迷宮の二層目に降ります、一般人。
今回は、ボス戦です。
朝です。
今日は少し、どんより雲。
………まあ迷宮に潜る自分にゃ、関係ないですが。
何時もの様に、朝食を食べおっちゃんと会話。
宿泊の5日延長をして、お弁当を持って迷宮へ。
迷宮入り口で、ボルトラさんにお弁当を預け、中へ。
うん、背中の風呂敷らは、使わないのかって?。
使いません。
実際試してみましたよ?。
超~~便利。
それぞれ、単体で使用すると効果は変わらないが、組み合わせると、もう駄目。
まんま、アイテムボックスです。
使い方は、
身に付ける、或いは触れている事が条件。
収納する時は、触れて入れたいと思うだけ。
取り出しの時は、風呂敷に触れると、何と、収納されてるリストが、頭の中に登場、後は選んで出すだけ。
出す作業は、慣れたら楽に出来た。
どう見ても、命狙われる確率、桁違いに跳ね上がるでしょう?。
ヤですよ?、そんな殺伐とした、人生は……。
平穏無事に生き、死ぬなら老衰か、寿命で、です。
暗殺者に襲われるとか、毒殺されるとか、決闘を申し込まれるとか……。
無いです、無い無い。
そう言う訳で、現在の風呂敷君は、絶賛開店休業中なのです。
さて。
っ、きょうぉも♪、狩ります♪。
スライム♪、うぉを~~♪。
鼻歌混じりに、サクサクっとな。
楽チン、楽チン。
今日もボルトラさんに3回魔石を渡す。
今日も銀貨20枚程の収入。
明日は着物を受け取る日だ。
所持金の確認。
ギルドカード
名前:タロー・キノモト
サブ職業1:探索者
ギルドランク:10位
サブ職業2:なし
ギルドランク:なし
職業スキル:迷宮脱出、
〔銀行預金額:4327〕
結構貯まってる。
でも、今日の買い物で粗方、消えるんだろな……。
取り敢えず、何時も通りに、朝食とおっちゃんを済ませて、店に行こう。
現在、予想外の出来事が……。
何故か、ミラさんに捕まった。
受付にいないのは確認していたので、人混みを注意していたのに……。
店の中で待ち構えているとか、予想も想像もしてないし、出来なかった。
諦めよう、今日は昼からだ。
注文の品と、見本に渡した着物を受け取る。
魔糸で編んだ着物らしく、今度はスライム如きの体液では、溶けないらしい。
追加で袴を頼めるか聞くと、やはり手本なり見本が要るらしい。
ズボンと下着を余分に買ってから、試着室で着替え、
(勿論、魔法で綺麗にしましたよ?、その際下着も替えてます。)
そして袴を預ける。
今度は5日後との事、料金は銀貨15枚程。
和装ではない為、刀が腰にあっても、違和感しかない。
どの程度、狩りの効率が落ちるか、判らないので無理は出来ない。
注文してたのは、袴が出来てから、受け取る様にお願いして、預かってもらった。
これで銀貨15枚が出て行った。
次は金貨を目指そう。
ミラさんから逃げる様にギルドに戻り、お弁当を買い、迷宮へ。
何時もの様に、ボルトラさんにお弁当を預け、スライム狩り再開。
……。
やはり、動きが阻害される。
溶けはしなかったが、武技に何度か失敗した。
暫くは、収入が減るだろう。
徐々にストレスが溜まっていくかも……。
明日は休んで、1日中ゴロゴロしよう。
今日は銀貨13枚程だった。
処で、皆さんもう、お気づきかと思うが、お金に単位が無い事に、疑問をお持ちかと思う。
