29話 久しぶりの登校
「なぁリン、俺めっちゃ見られてないか?」
「当たり前じゃん、お兄ちゃんも同じ学校のしかも男の人がプロデビューしたら気になるでしょ」
確かにそれはそうか
「お兄ちゃんがいろんな人に興味持たれてるってなんか気持ち悪いね」
「そんなもんかな?」
「そんなもんだよ」
そこは俺には分からない感覚だな
「でもいい気はしないし早く教室行こう」
これは本当だ、さっきからとてもめんどくさい
なにがって?
「ねぇ、そこの君お姉さんと遊びに行かない?」
ナンパだよ
「ごめんなさい、今学校に行ってるし彼女もいるんで」
「そんなこと言わないでよそこの彼女さんと3人で行こ」
ほんとめんどくさいな〜
「通報しますよ」
「わっ、分かった分かった。彼女さん落ち着いてください、用事を思い出したんでさようなら」
それだけ言うと後ろを振り返ることもなく逃げて行った
「ありがとなリン彼女役なんて引き受けてもらって」
「別にいいよ役得だよ役得」
「そう言ってもらえると嬉しいな」
「それじゃあ走って学校まで行こっか」
「競走しようよ、はいよーいどん」
「ずるくない⁉︎」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「普通に負けた・・・・やっぱりずるかっただろ」
「ふふっ、お兄ちゃんよ。勝った方が正義なのだよ」
「・・・・ありがとなリン。気を遣って走ってくれたんだよな」
「そういうことは分かっていても言わないものだよ?お兄ちゃん」
「気をつけるよ、ありがとな」
「そんなに感謝するんだったら頭撫でてよ」
「そんなことでいいなら」
頭を撫でるとリンが嬉しそうな顔をして下を向いていた
恥ずかしいなら言わなきゃいいのに
「ありがとうお兄ちゃん」
このくらいのことなら言ってくれたらいつでもするけどな
「教室着いたね・・・・お兄ちゃん頑張って」
「なにを頑張るんだ?」
「扉を開けたら分かるよ」
どういうことだ?まぁ扉を開けたら分かるんだろ?
そんな呑気なことを考えながら扉を開けると——
「あ、マサト様だ!」
でかい声で俺のことを様付で呼ばれて驚いてしまった
「本当にマサト様だ!」「マサト様って学校来るんだ!」「久しぶりマサト様!」「やっぱりマサト様は生で見るとさらにかっこよく見えるわ」
なんで様呼び定着してんの⁉︎言い始めたの誰⁉︎
「えっ、えっとみんな久しぶり」
「キャー!返してくれた!」「性格もイケメン!」「私たちなんかと話してくれるなんて!」
マズイ非常にマズイ、助けを求めよう
ならやはり同性の淳だな
「なっ、なあ淳」
「あ〜、やば〜い、急にお手洗いに行きたくなってきたな〜」
「本当にやばいな〜だからごめんなマサト、後にしてくれ」
社長の息子だから演技力必要なんじゃなかったの?
演技力どこに捨ててきたの?
面倒ごとに巻き込まれたくないって顔に書いてあるけど・・・・
だが淳がどこかに行ったしまった以上一人で耐え切るしかない
結局先生が来るまでずっと営業スマイルを浮かべて一人ずつ対応していったがとても辛かった
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