ギルドに到着した、一般人は。
キリの良い処で終われなかった……。
歩く。
てくてく歩く。
トコトコ歩く。
ひたすら歩く。
………。
ヒマだ。
景色が変わらない。
体力的には、スキルのお陰で問題ない。
動物などに、襲われる危険性も無い。
見かける動物は、ウサギだけだ。
しかも、視界に入るとすぐ逃げる。
見事だ……。
君こそ一般人の中の一般人、ベストオブ一般人の賞をあげ、讃えよう(脳内妄想で)。
見習わなくては。
歩く。
てくてく歩く。
トコトコ歩く。
ひたすら歩く。
………。
暇だ。
する事がないとは……。
貧乏症の一般人としては、何かしてないと落ち着かない。
困った。
何時もなら、携帯で、ゲームをしたり、小説読んだりしてたのに。
する事がないと、時間が長く感じる。
ひまだ。
暇すぎる。
ヒマすぎて困る。
しかし、面倒事はもっと困る。
よって、あそこに見える、馬車に近付く事はしない。
どう見ても、盗賊イベント真っ最中です。
草の中に伏せてやり過ごしましょう。
……………。
……………。
……………。
……………。
……………。
……………。
終わったみたいですね。
どうやら、盗賊イベントは盗賊さん達の負けみたいです。
護衛の人達凄いですね。
盗賊さんの上半身と下半身がバイバイしてました。
右半身と左半身もバイバイしてた、盗賊さんもいました。
消し炭になってた、盗賊さんもいました。
怖すぎます……。
よって、馬車が見えなくなるまで、その場で待機。
そんなに待ちませんでした。
盗賊さん達を放置して、サッサと発車してました。
肉食獣が出て来ると思われるので、静かに、しかし、素早くその場所を迂回し、先に進みます。
スキルが使用された為、気力が少し減りましたが、問題ありません。
歩いていれば、回復するでしょう。
歩きます。
ただ歩きます。
ただただ歩きます。
………。
陽も落ち、辺りが少し暗くなってきました。
街はまだ見えません。
野宿決定?
嫌です。なので、走ります。
気力の残量を観ながら、走ります。
えぇ、走りますとも。
野宿はイヤですから。
ハア…ハア…
ハア…ハア…
ハア…ハア…
ハア……ゴフ、ゲホゲホ…。
ようやく街が見えてきました。
勝ちました。
我が軍の勝利です。
門へ急ぎましょう。
暗くなると、門を閉めるかもしれないのですから。
ようやく、街の門に辿り着いた時は、かろうじて太陽さんが、見える位で、辺りは大分暗くなりました。
それでも、門は開いていたので、入れると思い、列に並びます。
やはり、カードを見せている様です。
いよいよ順番が回ってきました。ステータスカードを見せると、門番さん達の詰め所に、連れて行かれました。
何か問題があったのでしょうか?
中に入ると、自分と同じ様な人がいて、少しホッとしました。
部屋の中には机と椅子があり、机の上に奇妙な物体が……。
大きさで言うと、粉ミルクの缶の上にソフトボールが乗った感じ……でしょうか?
良く見ると、ボールではなく、ガラス?水晶玉?
台座の上に水晶玉が置いてある感じでしょうか?。
台座の下の方にカードを入れられる様な穴があり、もしやこれは……。
「こっちに来て、そこの穴にステータスカードを入れ、上の球体に触れてくれ。」はい、来ました。
犯罪歴ですね。
恐らく、引っかからないとは思いますが、それでもやはり、ビクつくのは、私がまごう事なき、一般人だからに他なりません。
恐る恐る触ると、球体が光りました。
色は白です。
「よ~し。行って良いぞ。」
どうやら合格です。
おっと、忘れないで、カードを台座から取り出し、質問をします。
「仕事を探しにきたんですが……。」
「なら、街の真ん中にギルドが在るから、そこに行けば良い。」
「手持ちがコレだけしか無いんですが、おすすめの宿はありますか?。」
「ギルドで聞け。」
「わかりました。ギルドに行くには、門をくぐった後、真っ直ぐですか?」
「あぁ、道の先に見える建物がギルドだ。」
「ありがとうございます。」
そう言って、その場を離れようとすると。
「っと、ちょっと待て。」
!!!。
「なっ、何でしょう?」
やっぱりアウト?アウトですか?
「そんなにビクつくな。言い忘れてた事があるだけだ。」
言い忘れてた事?
アレやるな、コレやるなって、注意事項かな?
