表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/50

その8 反逆

わたしは歩く。ただひたすら、まっすぐに。


早熟だったわたしは、幼い頃から随分と物事に反発していたと思う。否定はしない。

対象は世の中であり、大人であった。また理不尽であること、納得できなくてもわかったふりをしなければいけないことに。

体がもどかしさにうずいていた。

子供が声を張り上げてたって、世間は見向きもしない。

大人はなぜだか、子供が「そこまで」考えているなんて思いもしない。

子供の記憶力も侮っている。


あんたたちだって、小さい頃は考えていたろう?


日々の雑事の記憶に紛れてしまったかい?


世の理不尽を素直に追求する子供が鬱陶しかったのか?

面倒くさかった?


わたしたちの声はたわごとにしか聞こえなかった?


必死に訴えても、客観的にも道徳的にも大人の視線で見ても正しかったはずの様々なことを黙殺してきたのはなぜ?



わたしたちが、小さくうずくまって痛みに耐えるしかなかったのはどうして。

そうしてネジ曲がってゆく心を、純真さを失っていくのも

自分たちのせいだなんてこれっぽっちも考えやしないよね。

どうしてそれで平気なの?


なぜ平気でわたしたちを非難できたの?




わたしたちはねじれた。

ひねくれてるんじゃない、捻じ曲げられたんだ。

それでも、



わたしたちは、我々の精神はまだ生きてるんだ。



あの日々を忘れたわけでもない。

納得出来ない多くのことをそっくりそのまま、両手に抱えて。

ねじれた体を必死で伸ばして、

それこそ激痛におそわれても、前をむいてる。


向かい風や横からの突風や、ときに後ろから豪雨が襲ってきても

わたしたちはねじれた体を動かして、

まっすぐ歩いている。


ねじれきったまま、歪んだ道を、楽な方を選んだりなんてしない。

あんたたちのようには生きない。


まっすぐ、まっすぐ、前を向くんだ。




それがわたしたちの反逆。

誰も気づかない、精一杯の反逆。



歪んだ世界で、まっすぐであること。



それはわたしたちの、ぼくらの、「反逆」





      それはやがて世界を変えると信じて。


明日更新のお話、タイトルは「決別」です。お楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