コレは、神のミスではなく、この国が、国としての力が弱いためである。
理由その1。
現在もアルフォート『王国』と名乗ってますが、まず王族が居ません。
皆、死に、血も絶えました。
貴族が好き勝手やる為に、サクッと暗殺&毒殺&事故死の計画、実行、そして成功。
理由その2。
貴族の領内でそれぞれで名が違う。
因みに、この街だと、アルムのAでアルと読む。
価値は何処でも変わらないが、混乱する為、各ギルドでは使用せずに、貨幣の呼び名で使用している。
……実際、共通単位がないから不便だ。
貴族達も、どうにかしようとしたらしい。
……。
えぇ、ものの見事に戦争になりかけました。
まあ、何とか出来るんなら、王族、死に絶えてないよね?。
何か色々考えてたら、気が滅入ってきた。
今日はもう寝よ。
おやすみ~。
*某所の部屋。
「……で、どうなんだ。」
「外に出て来やしたが……、店との往復だけで、他の店どころか、ギルドから出ないんで……。」
「チッ、だか何時までもギルドに籠もれるわきゃねえ。何かないか?。気付いた事でもイイ。」
「………そういやぁ、あのガキ、マトモな防具を付けてなかったような……。」
「防具、防具か……。なら防具屋にでも……イヤ、あのガキは金をあまり使ってねぇ。なら、暫くは外に出ねぇな……。やはり、アイツに……。」
「待ってくれ。」
「何だ。」
「……今のやり取りで気付いたんだが、あいつ、武器はどうしてんだ?。」
「武器だと?。どう言う事だ。」
「……、知っての通り迷宮の、1層目のモンスターは、スライム。って事は……。」
「………なる程な。確かにアイツ等相手に、腰にあるやつ1つだけじゃあな……。だがあのガキが持ってんのが、アイテムバッグやリュックの類なら、出来ない話じゃねぇ。」
「なら、どうしやす。」
「……迷宮内での様子が判れば……。おい、アッチとはまだ、繋ぎ取れねえのか。」
「すいやせん、まだです。」
「……仕方ねぇ、お前は繋ぎが取れたら、仕事だと伝えろ。他の奴らは、見張りを続けろ、チャンスがありゃ、殺っても構わねぇ。いいな?。その時は、例の場所で待ってろ。コッチから合流する。判ったな。」
「「「へい」」」
………漸く、袴が受け取れる日がきました。
長かった。
実に、長かったです。
日常生活に支障はないとは言え、迷宮では支障、有り捲りです。
やはり、職業『浪人』に関わりがあるんでしょうね~。
和装が関係するかもと思い至り、着流し姿でヤってみました。
多少の武技失敗率が改善されました。
動きも若干…ですが、良くなりました。
とは言え、袴姿程ではありません。
体感ですが、袴姿を百とすると、着流し姿は八十、和装以外だと五十、と言った処でしょうか。
なにせ、収入に直結しますから。
初日は穫れましたが、2日目と3日目は銀貨10枚に届きませんでした。
4日目は、着流しに気付いて試してみました。
満足…とは行きませんが、納得の出来。
昨日も着流し姿で、スライム狩り。
昨日と一昨日で、漸くそれぞれ15枚まで、増えました。
目標とする、金貨まで、おそらくは後少し、銀貨90枚以上あるので……。
袴を買ったら、銀貨は80枚以下になるけど、大丈夫。
今日は!。
ダン!。
なんと!。
ダダン!。
遂に!。
ダダダン!
