スライム狩りだよ?、一般人。
フラグが出てきます。
果たして、へし折る事ができるか?。
好ご期待。
迷宮内部は、見た感じ石造りだ。
多分。
いや、発光する石とか知らないし……。
まあ、視界が悪いよりはマシだ。
索敵系のスキルが無い以上、暗いと不意打ちが防げない。
これから行うのは、人生では、初の作業。
生き物を殺すと言う作業。
倒せば消えるとは言え、見た目は生き物。
罪悪感や嫌悪感が、無い訳ではない。
しかし、
「生活の為、生きる為」
と、自分に言い聞かせ、気持ちを奮い立たせる。
迷宮に入るまでは、テンションが高かった為、気づかなかったモノがある。
入ると、途端に出てきたモノ。
……。
……心細さだ。
幾ら、迷宮脱出があるとは言え、やはり落ち着かない。
その為、その事を考えない様に、他の事に思考を切り替える。
因みに、迷宮脱出は念の為、入って直ぐに試した。
無事成功した……が、その際、ボルトラさんに笑われたのは、皆さんの想像通り。
逃げるように、再び迷宮へ。
恥ずかしさに、身悶えしながら歩いていた。
この時点で、心細さが消えていたので、全く警戒をしていなかった。
その為、周囲の確認を怠ったり、スライムからの不意打ちを受ける。
倒れはしなかったが、焦ってしまい、刀を抜くのを忘れた。
再び、スライムの攻撃、体当たりだ。
何とか横に避ける。
スライムの体制が整う前に、刀を抜き、構える。
三度、スライムの攻撃。
今度は、その場から何かを飛ばしてきた。
避けつつ、斬る。
弾ける様に広がる何か。
少し、着物にかかったか。
すると、煙が立ち上った。
溶けてる!。
よく見ると、床からも煙が……。
刀は!?。
慌てて刀身を見るが、うっすらと煙が見て取れる。
斬ったら拙い。
そう思ったが、他に武器はない。
なら、突くまでだ。
スライムは核が弱点の筈。
幸い、スライムの動きは見えるし、避けられる。
なら、体当たりを避け、着地を狙って突こう。
取り敢えず、倒し方を頭の中で反芻。
さぁ、来い、スライム。
そんな挑発の声が、聞こえたのかは判らないが、スライムが動いた。
来い、来い。
構えず、避けてから素早く動けるように、スライムとの距離を測る。
跳んできたら、斜め後ろに下がって突ける様に、後ろをチラリ。
その瞬間、スライムジャンプ。
今度は慌てず、避ける、真横ではなく斜め後ろに。
スライムが着地。
核目掛けて突く。
命中。
しかし核には届いていない……が、弾けるように光ながら消えた。
……?。
どうやら、スライムの、HP?、LP?、を0に出来たみたいだ。
刀に生活魔法[聖]を使う。
煙が消える、それを確認してから、鞘に納める。
次は、ドロップアイテムの確認、親指の爪程の大きさの石を見つける。
黒曜石の様に見える石だ、取り敢えず懐にしまう。
最後にステータスの確認。
ステータスカード
名前:タロー・キノモト
年齢:16
気力:98/100
霊力:16/20
職業:浪人
属性:聖
魔力:8/10
スキル一覧
ユニーク:なし
メインスキル:刀術LV2、歩行術LV2
サブスキル:言語学LV1
魔法スキル:生活魔法[聖]
武技一覧
飛刀<燕>(ひとう<つばめ>)LV1
居合い<閃>(いあい<せん>)LV1
装備品:刀(無銘)<状態:欠損小>、〔鞘(霊術:状態保持)〕
所持品:〔闇の〕風呂敷、〔拡張の〕箱籠、
色々減ってますが。
ひとまず。
何やってんのオレ。
武技使ってないよ!