「ようこそ、アルムの街へ。」
???。
それだけ?。
「一応、ココまでが仕事何でな……。」
その後、詰め所を離れ、ギルドへ向かう。
おなかが空いたが、屋台は無い。終わったみたいだ。
まず、ギルドに行き、登録。時間が掛かるようなら、オススメの宿を先に聞いて明日にしよう。
少し早足でギルドへ。
その建物は、予想より遥かに大きい感じがする。
ラノベに出てくるギルドはもう少し、小さかった様な気が……。
もしかして、本部が入ってるから、この大きさなのか?。
取り敢えず中へ。
中は、受付らしき物が……2…4…6?6つも在るのか?受付が。
やっぱり本部が……。
少し固まっていると、入り口近くの受付から、声をかけられた。
「どうかされましたか?。」
「……受付の多さに驚いてるところです。」
「そうでしたか、ところで、本日はどの様な御用件で?」
「えっと、ココで仕事を探せると聞いたので……。」
「なるほど、でしたら登録を先にしなければ、いけません。こちらへ。」
後を付いて行き、勧められるまま椅子に座る。
「それでは、ステータスカードをお借りできますか?」
若干慌てながら、カードを渡す。
「こちらに手をおいて下さい。どちらの手でも、構いませんので。」
詰め所にあった物と似ている
黙って、右手を置く。
すると、やはり光ったが、色が違う。
今度は青だ。
青く光った。
「これで、ギルド登録は終了です。」
そう言って、カードを二枚渡された。
一枚は、自分のステータスカード。
もう一枚は、ギルドカードなのかな?
「ステータスカードとご一緒にお渡しした物が、ギルドカードとなります。無くされた場合、再発行に金貨一枚とギルドランクの降格が、御座いますので、お気をつけ下さい。」
金貨一枚……。
どれくらいか、わからないが大金だろう。
降格も、もしかしたら生活に響くかも知れない。
無くさないように気をつけよう。
目立たない為にも。
「ギルドカードには、所属している職業ギルド、そのギルドのランク、更にギルド銀行に預けてある預金額が表示されますが、預金額のみ隠すことが出来ます。預金額の数字を触って下さい。」
預金額の数字0何ですけど……。
言われるまま触る。ナント、数字が消えた。
「再表示される時は、もう一度触って下さい。」
ふむふむ、現れました。0ですけど……。
「ステータスカードでも、同様の事が出来ます。こちらは、スキル以下の項目に対応してますので、お確かめ下さい。操作は、隠したい物や項目に触り、下に動かす様にしてみて下さい。文字が薄くなっていれば完了です。基本的にどちらのカードも、同様の操作をしておくと、所有者以外には見られませんので、普段から行っておくことを、お薦めします。」
ステータスカードでも試す。
スキルも、武技も、装備も、更に所持品も、隠すことに成功。
これで、取り敢えずは安心かな。
改めてギルドカードを見よう。
ギルドカード
サブ職業1:なし
ギルドランク:なし
サブ職業2:なし
ギルドランク:なし
職業スキル:なし
銀行預金額:0
「では、職業についての説明宜しいですか?。」
「よろしくお願いします。」
「それでは、まずギルドで就ける職業は5つ、冒険者、商人、魔導師、職人、探索者になります。」
ふむ。5つっと。
「更に、職業スキルについても説明いたします。」
職業スキル?
「職業スキルは、各職業に就く事で、使える様になります。また職業LVが上がる事で、使えるスキルの種類の増加や、効果の増強などがあります。」
職業スキル便利かな?
便利だと良いな。
「次に、各職業ギルドへの入会です。まずは、商人ギルドです。商人ギルドですと、入会時に金貨三枚を支払います。更に、売り上げの一割を毎月、月末に支払います。」
金貨三枚?。
毎月売り上げの一割?。
結構厳しいな。
うん、パス。
「職業スキルはアイテムボックスと目利きです。アイテムボックスはLVが上がると、入れられる容量と大きさ、重さが増えます。劣化はLVの低い内は防げません。」
アイテムボックスか~。
LVが在るんだ。
劣化は基本防げないけど。
「次に目利きですが、これは、物品に対して使う事で、品質や状態を観る事が出来ます。あくまでも、品質と状態を観るだけです。ステータスは観れません。」
ステータスは不可。
まあ、ホイホイ見られたら困るよな?。
「次に職人ギルドです。まずは、師事する職人の元に行き、弟子と認められた時点で入ることが出来ます。尚、入会金はありません。基本商人ギルド以外では必要ありませんので。」
まず弟子入りから。
入会金は要らない。
「また、弟子の時に売り物になる物を作った場合、全て、ギルドで買い取ります。勝手に販売してはいけません。下手をすると、工房にも罰則が発生し、営業停止、或いは工房の許可の取り消しになります。また、買い取った側にも勿論、罰則が発生します。」
弟子は勝手に売ったらダメ。
売り込まれても、買ったらダメ。
停止も痛いけど、取り消しは……。
うん、職人もなし。
「職人の職業スキルですが、職種毎に違うため、共通のスキルは1つだけです。」
やっぱ基本の手先の器用さ?
