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第二章:静けさの中の問い
家のベッドの上。天井に映る朝の光と、鳥の声。何も起きない時間が流れる。
水瀬はノートを開き、「自分は何を間違えたのか」を探しはじめる。だが書けば書くほど、答えはにじむ。母は食事を作り、静かに見守る。かつて蹴り飛ばしたその脚が、何も言わず、自分の隣にある。
「間違っていたのは、“限界を超えた自分”?
“助けを求めなかった自分”?
それとも、“助けてもらえると思わなかった世界”?」
記憶の奥で、かつて見た同僚の無理な笑顔、壊れていった上司の背中がよみがえる。
水瀬は思う。
「私は壊れたのではなく、“壊れさせられた”のかもしれない」