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詩❲心理描写-暗❳

石花

作者: 日浦海里

振り向いて欲しい人など

もはや望んでもいないのに

誰のために着飾って

何のために装うのか


ただの見栄と言えばそれまで

少ない誇りと言えばそれだけ


見た目だけ華を模倣した

血の通わぬ花を咲かせて


誰かの目に触れるからなんて

何に晒されてるのかも知れず


路傍の石で作られた花は

道端の花より珍しいのか


時折興味深い目をして

手折る者もいるけれど


目を惹くような彩りもなく

吸い寄せられる匂いもなく


見た目だけを楽しんでは

また道端に転がり落ちる


その都度削れていく造形は

花であることも失っていき


いつかは文字通り路傍の石と

成って果てるのを待つだけか




誰のために着飾って

何のために装うのか


ただの見栄と言えばそれまで

少ない誇りと言えばそれだけ


見た目すら華にもなれず

心無くした花は朽ち果て


誰かの目に触れてたとしても

風に晒されてるようなもので


名前も忘れ去られた花は

道端の花より珍しくとも


気づかれることなくただそこにあって

目にしても足蹴にされるだけになって


手に取るような美しさもなく

触れたくなる艶やかさもなく


それでも


誰のために着飾って

何のために装うのか


ただの見栄と言えばそれまで

少ない誇りと言えばそれだけ

『あなたを飾る花びらは

 あなたの魅力の一つだけれど

 惹かれたのはその石玉で』


そう告げた人を

なんてもの好き

そう思っても

流れないはずの

内側の水が

小さく立てた音を

聞いた気がした

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― 新着の感想 ―
[一言]  石は、石のままでも咲こうとしたのですね。  おのれが、石であることを苦にしたのか。  咲こうとも、石であり続けたいと願ったのか。  どちらにしろ。咲くことを選んだおのれを愛せたなら、それ…
[良い点]  石と植物の温度と固さ、そして色合い。  その差を知りつつ、それでも花になろうとはしない。  綴られる言葉の頑なさは、強さと諦めを表すようで。 [一言]  ただの見栄、少ない誇り。  言い…
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