或いは、精密作業?
「それは、集中力です。」
うん?。集中力?。
何で?。
「これは、各職業によって、作業工程が違う為です。その為、使わないスキルになる事を考え、これ1つになったようです。」
「でも、例えば、手先の器用さが上がるスキルは、なかったんですか?それなら……。」
「勿論、それも考えられましたが、不器用な人が、即座に器用な人と同じになる訳では、ありませんから……。あくまでも、本人の器用さが上がるだけなので、元々マイナスの人は……。」
そう言って視線を逸らし遠い目をした。
昔、何かが遭ったんだろう……。
ここは見ない振り、見ない振り。
「ですが、集中力なら作業の邪魔にならないと、考えられたみたいです。」
まあ確かに、作業に夢中で話し掛けでもって無視されたしな~。
誰にとか、聞かないで!。
「では、改めまして。次へ行きます。次は魔導ギルドです。こちらは、主に研究者が多く入っております。この世界には、ご存じの通り、
『魔術』
『魔法』
『魔導』
の3つが御座います。」
はい、知りませんでした。
一応頷いておく。
「まず、
『魔術』は、主に生活に密接に係わっております。生活魔法とも、呼ばれています。魔力消費も、多くなく、その分、威力や効果も『魔法』には及びません。
続いて、
『魔法』は、主に戦闘用が多く、威力も魔力消費も、大きいのが特徴です。常に研究が続けられており、毎年、新たな『魔法』が発表、実用化されております。
最後の、
『魔導』は、主にに魔法陣による『魔術』や『魔法』の発動を研究しております。ギルドカードを発行した此方も、『魔導』によって創られた物です。
故に、研究出来るのは、
『宮廷魔導師』
のみとなっており、勝手に、許可なく、『魔導』を研究すると死罪となります。ご注意下さい。」
ブンブン。
しませんよ、そんな危ない事。
命あっての人生です。
却下です、却下。
「職業スキルは、真理の探究です。効果はよくわかりませんが……。」
何か、錬金術とか、有りそうだな……。
「続けますね。次は冒険者です。こちらは探索者と共に、戦闘が主な仕事になります。但し、1つ違う点が御座います。それは、冒険者は基本的に街から街、或いは、村などに移動する事が、前提となります。これは、護衛や魔獣や魔物の討伐が、主な活動だからです。」
成る程、魔獣や魔物の討伐に護衛
この辺は、ラノベ通りと。
「その為、受付カウンターも商人ギルドと冒険者ギルドは隣同士です。説明が遅れましたが、受付カウンターは、向かって右手側から、冒険者ギルド、商人ギルド、魔導ギルド、職人ギルド、探索者ギルドとなっております。」
そうなると、両端かな?。
行くのは……。
「そして、冒険者の職業スキルは、身体強化、若しくは、身体再生となります。詳しい説明は、必要無いかと思われます。」
まさしく、読んで字の如く。
そのまんまですね……。
「最後は、探索者です。こちらは、迷宮に入って、モンスターを倒し、ドロップアイテムを持ち帰る事が、主な活動となります。」
迷宮……。
来ましたね。
でも、モンスターと魔獣や魔物の違いはなんだ?。
「尚、モンスターは迷宮で生まれに、魔獣や魔物は森や山などで、高密度の魔素を吸収し変異した物を表し、魔獣は獣の姿を、魔物は人に近い形をした者達の、総称です。」
ビクッ!。
心を読まれた?。
「ここまで説明しますと、皆様同じ質問を、してきますから。先に説明をと思いまして……。」
……ホッ…。
そうだよな?。
心を読んだりしないよな?。
「この街にも、迷宮はありますが、質があまり良くなく、現在活動している、探索者は、一人もいません。」
一人も居ないって、モンスター倒さないと、ワサワサ出てくるんじゃ……。
「時々、私達ギルド職員が、入ってはいますが……。それでも迷宮のドロップアイテムは数が足りなく……。」
ドロップアイテムが足りない?。
どう言う事?
「御存知かとは、思いますが、ドロップアイテムは生活魔道具に必要不可欠な、魔石と素材が、採れる場所でもあります。」
魔石?素材?
「あの、魔石は魔獣や魔物からでも、取れるのでは?」
「確かに取れますが、其方の魔石は、形や残有魔力量が、大き過ぎる為、経済効率から言っても、割高に……。」
割高……。
一般家庭の家計に大打撃はいけません。
冒険者は危なそうですし、野宿出来ませんから、自分。
と言うか、したくないです。
やはり、此処は探索者となって、一般家庭の家計を助け、そして、私の懐も潤す。
正に、WINWINな、か
「おいおい。探索者だぁ~。やめとけやめとけ。」
…んけ……い?。
ダレ?。
お読みいただきありがとうございます。