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修学旅行2日目。20○○年10月3日

揺れるバス、後部座席からは沢山の笑い声。修学旅行。楽しいに決まってる。

私は少しばかり窓を開け涼風(りょうふう)を感じた。先頭でガイドさんがまもなく目的地に着くにつくと案内したのを聞き、立ち上がり後ろを向いた。

「おーし、みんな聞いたな。もう少しで着くから席付近の物を片付けてすぐ出れる様に準備してくださいね。この後はフェリーに乗って宿に荷物置いてから自由行動なのでね。」分かったかー?と自分の請け負うクラスの生徒に流す様に連絡事項を伝える。

生徒たちも軽く返事をしてくれる。中には聞いてるのか分からない子たちも居るが恐らく大丈夫だと思い座る。

私も忘れ物がない様に手荷物をチェックしているとポコンと音と感触を頭頂部から感じる。

上を見ると二人の女子生徒がヘッドレストに膝を乗せ()()()をくるくると丸めて持っていた。

「朝比奈、なぜ叩いた?降りる準備してよ、すぐ乗り換えなんだからな。」

私を叩いた朝比奈が意地悪そうに言う。

「おか先、何そんなにセンチメンタルになってんのー。らしくないじゃんかー。」

そうなのだ先程まで平和学習と言う事で資料館で戦争の悲惨な体験を見て学んでいた。改めてこう言った場所で学ぶと心がセンチメンタルにもなる物だ。

正直バス全体がそんな雰囲気になると思っていたのにならなかった為、今の高校生である二人の意見も聞きたくなった。

「らしくないとはなんだ。みんなセンチメンタルになる物だろ、二人は何か心を動かされなかったのか?」

「うちは言っても中学の歴史で勉強したし、知ってたから。うちがその方々に向けるのは悲しみじゃない方が良いかなって思って。悲しむのは辞めようと思ったんだ。」ハハハと()()()()朝比奈を見ていると隣の女子生徒である今川が口を挟む。

「カオルはこのバスで誰よりも悲しんでたよ、さっきやっと落ち着いて岡部先生に絡みに行った。せんせーならうちの気持ちを理解できると思うから〜って。」

以心伝心できる人が居てよかったねと今川が朝比奈にちょっかいを掛けていた。

後頭部で二人が楽しく談笑してるのを見て私もセンチメンタルなのはここまでにしようと決めた。

「いいからバスが動いてるから用がないなら座りなさい」と伝える。

「おか先も自由行動の時、自由に動けるんですよね?」突拍子もなくいきなり朝比奈が聞いてきた。

「自由って訳じゃないが、一応見回りって事で私も動けるよ?悪いことでも考えてたのか〜」と冗談めかしく聞く。

「違うよクラスの皆んな集まるから、おか先もその時来て欲しいんですよ!」

「おー、良いけど何時に何処だよ。まず場所決めてあるのか?」

朝比奈が何処だっけと少し頭を捻っていると今川がスマホで場所を見せてくれた。


「この神社。丘の上にあるらしくて静かって書いてあるんです。だからここに17時に集合でお願いします。」


分かったと言ってメモにその神社の名前をメモする。


「だけど一応17時半には宿に戻らないと行けないんだよ?大丈夫か?」


朝比奈がすぐに終わるから迷惑かけないから来てと鼻息が荒い感じで言うので分かったと了承する。

その後少しだけ談笑しているとフェリー乗り場に着いた。


フェリーに乗り換えて5分10分で島に着くので外の展望席で海風に吹かれてるとクラスの男子たちが写真を撮るから先生も写ろうと誘ってくれたので自撮りに混ざる。

事前に調べたこの島の蘊蓄(うんちく)を披露し笑いを誘う。楽しい時間だった。


宿につき生徒たちは荷物を置き学年主任の話を聞く。


「じゃあ、今から17時半まで自由行動です。周りの人に迷惑をかけない様に、○○高校の生徒の自覚を持ち行動して下さい。半までには絶対帰ってきて下さいよ!何かあったら担任の先生か私に連絡して下さいね。では解散!先生方は少し話があるので残る様にお願いします。」


「平和学習後のバスそっちはどんな反応でした?私のクラスは騒がしく響いてないかと心配になりましたが朝比奈さんと今川さんの意見を聞けたのですが平和について一応考えてくれてはいそうでした。」


宿から出ていく生徒たちに手を振りながら何となしに隣にいた久野先生に会話を繰り出す。


「僕のクラスは元より平和学習が無駄だとか要らないとかそんな声が上がってたんですがさっきのバスの中は気持ち会話が少なかったっすよ。意外と()いたっぽいっすね。フェリーの中ではもう元気いっぱいに見えましたけどね」


笑いながら喋る彼は私よりも年下の27歳だが勤務歴は5年目と彼の方が長い為、先輩に当たる。初対面の時には「僕が25で年下なのに教育係として30歳に教えるなんて気まずいっすよ、ただ他の学校での経験がないから変な癖とかなくて楽だと良いんっすけどね」と言って最初こそお互いに苦手意識があったが、教育方針も似ていて生徒に対する思いも強く次第に仲良くなれた職場の先輩だ。


「そういえば、今日誕生日でしたね、おめでとうございます。3組の生徒たちがもし学年主任の命令で持ち場を離れられなかったら代わりに持ち場を変わってあげて欲しいとお願いされたっすよ」


