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黒髪のミディアムで家庭的な小2ロリとお前(読者)

 高校から徒歩十分。野田公平の家は登校に楽な場所に立地している。


 部活帰りに友人とつるんでたから、帰るのが遅くなってしまった。時計の短針はもう8に差し掛かろうとしている。


「ただいま」


 ついこの間、高校入学に際して親元から離れて独り暮らしを始めたが、別に寂しくはない。それは家には待ってくれている人がいるからだ。


 しかしおかしい。いつもなら「おかえり」と言ってくれる声がある筈なのに、今日は何も返ってこない。リビングの明かりはついているから居るはずなのに。


 何かあったのだろうか。


 慌ててリビングルームに駆け込んで、人影を探す。


「カナ!」


 しかし心配には及ばなかったようだ。


 少年の探しているカナという少女は、ソファに腰掛けてランドセルを正面に抱え、スヤスヤとうたた寝していた。


 これは起こすわけにはいかない。今日から部活動をすると言っていたから、いつもより疲れているのだろう。


 よし、もう少し寝顔を見ていよう。


「...?。あ、お兄ちゃん!おはよう!じゃなかった、おかえり!」


 先程名を呼んだ時に眠りを浅くしてしまっていたようだ。カナは満面の笑みで少年を迎える。超かわいい。

(読者はここで超かわいいロリをイメージして下さい)


「ただいま。バスケ部はどうだった?」


「楽しかった!でも、大変だった」


 えへへ。と笑うカナの笑顔は公平の心を癒やす。

(読者はそれを想像して癒やされて下さい)


 ここで、大まかに説明を入れる。主人公の少年の名前は公平。高校一年生。少女の名前はカナ。小学二年生。


 公平がマンションに暮らし始めてかれこれ四ヶ月。今は夏の真っ盛りだ。


 同居までの経緯は簡単。ある日公平が近所の小学生観察がてらに散歩に出ると、いきなりカナが抱きついてきた。


 元々住居が隣接しているし、女子小学生が二人もいるものだからカナの家とは非常に仲良くしていたわけだが、「公平お兄ちゃんと暮したいの」などと誘惑してきたのはそのときが初めてだった。


 どうやらカナの家で激しい姉妹喧嘩が勃発したらしく、二人が一緒に暮らせない状況になったらしい。


 そこで、妹のカナの面倒は公平が。姉のエナの面倒は、向かいの家に住む公平の友人の康太がみることになった。


 カナ達の親御さんはたまにこちらに顔を出して、食事のおすそ分けなどをしてくれる。これがまた美味しい。


 好物の小学生と美味しい料理を手に入れるという最高の条件のもと、公平はカナと暮らすことを決意したのだった。


 しかし暮らし始めて二ヶ月。学校では周囲からロリコンと言われる公平だが、カナには一度も手を出していない。


 それは、公平がロリコンなのではなく、純粋に恋愛対象として小学生を愛しているからである。


 さて、時系列をもとに戻す。


 カナはソファから立ち上がると、忙しそうにキッチンに向かう。


「ご飯の支度しなくちゃ!ちょっと待ってて」


 カナはランドセルを放りなげて、エプロンをつけて夕食の支度をする。


 ランドセルは公平がカナの部屋の前まで運ぶ。中には入らない。ドアを開けて凝視するまでで留めるのがマナーだ。


 台所にはカナのために台となる足場が用意してある。


 『料理は危ないから俺がやる』と言ったのだが、『お兄ちゃんに私の手料理食べてほしいもん。』などと天使の笑顔で言われたら白旗掲げて大人しくなってしまう。皆そうなるはずだ。


 一緒に料理ができれば良いのだが、あいにく公平はインスタント食品以外は担当したことがない。


 カナの料理は実際に美味しいし、邪魔にならないためにも公平は洗濯物などをして待っているのだ。


 カナの服を洗う時は自分のものと分ける辺り、紳士である。下着は眺めるだけで匂いを嗅いだり被ったりしない辺りも、やはり紳士である。


 今は一緒に料理を出来るようになるために勉強中だ。


 料理ができたので、二人で一緒に『いただきます』をする。


「お兄ちゃん、今日テストあったんでしょ?どうだった?」


「おう。赤点はないと思うぞ」


「もっと明るいニュースが聞きたかったんだけどなぁ」


 公平の成績は中の下。もしくは下の上。まだ赤点を取ったことはない。


 カナは恐る恐る聞いてくる。


「ご飯美味しい?」


「まずいわけがない。超うめえ。」


 聞いてほっとしたようだ。すごく嬉しそう。可愛い。


「よかった〜。お兄ちゃんさ、あんまり表情に出さないから...」


「ん。じゃあこうか?」


 公平がニタッと笑ってみせると、カナは楽しそうに笑う。


「あははっ。気持ち悪くなってるよ」


 それにしてもこの状況にもかなり慣れた。二週間前まではどっちも敬語で距離感があったのだが、もう二人は相思相愛だ。それは言い過ぎにしても、このまま一生のパートナーにしたい。


