・・飲める。


 ごくりと一飲みして、そして、この食事を食べきった。


「ごちそうさまでした」


 今日の俺は瘴鳥の分まで生きて・・・鍛えて強くなるんだ。



 主人公の勘違いは自由なんですよ・・・。フフフ

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