「おお、ありがとうございます。忘れてましたがなるほど、だから呼び出しをくらったのか!」


「あ、しまった。サプライズだったかも、今のなしで。聞いてないフリで行ってあげて下さい。なんか準備楽しくしてましたし。3組総出でお祝いされるなんて良かったっすね。うらやましいっすよ。」


なんて今からサプライズをされる事に驚きと誕生日だった事を思い出す。

32歳か…。いい歳になったが自分は大人になれているのだろうかと思い返す…時間もなく生徒たちが皆宿を出たので学年主任に召集をかけられる。


「はい、先生方お疲れ様です。今から6時間ほどの生徒たちの自由時間になります。えー我々教師陣は1時間ずつフロントに残って(ばん)をする者、残りの先生はその時間までは生徒の見回りをしてもらいます。」()()()()()ね。と補足を入れる。だが次の言葉はワントーン低くなりこう言い放つ。


「近年、日本人の行方不明事件が多くなってます。ないとは思いたいですが見回りは強化して行きましょう。教頭先生と生徒指導部の先生が山の中腹と山頂に待機して頂いてます。クラスを請け負う先生方は()()()付近の巡回をお願いします。」


そこから少しだけ時間振りの再確認をしてミーティングは終了する。


「じゃあ、1組の久野先生から順に宿待機1時間ずつお願いします、では解散!」


巡回という名の観光を楽しもうと意気込んで宿を後にした。


生徒より後に宿を出た為、ホテル前には生徒達は居なかったマップを片手に巡回ルートへと歩みを進めた。

世界遺産でもある鳥居に目を奪われつつ付近の生徒達の行動観察をしながらゆっくりと海沿いの道を歩く。

生徒が写真を撮ってほしいとお願いされ撮っていると色んなグループの子達からもお願いされ沢山撮った、みんなこの時間を楽しんでいて笑顔が素敵だったその一瞬をスマホに写すのに努力をした。


神社の本殿の巡回はまだの為、商店街に行くことにした、あわよくば観光名物を食べようとしたが商店街を観て無理だと悟った。多くの観光客、外国人、他の学校の生徒、我が校の生徒、ごった返しとはこの事、諦めてその場に留まり生徒を見守ることにした。すれ違う生徒と軽い会話をしたり巡回していた先生と情報共有したりして過ごしていた。30分ほどたっただろうがクラスの男子のグループが牡蠣を片手に持ってやってきた。

「岡部先生ウェーイ」だの、「腹減ってます?」と言いながら4人がこっちにやってきた。大層楽しそうだ。「俺達さっき焼き牡蠣8個食べたっす、ガチでうまい!んで岡部先生が立ってるの見つけたんで差し入れとしてコレ持ってきました。」

フードパックの上に牡蠣が2つ入っている物を渡してきた。

「松平達まさか一人8個も食べたんか!?めっちゃ食べるじゃん!牡蠣くれるの?ありがと、だけどお金払うよ。いくらだった?」と聞く。

「流石に無料で貰うわけにはいかないよ」と財布に手をかけながら言う。

「いや、正直に言うともう結構限界なんで食べて欲しいんで受け取ってください、タダで大丈夫っすよ」と石川が言う。周りもタダで良いよと言うので軽くまごついてしまったが、ありがたく貰った。

彼等は食べて食べてと言いながら私の周りで談笑を始めていた。恐らく配慮してくれてるのだろう。嬉しかった。会話に軽く混ざりながら頂いた大きな牡蠣を食す。「うまい!!」口から溢れる(こぼれる)

松平達がだよな!だよな!と牡蠣トークに華を咲かせたので混じって話した。

その後私のゴミを貰い4人は後にした。


私も本殿巡回の時間に近づいてきたので移動することにした。牡蠣を売ってるお店の値段を見て目元が緩んだ。2個入り600円。旅行で財布が緩んでるにしても学生には高い買い物だっただろうに彼らは奢ってくれた。嬉しさ半分申し訳なさ半分だった。

にしても「食い過ぎだろ…」クスリと笑った。


本殿巡回の先生と交代しその建物の作りに感嘆しながら見て回った。更に1時間後、ホテルに戻りホテル番を開始し1時間後また外の巡回をし始める、そして近づくあの時間に。



約束の時間まであと10分。誕生日サプライズをしてくれると久野先生に教えて貰って時間が近づく事に少し期待したり嬉しくなったりしていた。丘の上の神社に続く階段前まで来た。

17時ピッタリに上がるべきかと思い少し待つ。


2分前になり階段を上がり始める。


どんなサプライズなんだろうか…

ドッキリ系だったらビックリしちゃうし嫌だなぁ…

少し口角が上がりながら上がって行く。


知らないフリしないとだよな

第一声は「来たけどなんだー?」みたいな感じで行くか?と脳内会議をする

階段を上がって行く。


階段を上りきった。

丘の上夕暮れ(ゆうぐれ)西日が目に刺さる。

小さな末社(まっしゃ)がポツリ、木が何本かある。

だが周りを見渡しても…


クラスの生徒達は見当たらない。



私は標準語を理解していません。主に広島弁、名古屋弁を使って生きています。挙句、関西弁と三河弁も多少混じって居ます。許してちょ。

誤字脱字があれば修正します。教えて下さい。

これから頑張って書いていきます。お願いします

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