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25 神


貨幣経済の存在意義に問う。

その制度はある時期において非常に効率よく、人々をまとめ、支配し、欲望をコントロールするのに役立つものであったのことは否定しない。

ただそれが何を成し得たのか。


文明? 

貨幣経済の伴わぬ「文明」は存在する。つまり、必ずしも文明が顕在化するために貨幣の存在が必須であるわけではない。


文化?

文化は人類のみのものではない。ということは、文化の存在にも貨幣は絶対条件となりえないことの証明となる。


ていよくいえば、支配者が、非支配者を都合よく操作するに便利な道具だに過ぎぬいう結論にたどりつく。


つまらないものだ。


つまらぬ故に、やがて貨幣経済は駆逐されてゆくだろう。あらゆる宗教が淘汰され、やがて消えていったように。


まさか貨幣よりも宗教が先に消滅するとは誰も考えなかったろうが、現実に起こったのだから仕方ない。


いやまてよ。


貨幣が宗教に成り代わっただけかもしれぬ。

まこと恐ろしいことではあるが。


金がすべて。金が権力。金だけが幸福をもたらすもの。

そう仕向けたのは誰だったのだろうか。


金の支配下において平和である。では金なくしての荒廃した世界は、存在が許されて良いのか。


現在、世はは平和の下にある。ただ金を盲信すればいい。

人間関係がどんなに荒れ果てても、「金」という絶対者という存在さえあれば、それを中心に世界は回ることが可能なのだ。


我々は貨幣経済を、金を回すことを生業としている。

いわば「神」を操っていることと同義だ。

罵ってもらって構わない。「神」を貸付け、回収する。

そのたびに「神」の量は増えてゆく。

「神」を自在にあやつる才能、それがこの世を支配するための必要条件。



……「神」に操られているのは我々かもしれぬと、うすうす感じながらも私達は今日も「神」を動かしている。


明日も更新します。どうぞお楽しみになさってください。

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