第二層に降りるんですね(ぐ〇ナ〇の〇鳥さん風に)。
そして、第二層のモンスターは
ダララララララ~~~~~~~~~~~~~~~~ダン。
ウサギなのです。
その愛くるしい姿は、癒し系。
フワフワのモコモコ。
是非、この殺伐とした生活に、潤いを~。
と言う訳で、用事はさっさと済ます。
朝食→おっちゃん→袴受け取り→お弁当→迷宮へ、の前に、今日は商人ギルドに行きます。
ドロップアイテム用の大きな袋を買わないと。
魔石は変わらないけど、アイテムが、かさばるらしい。
ウサギだから、肉と毛皮でしょう。
かさばらない方が、嘘ですね……。
などと考えているが、実はまだ第一層目のフロアボスを倒していません。
何故なら、万全で且つ安全でなければならない。
当然です。
LVも上がってないし、もしかしたら、フロアボスを倒さないとLVが上がらないかも知れない。
スライム狩りで倒した数は、千はあるはず。
なのに、LVは上がってない。
コレは試しに殺ってみるしかナイでしょう。
と言う訳で、ボルトラさんに何時もの様に、お弁当を預け。
いざ、フロアボス討伐へ……。
ところで、実は、後で思い返すと、この時点で失敗する可能性があった。
それは………。
回復アイテム持ってない。
そう、スライムだから大丈夫、と油断してました。
フロアボスは、基本その階層に出ている、モンスターの親分。
おっきなスライム、所謂、ラージスライムと予想しました。
ボス部屋にはいりま~す。
はい、おっきなスライム出てきました。
名前判んないんで、おっきなスライムは、ボススラとします。
ボススラ突進、と言ってもピョンピョン跳ねながらですが……。
コレが、怖い。
想像してみ?。
大型の貨物運搬用トラック、しかもコンテナタイプ(よく高速でニュースになるやつ)。
あれが、ほぼ真横に横滑り、そのまんまコッチに来る。
しかも、車体下の隙間は無し。
ぶつかったら、『グチャ』でしょう、『グチャ』。
勿論避けますよ?当たり前じゃないですか。
あんなのと、正面からヤレるのは、それこそ『勇者』でしょう。
一般人を自負していますから、間合いを取って、武技でチマチマと削ります。
体液が減ったら小さくなるでしょうし。
……でも、予想出来たのはそこまで。
ある程度、ダメージを受けると、大から中、中から小へと分裂しました。
分裂ですよ?、皆さん、分裂!
大から中の時は、凡そ30~40体、中から小では、500体は確実でしょう。
せっかく新調した和装……1日で廃棄処分に。
刀も、スライムの体液でぼろぼろ、刃こぼれが可愛い位です。
止めは、倒したボススラのドロップアイテムです。
………。
何で、9級の魔石が1つ、何ですか?。
もうね、収支的には大赤字です。
若干、憂鬱になりながらも、ボス部屋の奥へ。
奥にも扉がありました、抜けると左右に魔法陣が……。
向かって右には、黒く光っている、石柱が……左には、暗い、青かな?、同じ様に石柱が、腰位の高さであった。
ボルトラさんに聞いていた通りなら、黒い方が次の階層に、青い方が、入り口に出るはず。
まずは、登録。
コレはギルドカードで行う。
カードを当てる事で魔力を記録し、ゲートを開く筈……なんだけど、何の変化もない。
何度も当て直すが、変わらない。
???。
………。
!?。
もしかして。
ステータスカードを確認。
ステータスカード
名前:タロー・キノモト
年齢:16
気力:10/200
霊力:0/40
職業:浪人
属性:聖
魔力:3/10
スキル一覧
ユニーク:なし
メインスキル:刀術LV2、歩行術LV2
サブスキル:言語学LV1
魔法スキル:生活魔法[聖]
武技一覧
飛刀<燕>(ひとう<つばめ>)LV2
居合い<閃>(いあい<せん>)LV2
装備品:刀(無銘)、〔鞘(霊術:状態保持)〕
所持品:〔闇の〕風呂敷、〔拡張の〕箱籠、
やっぱり。
魔力が足りてない。
取り敢えず、どの位使うか判らないから、ゆっくり休んでから再挑戦。
ステータスカードと睨めっこしながら、待つ。
魔力が満タンになったら、もう一度試す。
今度は成功、消費魔力をステータスカードで確認。
5だった。
なら、続けてもう片方も。
どちらも、魔法陣が起動し、光を放っている。
今日は疲れたがら帰ろう。
ここで失敗その2。
着替えずに戻った事。
……入り口に戻ると、ボルトラさんに、ボロボロのカッコを見られまして……怒られ、更に、関係各所の人達にも。
心配してもらうのは、有り難いですが……、いい加減着替えさせてほしい。
そう言ったら、もっと激しくなりそうなので、我慢、我慢。
………早く終わんないかな~。
お読みいただきありがとうございます。
取り敢えず眠たいです。