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ラブコメ作家(仮)の異能アシスタント  作者: 羊の羽&美咲クロワッサン
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イチニチメ×カレーライス

野外学習回です。(4話目でイベント突入)


 入学式があった一週間はそれはもう新鮮なことばかりで、一瞬で過ぎ去った。もちろん愛月以外の生徒には話しかけることなど出来るはずがなかった。ま、まぁまだ一週間だし?大丈夫だ!


 ちなみに愛月はプロジェクトを始めるために最初は先輩を調査するとか張り切っていたのだが、超がつく人見知りのせいで中々探しずらそうだ。手伝ってやろうかって言ったらこれだけは譲れないとかなんとか、ならもうちょい頑張れよ。(人の事なんて言えないが。)


 そんなこんなで今日は野外学習当日!というわけなのだが、朝からまた魔王ちゃんのボイス目覚まし時計がぶっ壊れていて遅刻ギリギリだし、乗り物に乗る時には、絶対必要な酔い止め薬(俺には市販でいちばん強い酔い止め薬しか効果がない)も忘れてしまったのでバス席は一番前の先生の隣だった。


「大丈夫だよ〜ゆーま君。なんとかなるって〜」


 雪風先生、人事だからってそんなふうに言わないでほしいです。そろそろやばい、うっ……


 何度かトイレ休憩を挟みながら、3時間半程度でバスは目的地に到着した。なんとか地獄を脱したな……

 みんながバスから下車した後、A組からF組までの生徒が集まって野外学習の係員の人からの注意を聞き、それから持参した弁当を食べた。


「では、まだお昼ですが飯盒炊飯はんごうすいはんとカレーの下ごしらえを行ってもらおうと思います。決められた5人組で手分けをして材料と調理道具を取ってきて調理を開始してください」


 いよいよ野外学習イベントスタートって感じだ!ワクワクしてきたぁ!


 具体的な内容としては、1組40人が5人ずつのグループを8組形成して、カレーライスを作っていくというものだった。

 そして俺のグループはというと、向こうで話しているちょっと可愛い女子と、ちょっとふくよかな女子、そしていかにもイケイケ組なかっこいいオーラを漂わせた男子。そして今は居ないが愛月も同じグループだ。

 愛月以外の奴とは話したことないからめっちゃ緊張するな……


「なぁ、お前と隣の女の子とはまだ話したことないんだけど、名前とか教えてよー」


 さっそく略称イケ男が話しかけにこちらに来た。ていうか愛月はいつの間に隣にいたんだ?瞬間移動?


「え……えーっと、神崎優真です。その、よろしくお願いします」


 や、やらかしたぁぁあ!そこはもっとフレンドリーな感じに行かねぇとダメだろ!俺のアンポンタンが!


「愛月あかり……よろしく……」


 あ、愛月が俺以外の人と喋った!人見知りが少し緩和されたのか。良かった良かった。


「よろしくー、あ、俺は一ノいちのせじゅんていうんだ。それじゃあ、飯盒炊飯は神崎に任せて、あかりちゃんはこっちで俺たちと一緒にカレーつくらね?」


 な……なんてあからさまなナンパだよ!ていうか俺1人なの?流石にボッチ極めてた俺でも一人飯盒炊爨はやったことないなぁ。そもそも出来るのか?

 よくよく考えれば愛月は可愛いんだから、こういう眩しい奴らと一緒にいたっておかしくないんだよな。あはは……


 そんなことを呆然と考えながらその場で突っ立っていると、突然横から手首を鷲掴みにされた。


「え?ちょ、おい……」


 そのまま愛月は、俺を引きずるようにしてお米と飯盒がある方へ行こうとしているようだ。イケ男改め、一ノ瀬が凄い俺の方睨んでるんだけど、めっちゃ怖い。

 俺の手首(間違っても手を繋いでるわけではないと断言しておこう)を持って、黙って歩いていく愛月。これって普通は立場が逆だよな?まぁ、なんでもいいけどなんか幸せだ。



━━━━━━━━━━━━━━



「もうちょっと男なんだからしっかりしなさいよね!」


 愛月はといだ米を飯盒に入れて水を足しながら俺をそう嗜めた。

 会話に関しては愛月もダメだろとか思いつつも、その後の行動で完全に負けているので、その事には触れないことにした。その代わりと言ってはなんだが、少し意地悪な質問をしてやろう。


「あぁ、ごめんごめん。ふと思ったんだけどさ、愛月も人見知りなだけで人嫌いなわけじゃないだろ?多分俺なんかよりもあっちと仲良くしといた方が色々楽だと思うんだけどなぁー?」


「……」


 愛月の奴、無言でぷるぷる震えてやがる。もしかして怒った?

 まぁ、愛月もそこまでのコミュニケーション能力があるなら最初からそうしてるよって話だよな。


「ま、まぁ?ゆ、神崎は一応!私のラブコメ制作プロジェクトのアシスタントだし。それにあんたがぼっちで飯盒炊飯やってるのを想像したら可哀想だなぁ〜とか思ったから?」


 俺は新聞紙を燃やして薪に火をつけると、愛月の方をジロっと見た。

 こいつめ、自分も超人見知りの癖に言うじゃんか。でも案外薄情ものじゃないんだな。


「お前だって初めて会った相手とまともに話せねぇくせに!」


 お?たじろいだ、図星だな。


「う、うるさいわよ!このコミュ障オタク男子!」


「それは言わねぇ約束だろ!」


 この日、俺は見た目と中身が釣り合っていない美少女と口喧嘩をしながら飯盒炊飯を行った。そんな喜ぶことでもないけど喧嘩なんて小学生以来だな、中学ではみんな無視ばっかりで……ぐすん。


 その後、無事に飯盒炊飯を成功させた俺と愛月は、カレーを作った一ノ瀬率いる3人組と合流し、早めの夕食としてカレーライスを食べた。

 やはりというか、一ノ瀬は俺を目の敵にしようとしているようで、配膳の時に俺のカレーの分量を少なくして、ほかの女子と自分のカレーの量を多くしていた。愛月以外の女子は俺の方を見てクスクス笑ってるし。

 何が「このカレーめっちゃ美味しいからまじで食べてみー!」だ。こっちはスプーン1杯でおしまいだっての!ま、こんなくらいならもう慣れてるから大丈夫だけどな。舐めんなよ!(小並感全開)


「ごちそうさまでした!」


 カレーライスを各班が食べ終え、食器などを綺麗に洗った後、再び野外学習の人からのお話を聞き、男女に別れて自分達の宿舎に向かった。


 男子の方の宿舎は、15人くらいの人数で二部屋を好きに別れて使っていいということになっていたので、イケイケ組がいない方を迷わず選んだ。なんてったって、一ノ瀬が面倒くさそうだからな。

 何人か気が合いそうな奴もいたが、俺は久しぶりのことが多すぎて疲れていたのか、話すこともなく眠りについてしまった。あー疲れた。




次回は主人公の「アレ」が明らかになります。

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