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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今日から学校と仕事、始まります。①莞

痴漢等準備罪

作者: 孤独

社畜の群れ。

人は社会という中、豚と等しく飼われて生活している。


暗黒となっている家も、地獄となっている会社でもそう。真っ暗ばっかり。

雑談含んだ、打ち合わせをする4人。ふと、言葉を出したのは瀬戸博という子供のような社会人であった。


「僕、そろそろ痴漢しそうなんですよ」


社会人ではなかった。犯罪者予備軍だった。


「男なら誰だってそうだぞ。瀬戸」

「……あの、お二人はそんな会話を急に始めないでください。瀬戸くん、松代さん。打ち合わせ中です。畦さん、すみません。馬鹿2人なので」


”生きている事こそ、本当の地獄では?”

そう伝える”童話師”もいたものだ。今、目の前に……


「それってヨクジョーって言うんだよね」

「畦さんも言葉を謹んでくれませんか。ここ、私共しかいませんが」


童話のイラストを依頼された今泉ゲーム会社の松代と瀬戸。

ゴースト童話作家である畦総一郎と打ち合わせの最中。ボケ3人に対して、ツッコミ1人という絶望を知る弓長昌。


「最近はテロ等準備罪なんて、法案の話題があるよねー。メディアでは共謀罪だっけ?あーいう社会的な創作にも、また取り組んでみたいな」

「あなたの童話のある一作、とんでもない物がありますよね。よく殺されませんね……(作者もですが)」

「僕は作りたいからやるだけだよ。売るなり、広めるなりは服部さん達のお仕事だし。僕、そーいうの下手だし、人との付き合いはダメぇー」


酉さんが数少ない、一目置いている人物の1人がこの畦総一郎さんですか。瀬戸くんばりの子供っぽい、幼さとあどけなさに反して、私共より一回りある年配者。まったく老けていないのは、今なお、純粋無垢な少年過ぎる心が持っているからでしょうか?


「待てよ」

「どうしました?」

「テロ等準備罪だが、今。俺や瀬戸、弓長が思ったように、痴漢してぇーって言ったり、思ったら捕まるのか!?これは痴漢等準備罪に名称変更だ!」

「勝手に私を入れないでください!!あと痴漢だけに絞るな!!」


まぁ、一般社会で『痴漢してぇー』なんて、ぼやく奴は安全な奴なんでしょうかね?

逮捕とはいきませんが、冗談ですよの一言で済むとは思います。

証言という曖昧なものではなく、物証による証明が成されたら、捕まってしまうことでしょう。


「テロは未然に塞がないとマズイよね。爆弾でチュドーン、住民グェーだし」

「……そうですね。畦さん。国際的にも必要な法案と……」

「そうか!これから通勤電車集団痴漢プレイを計画したら、僕達は捕まるじゃないか!!そんな法案は断固反対だ!」

「瀬戸くんはテロと痴漢を同じにするな!どっちも犯罪!」


爆弾テロとは突発的に起こせるものではないでしょう。なんかしら準備が必要であり、単独で全てをこなす事はまずありえません。

しかし、痴漢とは胸触って、太もも触って、尻触って、息はぁはぁである。


「綿密に立てた痴漢計画を崩されるとは……こうなったら、突発的に痴漢して、痴漢等準備罪で捕まらないようにしないとな!」

「はい、松代さん。警察呼ぶので、豚箱に行ってください。あなたもう犯罪者確定!!」


マジで急に、衝動的にやる犯罪にはほとんどの法律が意味をなさないでしょう。あくまで抑止力と事前の防止に過ぎません。


「まだやってないよ!痴漢してないよ!それは酷いよ!弓長!」

「あなた方のせいで、私も捕まりそうなんですけど!自由が奪われるというか、巻き添え喰らうんですけど。クビにしますよ?」


社会人である以前、人ではあれば、穏便で平穏であるべきと思います。毎日毎時、犯罪を考えていたらヤバイです。そーいう気持ちは便所の落書きでも、どっかで迷惑にならないよう処理しましょう。


「あはははは、良いアイデアが出たよ。今度、痴漢をテーマにした童話を書いてみるよ」

「子供向けの童話というジャンルに対して、テーマが痴漢って、どんな発想してるんですか!?」

「その時はぜひ、松代さんや瀬戸くんにイラストをまた頼みたいなぁ」

「喜んでやります!!」

「ぜひ、やらせてください!」

「会社の評価が下がるので、絶対受けません!!」


3人のボケにツッコミ疲れが出る弓長。

弓長はこの3人と違い、奇想天外なクリエイターという才も生まれも、境遇さえも持っていない。営業なり、パイプ繋ぎといった人。

だから、理解に達しない。常識的で良心的である不幸。時には、彼等のような奇抜な思考ができたら楽だなと思っている。


「誰も成しえなかった事をするが、生きる幸福の一つだよ」

「カッコいい事を言いますが、3人共。犯罪について語り過ぎですよ……」


弓長はケータイを取り出した。警察に連絡しようと思ったが、指は慣れた手つきで本社に繋げていた。立派な社畜だと、悲しく嬉しく感じる。




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