ミッカメ×ヒトリメ
更新遅れて申し訳ないです。これからも頑張りますので宜しければ読んでくださると嬉しいです。
激動の2日目は終わりを告げ、野外学習最終日が始まる。時間って長いようで短いもんだな。
飯盒炊飯といい、肝試しといい、今までまともに行えたイベントがないんだけど、おかしくない?
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3日目はいつも通り朝ご飯を食べ終え、後はサイバー犯罪についての講話を聞いて、バスで帰るだけという少し薄味な内容だった。
サイバー攻撃?中学の時に患ったパソコン中毒の際にやられたことあるな。友達に?それだったらどれだけ嬉しいか。
「それでは講話が始まります。しっかりと聞くように、それでは先生、よろしく……」
よし、どうでもいいし寝るか。
そう思って俺が目を瞑った矢先。
「我と話をしようではないか、優真よ」
「あぁ、ドラゴンか。んでどんな話をするんだ?」
ドラゴンが俺の隣に椅子を持ってきて話しかけてきた。
そういえばこの名前呼ぶのにも少しは慣れたな。ていうかこの講和って椅子とか移動していいの?
「よく聞いておけよ?我等が今から検討するのは至高の『ヒロイン属性』についてだ!では、お前の意見を聞かせてもらおうか。せーので行くぞ!」
ふっ、そう来たか。それなら……
「「せーの!天然巨乳だ!(貧乳ロリだ!)」」
俺もドラゴンもお互いの意見に対して黙り込んだ。
そして遂にドラゴンが口を開く。
「優真、お前は分かっていないな。純真で楽しげで、それでいて天使の様なモチモチとした肌。ひんぬーについては完璧に趣味だが、それも含めて、もう言葉では表せないほど全てがハイスペックであろうが!」
ちっ、中学の頃からこの話をリアルで友達をしたいと思ってたけど、趣味趣向が違うのはちょっと考えてなかった。
「ドラゴンこそ分かってねぇ。世の中巨乳こそが全てなんだよ。もちろんデカければいい訳じゃねぇぞ?形や張りも大切だ!それにポワポワした雰囲気が追加されれば……女神、いや女神さえも超える可愛いさなんだよ!」
講話の先生の迷惑そうな顔をしているのにも関わらず、さらに論争をヒートアップさせていく俺とドラゴン。
「ハッ、優真は何を言っているんだ?あんなのは単なる脂肪だぞ?脂肪に何を求めても未来は変わらんぞ。しかも天然系など何も考えていない馬鹿ではないか!話にならんな」
「あぁ?その発言、お前全国の巨乳ファンと天然キャラファンにやられてぇのか?あぁ!?」
「上等だ!かかってくるが良い。我等ヒンヌー&ロリ派に勝てるわけがないがな、ぬははは!」
ゴチィィイン!!
ドラゴンとの論争に夢中になっていると、思いっきり誰かに後頭部に拳骨を落とされた。すげー痛いんだけど。やった奴は後ろに座っていた愛月だった。
「…………」
安定の人見知りが発生して、流石に声は出さないようだが、ゴゴゴォという効果音が似合う威圧を放っている。敵の攻撃を5ターンくらいは遅らせられそうだ。怖い。
「「ゴ、ゴメンナサイ」」
愛月の威圧に耐えきれずに愛月のこと知らないドラゴンも謝ってるし、愛月恐るべしだな。
少し冷静になった俺は、周りの生徒達や、一ノ瀬や佳奈さんにもクスクス笑われていることに気づいた。うーん、そういえば俺達どんだけ馬鹿みたいな音量で話してたんだ?
……ってあれ?これ俺のオタクっぷりバレてね?やっちまったぁぁぁぁあああ!!!
その後はすっかり意気消沈してしまい、ドラゴンの猛批判を無視して真面目に講話を聞きました。もうこの世の終わりだ。
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そんなこんなで、また地獄のバスを乗り越え、俺達は唯我丘高校に帰ってきていた。
「今回の野外学習はアクシデントも沢山起こりましたが~、無事にここまで帰ってこられてよかったです~!ですがおうちに帰る時に気を抜いて死ぬなんてやめてくださいねぇ~、ではかいさーーん!」
雪風先生のちょぴり怖い注意と解散の言葉を合図に、家に帰り始める1-Aの生徒達。
じゃあ俺もぼちぼち帰るか。そう思って歩きだそうとすると愛月が目の前を通って行った。そろそろプロジェクトのことをそれとなく聞いとくか。
「おーい、愛月!そういえば、あれってどうなったんだ?」
俺の質問に愛月は、冷や汗ダラダラで目線をずらしながらこう答えてきた。
「……え?あれ?ちょっと何言ってるか分からない」
愛付きのやつ、まだプロジェクトの題材となる人を見つけてないのか。いくら弱味を握られて付き合ってるとはいえ、中途半端は嫌だからな。ここは少し強く言っとくか。
「お前なぁ、自分でやるって言ったんだからもうちょい頑張れよな」
「そんなこと分かってるわよ!そういうゆうまも少しは手伝ってくれたっていいじゃない!」
思った通りというかなんというか、案の定言い返してくる愛月。不覚にも怒った顔も可愛いとか思ってしまった。
「それは愛月が自分で探したいって言ったからだろ?」
「うるさいわよ!大体あんただって……」
「貴方達、ケンカは駄目ですよ?」
そんな感じで俺達が言い合いをしている所に、いきなり仲裁が入った。俺もちょっとムキになっていたのでキッとそちらの方を向くとそこには……
サラッサラの綺麗な金髪(校則で染めるのは駄目なので地毛で間違いない)に青色の瞳、そして極めつけは上半身にある鳥取砂丘だ。俺もいつかあそこに埋もれて…うぅん、何でもないです。語彙力なくて申し訳ないが、とにかく恋愛シュミレーションゲームのメインヒロイン並みに可愛い人がいた。
重ねて上品な雰囲気もあるとか、もう2次元が向こうからやって来たって感じだよ!
「それでは、ケンカはもう終わりということで仲直りの握手をしましょうか」
突然知らない人が話しかけてきたことでショートしてしまっている愛月と、突然の美少女エンカウントに驚愕している俺は、言われるがまま無抵抗で握手をした。
「それでは、気をつけて帰宅してくださいね」
そう言って上品に微笑んで帰った彼女を見えなくなるまでぼーっと見たあと、俺は愛月との言い争いも忘れて別事を考えていた。
今俺達が野外学習から帰ってきた時間は、上級生達の授業が終わって家に帰る時間とたまたま合致していたから、たぶん上級生だよな。そこで1度あんな人が俺の高校生活のヒロインだったらなぁとか真剣に考えてみる。うん、悲しい妄想は2次元で留めておこうね俺。
「ゆ、神崎!私決めたわ!」
少し時間が経ったことでショート状態から復活した愛月が突然大声を上げる。
「な、何をだよ?」
「あの人を私達のプロジェクトの『ヒロイン』モデルにするわ!」
こうして、愛月あかり発案、ラブコメ制作プロジェクトの1番目の題材となる人物が決定した。まぁ、言ってしまうと名前も知らないけどな。
ようやく出てきた本筋の話。これまでは言ってしまえば序章です。構成が下手ですみません。