フツカメ×ドラゴン
前回の後書きで書かれたことは次の回のことになってしまいました。その代わり2話連続投稿するので許してください。
何とか野外学習一日目は終わったわけだが、イケイケ組の一ノ瀬に目の敵にされたりなんてこともあって二日目も何だか大変そうだな……
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「お…おき…よ、もうじ……んだ…!」
誰かの声が聞こえる。
ここの宿泊施設ってモーニングコールなんてあったっけ?あぁ眠い。眠すぎる。
そんなことを思いながら微睡んでいると。
バチィン!
痛ってぇな!俺は急におでこに痛みが走ったことで完全に目が覚めた。
「ようやく目が覚めたか?早くしないと朝の集いに遅れるぞ?」
なんかよくわからないイケボが聞こえてきたあと、ギィーと扉が開いて閉まる音がした。
も、もしかして?
急いであたりを見渡すと全員部屋から出ていったあとだった。どうやらみんな起こしてくれてたけど俺が起きなかった感じだな。それにしても朝一デコピンは痛い。
残念なことに遅刻慣れしてしまっている俺はあまり慌てることもなく、ボッサボサの髪のまま、歯磨きと布団たたみを3分で終わらせ、朝の集いに向かった。
朝の集いでラジオ体操などを半分寝ぼけながらやった後、先生から話があった。どうやらこれから雨が降ってくるらしいから、これから行う予定だったハイキングが中止になったようだ。ちっ、このハイキングという一大イベントを逃すのはほんとに勿体無い!
その代わりと言ってはなんだが、やることもないので(先生方が雨の時用のレクリエーションを考えておくよう伝えるのを忘れていたという罪を犯したため)部屋で夕方まで遊んでいいという許可が出た。
さて。部屋に戻ってきたのはいいがやることがない!スマホもゲームも持ち込み禁止とかやめろよ!高校生なんだから普通にいいだろ?あ、でもオタク生活をあんまり大っぴらにしないほうがいいのか?
「おい貴様、たしか俺が朝にインパクトで起こしてやっただろう?名はなんという?」
あ、朝のイケボ君が話しかけてきた。ってなんか眩しいなぁ、普通にイケメン!妬ましい!金髪だし鼻が高いからもしかしてハーフか?よし、ここはビシッと挨拶決めときますか。
「あ、あの……神崎優真、です」
あ、またやってしまったぁぁあ!はいこの人どうせ見た目的に絶対イケイケ組リーダー的存在なんでしょ?分かってるよ。もう陰キャラ認定されたみたいなもんだ!どうにでもなりやがれ!
「ほう、優真というのか。我の名は南地龍、ドラゴンと呼んでくれ。お前はどうやら俺と同じような匂いがするが?そこのところどうなのだ?」
あ、違う。イケイケ組じゃないわこの人。
オタクの中でも重症とされる厨二病の人だ。顔はカッコイイのに勿体無いなぁ。しかし、ここでこいつと関わると俺まで一括りにされちまうよなぁ。想像してた高校生活がどんどん遠のいていく気がする。
いや、俺は中学の奴らみたいなことは絶対しちゃだめだ。自分の価値は自分で証明してこそのものなんだからな。だからと言って華やかな高校生活を望むのは絶対やめないけどな。
「ん?どうしたんだ優真、そんな顔をして」
「な、何でもない。まぁお前の予想どうりだな。よろしく、ドラゴン」
言ってて恥ずかしいけど顔と似合うからなんか腹立つなぁー!?
「貴様とは気が合いそうだ。よろしくな、神崎」
くそ、高校で初めて出来た男友達が同類か。
ま、まぁいいか、良い奴そうだし。(久しぶりに優真って呼ばれた!きゃー!)
その後は、案の定ドラゴンと俺で周りを寄せつけないほどのオタク論争を展開することとなった。(さっきの関わる関わらないの迷いは何だったんだ。)
そんなわけでほぼ半日話し続けて疲れていた俺は、さっさと夕食を食べて風呂に入り、寝ようと思っていたのだが、
「は~い!みなさん今日はハイキングに行けなくて残念でしたねぇ〜。それに私達も少し至らない所があったので急遽イベントを企画しました〜。その企画というのはー……「肝試し」です〜!詳細については今から紙をお配りしますので〜そちらを見てください!」
どうやら先生方はスケジュールのミスを挽回するために、俺達が遊んでいる間中、必死に企画を練っていたようだ。だって詳細の紙が全部手書きだし。
そして、そのイベントの内容に、俺を含めた男子達が馬鹿みたいにテンションを上げている。
肝試しの内容はこうだ。
開始時間は午後21時から。
クラスごとの女子と男子の比率だけ考えられたランダムのくじ引きで5人組を決め、そのチームで山の低いところを一周する。(恐らく先生方が脅かしてくるんだろうな)
1グループに一つ懐中電灯が使用可能。
※山道は危険なので走らないこと。
テンション上がってきたぁぁぁ!それでは早速くじを引いてみよう!
「ドロー!モンスターカー、ごほんごほん……」
くじの結果
俺、一ノ瀬、飯盒炊飯の時にいた女子2人、まだ話したことないイケイケ組女子。
これは詰んだ。一ノ瀬がいて、イケイケ組女子なんかとまともに話をさせてもらえるわけがない。それに飯盒炊飯の時に俺の命綱だった愛月もいない!
愛月が丁度近くにいたので見てみると、くじを持ったまま顔が絶望の色に染まっていた。
うん。愛月に比べれば俺まだマシかも。
いや、マシなはずがなかったんだ。なぜならこの肝試しイベントで事は起きるのだから。
次で肝試しイベント突入です。是非お読みください。