飛刀<燕>!。
使えば良かった。
色々考えてた事が、バカみたいだ……。
よし、開き直って、討伐再開。
……。
……。
激しく後悔してます。
正直気分は、『やらかした』である。
……サーチ&デストロイ。
……楽しかったです。
……武技<燕>の射程と威力を確認しながらのスライム狩り。
……止まりませんでした。
……楽しすぎて。
……気付いたら、貯まってました、魔石。
……どう見ても、100以上はありそう…です。
……迷宮に再突入する前に、ボルトラさんが笑いながら、「魔石入れろ」と渡してくれた皮袋が、はちきれそうです。
捨てる訳にもいかないので、持って帰ろう。
因みに、魔石以外のドロップアイテムは、スライムゼリー(食用)が20程だった。
確率は5分の1か……。
などと、若干の現実逃避をしながら、トボトボと歩きながら戻る。
歩きたい気分だから、迷宮脱出は使いません。
「あ~~、まぁ、その、何だ。……頑張ったな?。」
案の定、そんな言葉を掛けられる。
ボルトラさん曰く、自分の知っている範囲で、新人の初日での買取量ではないとの事。
「少し、気分が高揚しただけです。早く、買取手続きして下さい。」
少し、不機嫌そうに話す。
「わかった。チョット待ってろ。……。」
何か後ろの装置に、魔石を無造作に入れる、つまり、袋の底を持ち、一気に引っくり返す。
そんな乱暴に扱って良いの?。
「……。よし。ほい、コレを受付に持って行きな。」
そう言って渡された紙に、書かれた魔石の数……、163個。
……、うん、コレ、絶対目立つよね?。
少し、憂鬱な気持ちで、魔法陣でギルドに戻る。
そんな、肩を落とした感じで、ギルドに戻るタローを見ながら、ボルトラは一言呟く。
「あいつ、やめなきゃ良いけどな……。」
魔法陣を出て、扉あった入り口に向かう。
行きは気付かなかったが、扉が閉まっている。
コレ開くの?。
そう思いながら、扉に近付くと、突然、扉が消え、階段が見える。
入り口から離れると、また扉が現れた。
床を見ると、魔法陣にがある。
どうやら、その中に入ると、扉は消えるようだ。
コレが『鍵』何だろう、そう思いながら地上へ上がる。
これから、受付で起こる事を想像すると、足に重りが付いている様に感じる。
「凄い、凄いですタローさん。」
立ち上がり、大声で、ハシャぐ様に叫ぶ、受付のミラさん。
「少し、落ち着いて下さい。恥ずかしいので……。」
そうミラさんに言うと、顔を真っ赤にしながら、慌てて座った。
「すみません。でも、やっぱり嬉しいです。」
何、やっぱり嬉しいって……。
首を傾げると。
「この街は、迷宮が在るのに、探索者が居ないため、生活雑貨の殆どを他の街に依存していたんです。その分、価格が上がるし、探索者ギルドの本部からも、色々言われて、ギルドマスターも報告会議の度に、肩身の狭い思いを……。体に穴が開きそうとまで、言ってましたから……。」
チョット可哀想だな、ギルマスさん。
「取り敢えず、計算してもらえますか?。」
「大丈夫です。……。はい……。……。お待たせしました。こちらになります。」
そう言って見せてくれたのは、金額の書かれた紙だった。
「まず、10級の魔石が163個とスライムゼリーが24個。10級の魔石1個が、銅貨3枚ですから、銅貨489枚。スライムゼリーが1個、銅貨5枚ですから、銅貨120枚。合計銅貨609枚、銀貨6枚と銅貨9枚となります。宜しいですか?。」
「はい。」
「では、口座にしますか?。それとも現金になさいますか?。」
「口座だと支払いなんかはどうなりますか?。」
「基本は問題なく、どこのお店でもお支払いできます。現金が入り用でしたら、直ぐにお引き出しできます。登録している、系列ギルドだけで、ですが……。」
「系列ギルド……ですか?。」
「他の街の探索者ギルドと言う意味です。」
「なる程、なら口座にお願いします。」
「わかりました。ギルドカードをお借りできますか?。」
金額の書かれた紙と、ギルドカードをもって、また例の装置の所に……。
……、あっ戻ってきた。
「では、ギルドカードをお返しします。ご確認下さい。」
ギルドカード
名前:タロー・キノモト
サブ職業1:探索者
ギルドランク:10位
サブ職業2:なし
ギルドランク:なし
職業スキル:迷宮脱出、
〔銀行預金額:609〕
確かに入金されてる。
昼からの2、3時間ほど、潜ってこの金額なら、1日潜ればこの倍だ……、計算上は。
実際は、もうちょっと少ないと思うので、切り良く銀貨10枚位で見ておこう。
先の階層に進めば、増えるだろうが今はこれで……まずは装備と回復アイテムが先だ。
「それじゃあ、これで……。」
「はい。お疲れ様でした。無理はしないで下さいね。」
「はい。」
受付を離れ二階へ。
おっちゃんに話しかけて、二泊する事、着替え、所謂お泊まりセット、などを聞く。
すると、着替えは外の店に、歯磨きやタオル位は、ここに有るとの事、無論有料。
今日は着物に穴が開いたので、着替えの入手は急務だが、外は随分と、暗くなっていたので明日だ……。
今日まで頑張れ、褌。
因みにお店の場所は、道を挟んだ反対側、ギルドの真っ正面だった。
行けなくはないが、今日はかなり目立ったので、念の為だ。
昨日の、盗賊ファッションの冒険者(また名前忘れた)の態度から推理すると、夜道は危険がイッパイな気がする。
無論コレは、一般人のみが所有し、諸々の危機を回避する為に持つとされるスキル『危機回避』(笑)だ。
……勿論、そんなスキルは存在しない!(キッパリ!)。
そんなスキルがあれば、元の世界で、もう少しマシな生活を送れていたはず……。
思い出したら、少し泣きそうになった。
ピコン!。
一般スキル『危機回避』(笑)を覚えた。
………。
……スキル。
……覚えた。
……ナンデ?。
お読みいただきありがとうございます。
のんびりと書いていきます。