 夕食が終わって、各自の部屋で学校の課題やら宿題やらをこなす。終わると大抵二人ともリビングに降りてきて、テレビをみたりパソコンをいじったりスマホで友人と会話したりする。


 二人の行動は結構似ていて馬が合う。

 しかし、今日のカナはそうではなかった。


 公平がくつろいでいると、宿題を終えたカナがトコトコとやってくる。


「お兄ちゃん。この近くにトレーニングジムとかってある?」


「おう、あるぞ。行きたいのか?」


「...うん。」


 どうやら気を遣っているようだ。お金がかかっても、カナのためなら公平は全財産使える。


「よし行くか。俺もテニス部なんだし、トレーニングは必要だ。」


「うん!」


 すでに外は暗い。道しるべとなるのは月と街灯だけだが、徒歩数分のところにあるジムまでの間に迷うこともないだろう。


 二人はしっかりと手を繋いで、歩いて夜道を進む。


ーーーーーーー


 出発から一時間半。既に時計の短針と長針は丁度真上を指していた。


 二人は予想以上に疲れた様子でジムから帰ってきた。


「まさかエナちゃんに会って喧嘩を始めるとは...。」


「エナもジムに通ってるの...チッ。」


 普段は見ないカナの舌打ちに背筋が冷える。姉妹が会ったあとはいつもこうなる。


 しかし公平は別にこの状態のカナに気が引けているわけではない。むしろSっぽくて好きだ。というより、どのカナも好きなのだ。


 二人は汗をかいて帰ってきたものだから、洗濯物がまた増える。風呂にも入りたい。


「疲れたね。あ、お兄ちゃん先に入ってて。」


 カナに譲るより先にそう言われたので、お言葉に甘えて先にシャワーを浴びる。


 今日は疲れた。しかしそれと同じくらいにカナに癒された。カナが来てからというもの、公平にとってはもはや毎日が充実した日々となっている。


 早くカナにも汗を流してもらいたいので急いでシャンプーを泡立てる。ジムに行く前に沸かしてあったものの、湯船に浸かる事は出来そうにない。


 頭を洗っていると、自分の意志とは関係なしに動く二本の何かが頭を洗うのを手伝ってくれている事に気がつく。


 たしか、誰かからシャンプーにまつわる都市伝説を聞いたことがある。


 シャンプーをしているといつの間にか誰かが手伝ってくれていて、その手伝ってくれている『何か』を見てしまうと異次元に引き込まれるとかなんとか。


 思い出したら寒気がしてきた。怖い。試しに聞いてみようか。


「だ、だ〜れだ?」


「カナちゃんです♡」


 恐怖からの開放。癒やしの訪れ。その後、困惑。


 公平の頭の中を簡単にまとめるとそんな感じだった。


 何故だろう。普通男女は一緒に風呂に入る事は無いはずだ。カナが風呂場に居るということはもしかして、もしかして...。


 もし、後ろにいるカナが裸の場合、公平はどうなるか。十中八九、犯罪者として認定される。


「えへへ。二人とも汗をかいたなら二人でお風呂に入れば良いんだよ。」


 ついにこの瞬間が訪れてしまった。同居していて何も起きないはずはない。むしろ公平が何も起こさないわけがない。


 公平には理想があった。それは単純に言い表せば、公平が主体となってカナとのハプニングを起こす事。しかし今、ハプニングが起こっているのにその主体はカナだ。


 こんな形で、受け身のハプニングなんてものは起こってはいけない!公平が自らの理想を自身で体現するまで、カナには何もしてはいけない。彼なりのプライドだった。


 結局至った結論は、シャンプーが終わっても目を開ける事はしないと言うことだった。


 カナは公平の頭をワシャワシャしながら、楽しそうにしている。


「この前『一緒に入ろ!』って言ったとき、お兄ちゃんが『お兄ちゃんがパパになっちゃうから駄目』って、よくわかんない事言ってたでしょ?だから今日は無断で来ちゃった!」


 あ、コレ駄目だ。


 公平は、自分の紳士が高まっていくのを感じる。このままだと公平は本当にお兄ちゃんからパパに昇進してしまう。


(落ち着け俺。考えるんだ。ここで目を開いてはいけない。そしたらきっと、俺はただのロリコンになってしまう。)


「お兄ちゃん、私の背中流して?」


「じゃあこっちに背中向けて?」


「はーい」


(よし!これならいける!背中だけならワンチャン...)


 白い肌

  可愛いうなじ

     いいお尻

  華奢な肢体と 撫でたい背筋

            公平。


「あっ...」


 公平は、自分のある所から何かが射出されるのを感じた。同時に気持ちがどんどん冷めていく。


「?。お兄ちゃんどうしたの?」


「...なんでも無いよ。さ、背中流そっか。」


 もう、ロリコンでいいや。

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